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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  Punish Breaker ~綺堂唯子の物語~


今までのあらすじ

自らの影
最強の軍勢

それらを前に、唯子と翼刀は今一度奮い立つ。


「奪わせない」

「俺が勝つ」

そういって、彼等は立つ。
自分という存在を、世界に刻むために。



------------------------------------------------------------


無風。無空。
ここ、地下闘技場に風など吹きはしない。

四方を囲まれたこの地にそんなものが吹くはずはないのだ。
だが


「ッ・・・・・」

ブレイカーは、確かに感じた。


風を

「私は、綺堂唯子よ」


満ちた気力を

「この力は、私のモノよ」


流れ出す涙にすら、何かがある

「貴女を越えて、私がいる」


強い意志がある

「行くわよ」


絶対に譲るものか


失わないための
しかし、決して奪うためでもない。

これは、護る戦い。
自分の魂を、総てを、存在を



「覚悟、しなさい」

ドンッッッ!!!



一気に跳躍。
飛び出した唯子は、一瞬にしてブレイカーの首根っこを掴み取った。

そこから一気に壁まで到達し、彼女を壁に叩きつけてそこに膝蹴りをぶちかます。

反撃に出ようとするブレイカーだが、首を掴んだ腕から不動拳がぶち込まれて首が壁に埋まった。


「おわり?」

「違うわよ!!」

油断のない唯子の言葉に、ブレイカーが叫んで答えた。
放った拳が唯子の顔面にぶち込まれ、身体が仰け反って倒れた。


派手に転がる唯子。
それを見て、手応えありと笑うブレイカー。


だが

「ったく、顔は殴らないでよねー」

「な・・・・」

ひょい、と立ちあがった唯子は、ケロッとした顔で首を鳴らす。

全身から吹き出す気力は、彼女を包み鎧のように身体を護っていたのだ。
そんな彼女に、ただの拳など通るわけがない。



「へえ、つまり」

「ええ。そうなるわ」


この二人の戦いに、下手な動きは必要ない。

ただ



二人が近づき



互いの腕を伸ばし合ったくらいの距離で止まり




「オォッっ!!」

「ダァッッ!!」

ドンッッッ!!!


全力で殴り合うだけだ。


一撃目の交差。


二人とも、顔面を狙った一撃。
それを互いに首を傾け、首筋に相手の拳がそれぞれ通過していった。

キュ――――ドンッッ!!


瞬間、拳から放たれた衝撃が抜け出て、互いの遥か背後の壁を粉々に粉砕した。



そんな一撃を、更に四、五発。
その先からは、蹴りや手刀、様々な突きの応酬が飛び交った。

そんなことになれば、この地下闘技場など持つわけがない。



ドンッッッ!

壁が吹き飛び。


ガゴッっ!!

天井が裂け


ボゴォッッ!!

床が砕ける。



一撃放つたびに、必殺技級の衝撃波が放たれているのだ。
一撃ごとに地下は振動し、揺れ、崩れる。


「ダッッ!」「ハッ!!」「フッっ!!」「ゼァッッ!!」「ダァッッ!!」「ヤぁあっっ!!」

立て続けに空間を唸らせる、二人の怒号とも取れる気合。
周囲の轟音、爆破、粉砕音の方がはるかに大きいであろうにも関わらず、彼女たちの声こそが、一番この空間で澄み切って響いている。


「「負 け る か ぁアアアアアアア!!!」」

スッッ

「「パニッシャー!!!」」

ドンッッッ!!!

同時に
全く同時に放たれる不動拳。


その一撃に、互いの身体が磁石で弾かれていくように吹っ飛んだ。

ちょうど真後ろの壁に向かって吹き飛び、そして鏡合わせの様に同じ動きで反転。
脚を壁に着け、そこに張り付いたように着地した。

無論、この場の重力は正常だ。
だた単に、互いに放った勢いで簡単に壁から落ちないだけだ。


だが、二人は壁に足を付けた状態でしゃがみ、脚に万力を込めていく。

メキメキと指先が壁にめり込み、ヒビが一秒ごとに一メートルは広がっていって



ギッッッ!!

互いが互いを睨み付けた瞬間。

ドンッッッ――――バァンッッッッ!!!


弾丸のように弾けた。

彼女たちの勢いは、その衝撃を置き去りにするほど。
足場にした壁は、ちょうど一秒後に亀裂の入った円形に砕け散り、彼女たち自身は飛び出した二メートルでいきなり空気の壁をブチ破っていた。




それから二秒とせずに二人がぶつかり合い、周囲の重力が失われた。

球状に衝撃波が周囲を弾き飛ばしていき、床を転がっていた瓦礫は浮き上がる。
そして直後、互いが互いの力を利用して、一気に砕けた天井から外へと飛び出していった。

ズドンッッッ!!という轟音と共に、その衝撃で浮き上がった瓦礫が本来の重さ以上に―――まるで重力兵器でも喰らったかのように―――床にめり込み堕ちたが、彼女達がそれを見ることはない。


「EARTH」ビルの麓から、一気に上空二十メートルまではじけ飛んだ二人は、ロケットの様に上空に舞い上がりながらも攻防を繰り広げていた。


廻し蹴りを唯子が受け、そのまま回転して手刀をブレイカーにぶち込む。
それを掴み取り、空中でありながらも捻り上げ、唯子がそれを察して手を払う。


バサバサと舞うブレイカーのマントと、風に揺れる唯子の髪が、それこそ本当に舞踊であるかのように踊っていた。


だが、頂点まで達したところで当然彼女たちは落ちる。


「こういう時、どっちがいいのかしらね」

「なに?」

「破ァッ!!」

「グッッ!?」

ドンッッッ!!

唯子の放つ一撃。
不動拳は脚を地に着けずとも放てる拳だ。

しかも唯子の場合、その衝撃波を飛ばすことも可能となっている。
つまり


「ラぁぁぁアアアアアアア!!」

「ゴッ、がっ・・・ウガァアアああああ!!!」

その拳の連打によって、ブレイカーの身体を次々に打ち据えていく。
撃ち続ける唯子の身体は次第に真下を向き、打たれるブレイカーの身体は加速を増して地面へと落ちる。


「終わり!!」

ドッッッ!!

「ゴッッ!?」

最期に放った一撃と共に、さらに加速したブレイカーが地面へと突き飛ばされたかのように吹き飛ぶ。
さらにそこの着地した瞬間を狙って、パニッシャーキックを構える唯子。

落下した瞬間ならば、如何にブレイカーと言えど無防備なはず

そこを狙った一撃だが、しかし


「グッ!!」

クルッ、と、ブレイカーの身体が反転する。
地面に足をしっかりと着け、しゃがみこんで転がりながら着地する。

そうすることで、着地した瞬間の衝撃を身体の中で循環させているのだ。
だが、不動拳を使えば一気に流せるはず。ならば、この動作の意味は―――――


転がり、立ち上がり、上半身を大きく回し、腕を振り。
そしてそうしているうちに唯子が落下してきた。

ブレイカーは衝撃を逃がさぬよう、まるで独楽であるかのごとくクルクルと回転しながら、あえてその場に向かって歩を進めた。


そして


「ッ・・・パニッシャーキィックッッ!!」

着地点から逃れたにもかかわらず再びそこに来たブレイカーに何かを感じながらも、唯子がパニッシャーキックを叩き込む。

対し、ブレイカーがとった行動は

「不動――――!!!!」

真正面から、その蹴りを受けたのである。


否――――そうではない。

正確には真正面ではない。
ギリギリで左肩で受け止めている。

左肩の上に着地する様にキックを命中させる唯子だが、その軸がずれている。

違和感を覚えた。
相手の身体を捉えるはずの蹴りの威力。しかしそれは誘導され、すべて吸い出されるようなそんな奇妙な感覚に襲われたのだ。



「―――――流し打ち!!!」

そして、ブレイカーが右腕を回し、握りしめた拳に自らの落下と、この蹴りの衝撃をすべて上乗せしたブレイカーが、唯子の横っ腹に向かって一撃をブチ当てた。


「ゴォッッ!?」

おおよそ女子の出すような声ではない者を吐きだし、唯子の身体がそこから消えた。

直後、「EARTH」ビルの五階部分の角が爆発したかのように崩れる。
ガラガラと落ちる瓦礫。その崩壊部分の中心には、まぎれもない唯子の姿が。


頭に手を当てて軽く振り、直後一瞬でここまで来て襲い掛かってきたブレイカーの拳をすべて弾き落とし内部へ。
廊下を打ち砕き、魔力の塊を粉砕し、それでもなお襲いくるブレイカー。


そのブレイカーの身体に反撃して打ち込んでいく唯子だが、ブレイカーには微塵も効いていない――――


「なんで」

「そりゃそうよ。私はサーヴァント。これだけ魔力が空気中に満ちてんだから、私にそんなの」

ドッッッ!!

「効くわけないでしょ!!!」

猛烈な拳の一撃。
それに吹き飛ばされ、「EARTH」ビルの反対側から壁をブチ抜いて外に弾き出される唯子。

その行く先は、「EARTH」付属の学校。
唯子が墜ちたのは、校舎裏にあるプールだ。


ダッパァンッッ!!!と、水の中に勢いよく落下する唯子。
ザバザバと荒れる水はプールサイドにまで溢れ出て、それらはゆっくりともとへと戻っていく。

一瞬静寂を取り戻したそのプールサイドだが、直後にブレイカーが着地してタイルを粉々に砕く。


「これで死んだ・・・?」

荒れる水面で、その中を見通すことはできない。
それを眺めながら、ブレイカーが呟く。と


ゴポッ――――――

「!?」


水が、浮き上がる。
ぴちゃぴちゃと、水滴にすぎない大きさのそれは、次第に大きくなっていきさらにはプールに渦ができあがる。



その水の中から、七色の光が輝き出した。
水に反射した、光の色か


否。これは


「メディ―――テェ―――ション!!!」

「気力!?」


溢れ出る光はすべて、綺堂唯子の力の光。

気力とは、その物の意志の強さに応じて力を増す。

諦めなければ無限に沸き出し。
終わらない限り、尽きることなし。


「私が終わる?バカ言わないでよ。私は絶対に、終わらない!!!」

『その通り』


プールの渦の中心
水のなくなった底に立つ唯子が、ブレイカーを見上げて叫ぶ。
それに続くかのように、別の声がその場に響いた。


『唯子。吾は様々なものと戦った。だが、そのどれも吾を明確な敵として捉えた者はおらなんだ』

「何言ってんのよ。あんたは敵だったでしょ」

『そう。吾は敵。しかし世界への義務や、やるべきこととしてではなく、ただ自分の敵であると吾に立ち向かってきたのは、後にも先にも唯子。貴女だけだったでござる』

「バカな・・・・あんたは・・・・・」


唯子の顔の横に、フワフワと浮く光の羽根。
色は鈍い赤。怒りを記す色。

赤銅

その彼女の声がだんだんとはっきりして、うすぼんやりと姿まで映しだす。


『だからこそ、吾は主が本物だと思うし、そうでなければ納得せん。仮にブレイカーが本物だとして、そっちの方に手を貸すつもりはないでござる』

嘗ての戦いで。
彼女に向かって明確に、自分の敵だと向かって来て、一番惜しいところ目で追い詰めたのは、他でもない彼女だった。

だからこそ、他でもない彼女だからこそ


『吾が認めるのは其方だけでござる。どんな理由があろうとも、吾にとっての綺堂唯子はただ一人』

そして、決して質量のないその手が唯子の肩に添えられた。


『この者こそが、綺堂唯子ぞ。この赤銅の翼が、ただ一人「友」だと言える存在なるぞ――――』

瞬間、彼女を形作っていた粒子が渦を巻き、唯子の身体に溶け込んでいく。
唯子の全身を包む気力の光に、赤銅の色がボンヤリと灯る。


「そんな・・・そんなそんなそんな!!!私だって綺堂唯子よ。私が綺堂唯子なのよ!!なのになんで――――みんな揃って寄ってたかって、そっちの方を選ぶのよ!!!」

激昂。
叫び、頭を抱え、更に掻く。
バリバリと髪を乱しながら叫ぶブレイカーに、唯子の口を借りて赤銅が語る。


『簡単じゃ。主は自らの道を行こうとせぬ臆病者だからでござる』

自分の道を、胸を張って突き進む。
それが愚かであろうと、無謀であろうと、決して恥じず、あきらめない。


それが綺堂唯子の美しさ。
それが、彼女の強さである。

『お主はただ「もしも」を追い求め、その幻想に縋り付く亡霊にすぎぬ。お主はそこから続くであろう自分の道を捨て、今を生きる綺堂唯子に憧れただけに過ぎない』


そう。
今の綺堂唯子が、これからの道は自分の物だと叫び、そしてその先を生きようとしたのと同じように。
この彼女にも、そう叫んでゆくことのできる道があったはずだ。


綺堂唯子は一人しか存在できない。
その座の奪い合いは構わない。

だが、そうする以上は自分の道を行かねばならない。


これまでを生きてきた綺堂唯子の席に、ブレイカーたる綺堂唯子にも彼女としての道があるのだろうに、すっぽりと収まるだけなど赦されない。


「もしも」「もしも」と、仮の過去、仮定の現在、予測の未来を語ることは誰にでもできる。
だが、それに囚われていては進展などありようもない。

ブレイカーはそれに捕まった。
その仮定を追い求め、それを実現した自分がいて。ただ彼女は、それを奪い、挿げ変わろうと舌だけの存在。




「私は自分に後悔はしない」

反省はしよう。
振り返りもしよう。
涙も流そう。

でも

「後悔だけはしない。たくさんの物を失ってしまってきた私だけど、今までの自分を後悔だけは、絶対にしない!!!」

「あ・・・あ・・・・ぁぁぁアアアアアアアああああああ!!!」

『ゆくぞ、唯子。主に翼人の戦い方を、体感させてやろう』


飛び出すブレイカー。
それに合わせて、プールから飛び出す唯子。


「私は―――――今を抱きしめて、未来を進む!!」

『さて・・・行くでござる!!』


【Punish Breaker~Kido Yuiko no Monogatari~】


何処かから、そんな声が聞こえてきた。
どこからか、というよりは、この空間から響いてきたかのような、そんな声―――――

そう


これまで、どこかの世界でも聴いてきた



『そぉ・・・れっっ!!!』


――――――-WORLD LINK- ~WEAPON~

世界契約の、あの声である――――!!!





輝く翼。
煌めく光。

唯子の背中に、赤銅の翼がはためく。


「バカな・・・・翼人覚醒ってこと!?」

「違うわよ・・・これは、WORLD LINKよ!!!」

綺堂唯子に翼人の素質はない。
素質ない以上、翼人にはなれない。

だが、これはそれを幾度も実現させてきた。


WORLD LINK

世界が力を貸す、一度限りの奇跡の御業。



『最期!!!』

「行くわよ!!!」


【Punish Breaker~Kido Yuiko no Monogatari~】-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~



唯子の右腕が煌々と赤く輝く。

煌めく赤は、怒りの証。


怒りとは、憎しみではない。
相手のことを想い、そしてそれでも倒す必要がある時、人はそれを断ち切る刃を得る。








「アぁァァアアアあ!!」

ブレイカーが反乱狂気味に拳を振るう。

不動、動不動の同時発動。
一撃にかけたこの想い。


だが、対して唯子はそれを発動させるでもなく、拳を真っ直ぐにブレイカーへと向けて宙で待つ。



「くらぇぇええええええええ!!真・パニッsh」

ブレイカーの技を中断させ、ゴッッ!!と、唯子の拳が、吸い込まれるようにブレイカーの額に命中する。

翼を得て、空中機動力を得た唯子ならばこんなことは容易い。



そして、その一撃で


「ギ・・・・ガぁアアアアアアアああ!?」

ブレイカーが叫ぶ。
これまで打ち込まれていた、唯子の攻撃。


そのほとんどはブレイカーに対して効果を得ることが出来なかった。


だが


「私、なんとなく思いついてた」

相手に打ち込んだ一撃一撃。
でも、それらはとても弱い物。

だったら、それを相手の身体に打ち込んだ後、一点に集めて爆発させることができるとしたら―――?


「イメージだけで、出来るなんて思わなかった。でも、この翼がそれを可能にしてくれた。これはもう、私の技よ」

全身に打たれた打撃。
すでに効果を失っていたはずのその一撃ずつが、身体の中を這いずり回って胸の中心部へと移動する。

その数、実に二十八発。
それらすべての打撃が、意識を得たかのように一点に集まり、そしてそこで一気に破裂するのであれば―――――!!!



「これが、私の道。これからも、ここから先も!!アルティメット―――――」

「私・・・・がぁぁアアアアアアアアアア!!!」

「――――パニッシャァッッ!!!!」


ドッッ――――ンッッっ!!!


ブレイカーに向け、手首を抑え、握っていた拳を開く。
瞬間、それに呼応して胸元から破裂、バラバラに吹き飛ぶブレイカー。

残った上半身が消えゆくなか、彼女は校庭で戦う彼の姿が見えていた。



そして、チラリと唯子の方を見て、呟いた。


「負けちゃった、か。あーあ・・・・でも、ま。流石、私の憧れた――――――」

風が吹く。
魔力の粒子となって、ブレイカーが消滅する。


「・・・・・翼刀!!!」


そして、唯子は着地して飛び出していく。
向かう先は、当然彼の元。


その先では




------------------------------------------------------------




「グ・・・・」

翼刀がうめき声をあげる。
敵の数は四人にまで減ったものの、その相手が悪すぎる。


何せ、三人は抑圧できても最後の一人が凶悪だ。


「おいおいィ?ご自慢の力もその程度かァ?んン~!?」


「奴」
この男に、翼刀のどのような抑圧も効きはしない。


更に言うのであれば。
サーヴァントとして召喚されたこの男を倒す術は、ただ一つの方法でしかありえないのだ。



ペッ、と
悪態をつくように、口の中で渦巻く血を吐き出す翼刀。


例え、絶望的な状況でも
到底、勝ち目のない戦いでも
全く、逆転の目が見えずとも


翼刀に焦りはなかった。


「来る・・・・か」

唯子が来る。
自分の、かけがえのないパートナーが。


ならば問題は無かろうと、翼刀はヴァルクヴェインを軽く構えた。



彼女が来れば、心が軽い。
来てくれるなら、心強い。

勝率が上がるわけではない。
光明が見えてくるわけではない。
チャンスがある、ということでもない。


ただ、彼女がいると言うそれだけの事実が、翼刀の心を軽くする。


たとえその結果、二人だ命を落とすことになろうとも



「死では・・・俺たちを分かつことはできないんだよ」



唯子の知らないこの場所で、知らずに翼刀は唯子に応える。

そう。
死した者である彼等サーヴァントに、この二人を引き裂くことなどできはしない。


故に、彼もまた翼刀に力を貸すのだろう。
死して別れた彼等と違い、二人は死を越えて共にいるのだから。



『それが、一人でない者の強さ。君の力の源』

「そうだ。俺は決して一人じゃねえ。お前らに、そして・・・あんたにも!!それを今から、見せてやるぜ!!」


光明無き、反撃開始。
しかし、敗色は決して濃くはなく。

むしろ彼ら自身が、光明であるかのごとく眼だけが力強く輝いていた。



to be continued
 
 

 
後書き

というわけで、唯子編でした。
本当はこのまま翼刀の方に行き、そして撃破という流れだったんですが・・・・・


翼刀
「ですが?」

異様に長くなりそうでしたのでやめました。
というわけで、斬りの良い唯子の決着で終わり、ということで。

翼刀
「マジかよ!?」



唯子のWORLD LINKは、赤銅の力を借りて発動させたものなので、彼女自身にはその能力はありません。
赤銅もなんだかんだ、翼人であったと言うことですね。

救いにも、破滅にもなる。そんな彼女でした。
ちなみに彼女中心の世界名は簡単に考えました。

綺堂唯子の物語というのは、二人の綺堂唯子という存在に決着がついた、ということの表れでもあります。


【Punish Breaker ~綺堂唯子の物語~】

主な構成:“No name”20%
     “フォルス”30%
     “LOND”30%
     “ライクル”10%
     “輝志”10%

最主要人物:綺堂唯子

-WORLD LINK- ~WEPON~:赤銅の翼の借り受け

-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~:アルティメット・パニッシャー開眼、発動




翼刀
「でもあれ?俺は?」

お前と唯子は、ほらあれだ。
「とある魔術の禁書目録」と「とある科学の超電磁砲」みたいな関係だから。

唯子
「なるほど!!!」

翼刀
「え・・じゃあ・・・・」

はいそこまで~~~!!!
ほとんどネタバレだけどそこまで!!



翼刀
「では、次回!!」

唯子
「今度は翼刀、やっちゃえやっちゃえ~!!」

ではまた次回
 
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