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俺のペットはアホガール

作者:猫丸
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『アホの子達が一か所に集まると…』1-6

「と……いうようなことがあったんです」

長々とここに来るまでにあった出来事を喋り終わって、はあぁぁぁぁと大きくため息をつく朱雀。
まあ……そのなんだ、お疲れ。フラグ回収係ってのは立てるだけ立てて放置したフラグを一個一個全部回収し回らないといけなんだな、大変そうだな。ま、頑張れ。
という気持ちを込めて視線を送ると「先輩がツッコミを頑張れば自分はこんなに苦労してないです!!」とでも言いたげな視線で返された。
ごもっともな意見、だが俺も幼馴染と分類されるアホ共の相手で精一杯。だから他のアホはお前に任せた、と気持ちを込めて…以下略。

「ミキミキと見つめ合っちゃって~、あっくんもしかして~///」

「あ゛?」

「ミキミキにひ・と・め・ぼ・れ、しちゃったー?」

「は?」

「な、なんですってぇぇえええ!!?」

「終殿が……美希のことを……?」

「そ、そうなのかいっ最籐君っ!?」

「へぇ~、(おわり)さんってこうゆう子が好みなんですね~」

「大和、ちょー棒読みじゃん、ウケるんですけどー!!」

「あ~~~~聞こえない~~~」

「…………フフッ」

なんかアホ子のせいでアホ共が盛り上がっている、ウゼー。全員殴って黙らせるか……と拳を握り締め力を籠めると

ツンツン。

「?」

誰かに肩を軽くつつかれた。細い指の先にちょんちょんとされた感覚……。
アホ子、小野、緑屋、飯、高浜、水仙時、朱雀、目の前にいるアホ共じゃないとしたら誰だ? 
後ろを振り返ってみると、そこにはカーテンの後ろに隠れていたはずの、翡翠がちょこんと正座で座っていた、そしてボソッと俺にしか聞こえないような声で

「わたしの話も聞く?」

言った。きょとんとしたハイライトの無い瞳に吸い込まれそうで少し怖いが……聞かないといけない流れなんだよな……翡翠だけ聞かないのは変だし、そもそもこいつが一番ヤバイ香りがする。つまり犯罪の香りだ。
飯は割かし分かりやすい犯罪者。分かりやすい犯罪者ってなんだ、と言った本人が一番思ったが、まあ……いいんだそんなことは。
一見地味な風体をしている翡翠だが中身はかなり恐ろしい性格をしていると、言う噂話を聞いた事がある。あくまでも噂だからどこまで信憑性のある話か分からないが、最初から信じられない話でもないと俺は思う。
それは何故か。それは……

「どうしたのしゅうくん? そんなに見つめられるとはずかしいな///」

「お。おう」

「「……………」」

だいたいいつもこんな感じの空気になる。気まずい、すっごく気まずい。翡翠とは割と仲が良い方の女友達として中学の頃からの付き合いだがどうにもこの空気には慣れそうにない。頬を赤く染め、俺より背が低い翡翠は自然と下から上目遣いで俺を見るようになる。……なんだろう、このモヤモヤとした嫌な気持ちは……。

「じゃあ話すね」

「お、おう」

「わたしがどうしてしゅうくんのお家に居るのか……をね」

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◇「スィート イン ポッシブル」

Am4:00起床
ベットから起き上がったらまずはお風呂に入って体を清めるの。寝汗とかでべたべた。清い存在のあのひとたちに申し訳ないから。

Am4:30儀式
体を清めたらあのひとたちが寝ているお家がある方角へ祈りを捧げ、今日の相性を占うの。ラッキーアイテムとか。
今日の? 今日のはね、赤い鯉の球団グッツだったよ。

Am5:00出発
あさごはんは食べない派なの。食べたら気持ちが悪くなっちゃうし、あのひとのご家族さんたちが食べさせてくれるから///

Am6:00到着
「ついた。しゅうくんとちよこちゃんのお家」
何本も電車の乗り換えは正直大変だったけど、ふたりに会えると思えば電車賃も時間も苦労もかんけいないよ。それだけしゅうくんとちよこちゃんはわたしにとって……ふふふ。
チャイムは鳴らさないよ。だってまだみんな寝ているでしょ? 起こしちゃだめ。迷惑をかけるのはだめ。
だから作った合い鍵で中に入いるの。
「おじゃまします」
ゆっくりとしずかにね。差し足忍び足は忘れないよ。
「……ふにゃ?」
「誰よーこんな時間にー」
あ。今日はしゅうくんのお家にお邪魔したんだけどね、その時にふたりの妹さんに会ったよ。
元気いっぱいの珠藻(たまも)ちゃんと大人し系の珠樹(たまき)ちゃんに。
「すい姉さま」
「すぃ姉ぇ……おは……ふぁ」
お手洗いに起きただけでふたりともまだ眠気眼だったから、おふとんにまでつれていってあげてふたりが寝るまで一緒にいたの。寝顔の写真……見る?
あとの話はかんたんだよ。ふたりが寝たのをかくにんしてからしゅうくんのお部屋に行って寝ているしゅうくんの寝顔をばっちりみて、ずっと隠れていただけだから。

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「クローゼットの中に」と最後に言ったところで翡翠の話は終わったようだ。終わってくれたみたいだ。話を聞いている間ずっと震えが止まらない、この震えの発症原因が怒りなのか恐怖なのかよく分からないが、一つだけ言わせてもらいたい。なんで、

「なんで――「やっぱり隠れるならクローゼットだよね!!」は?」

アホ子が俺の言葉を遮りやがった。テメェ。
翡翠と仲良く手を繋いでうんうんと何かを確かめ合い、頷き合っている。他の奴らは少し引きつったような表情で固まっている。
おい、待ておまえら、ツッコミどころしかないんだが、おかしな点しかないんだが、いったい俺はこの話のどこから突っ込めばいい? なにから切り返せばいい? 教えくれ神様!

※知らん。

おいぃぃぃこらぁぁぁぁぁ!!
無責任な自称神に見捨てられ、

「じゃあ、水着買いに行こうっ!!」

「おぉ~だしー!!」

「しーさんっ、こうなったら自分がしーさんに似合う新作の水着選んであげますからねっ!」

「気持ちは嬉しいけど、僕は水着なんて着ないからいいよ…美希」

「庶民のお店に僕様に似合う水着はあるのかな?」

「あ、じゃあ水仙時(ナルキッソス)さんはお留守番ということで~いいですね~」

「え……いや、行くよ、僕様も……?」

「新作の水着、ど、どんなのがいいかしら///」

アホ共は俺を無視し好き勝手に話を勧め、勝手に盛り上がりそして、

「んじゃ、あっくんのせいで尺使い過ぎたから、無理やりにでも切り上げてお店へ行かないとね~~」

おい、尺なんだっ、アホ! 俺のせいでってなんだっアホ!

「「「ワーーープ!!」」」

いつの間に打ち合わせしたのか、俺以外の全員が一斉に同じ言葉を叫びジャンプすると、

「ついたー!!」

何故か、大型ショッピングモールしかも3階中央、女子高生に今大人気と朝の情報番組で言っていた水着専門店の前に全員で立っていました。

「はあああああぁぁぁぁ!!?」

※その日。ショッピングモール内では、男子高校生の絶叫が響き渡ったりしたそうな、そうでもないそうな。
水着コレクション『ルイ君はトモ君を呼ぶ』へつ・づ・く☆


 
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