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ドリトル先生と春の花達

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第三幕その十一

「本当にね」
「ううん、王子も日本に馴染んでるね」
 先生は王子のその言葉を聞いて言いました、お鍋の中の糸蒟蒻とお豆腐を取っています。お鍋には他には白菜や葱、茸類が入っています。春菊もぐつぐつと煮えています。
「僕より先に入ってるしね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「先生の馴染み方はまた凄いね」
「あっ、そう言うんだね」
「だってね、今もどてらと作務衣って格好だし」
 完全に日本的な恰好です、それがまた似合っています。
「寝ているのはお布団だしね」
「今もコタツだし」
「日本語も僕以上に上手だしね」
「実は今はね」
「今は?」
「考え方も日本的になってきた感じがするよ」
 ご自身でも思うというのです。
「徐々にね」
「そうかもね、見ていたら」
「僕は本当に日本的になってきたよ」
「むしろ日本人より日本的では」
 トミーが言うにはです。
「そうなってきていますよ」
「そうかな」
「はい、それだけ日本に合っているということでしょうか」
「和風なんだね」
「今の先生は」
「先生って動物も他の誰も一緒って考えてるから」
 王子は今度は春菊やお葱、白菜をお椀に入れています。
「そこが日本に合ってるね」
「ああ、そこだね」
「うん、日本人ってそうした考えあるよね」
「あらゆるものが同じで森羅万象に神様がいるっていうね」
「八百万の神様だね」
「そうした考えが先生にもあるからかな」
「日本に馴染んでいるのかな」
 こう言うのでした。
「それだけ」
「そうかも知れないね」
「キリスト教徒とかそういう垣根を超えて」 
「僕の考え方がだね」
「日本に合っていると思うよ」
「成程ね、言われてみればね」 
 実にというのでした、先生も。
「僕もそう思うよ」
「そうなんだね、先生自身も」
「自分でね」
 こうしたことをお話しつつです、先生達はお鍋を楽しみ最後はおうどんをそこに入れて食べました。そして食べつつです。
 焼酎を飲みますが先生はこうトミーに言われました。
「日本酒ではなくてですね」
「うん、今はね」
「そちらのお酒にされますか」
「こちらもいいからね、さてお風呂も入ったし」
 御飯前にです。
「今日は歯を磨いた後は」
「お休みになられますか?」
「いや、ライトノベルを読むよ」
 日本のそれをというのです、実は最近そちらにも凝っているのです。それでこちらを読んでから寝るとです。先生は焼酎を飲みつつ笑顔でお話しました。
「十二時までね」
「ライトノベルですか」
「日本の若い人向けの小説でね」
「面白いんですね」
「これがね」
「そういえば最近先生漫画も小説も読まれますね」
「何でも読むからね」
 本ならです、先生は本も区別せず何でも読みます。
「日本はそうした分野も面白いからね」
「よく読まれているんですか」
「そうなんだ」
「それで、ですね」
「うん、食べた後は歯を磨いて」
 そうしてというのです。
「ライトノベルを読むよ」
「わかりました、それじゃあ」
 トミーは先生に笑顔で頷きました、そうしてです。
 皆でお鍋を食べていきました、この日も楽しい一日でした。 
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