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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1847話

「ぐはぁっ!」

 悲鳴を上げながら、大渡がリングの上に倒れる。
 そして周囲のボクシング部員や真田のファン達の視線が俺に集まった。
 いやまぁ、大渡がボクシングをそれなりに出来るとしても、結局のところそれなりレベルでしかない。
 とてもではないが、俺とまともにやり合える筈がなかった。
 元々真田よりも弱かった大渡が、俺とまともに戦ってどうにか出来る筈もない。
 まぁ、純粋なボクシングというのは実際には初めてやったので、新鮮ではあったが。
 ちなみにボクシングは初めてやった俺だったが、ボクシングのルールを全く知らない訳ではない。
 ボクシング漫画とかそれなりに見ているので、多少はルールを知っている。
 もっとも、本格的に全てのルールを知っている訳ではなく、あくまでも大まかにだが。
 ともあれ、そんな俺でもカウンターとかそういうのは分かるので、今回大渡を相手に試してみたら、思っていた以上に派手に決まってしまった訳だ。
 うん、それなりに楽しいかもしれいな。
 ボクシングのグローブはパンチ力をある程度弱めてくれる。
 おかげで、こっちの攻撃は手加減に手加減を重ねつつ、グローブでちょうどいい具合に威力を抑えてくれた。

「ちょっ、大渡、大丈夫か? ……駄目だ、気絶してる! おい、リングから大渡を下ろすぞ!」

 ……それでも、大渡を気絶させる程度の威力はあったみたいだが。
 一応意識を奪いはしたが、致命的なダメージとか、後遺症の残るダメージとか、そういうのは与えていないので、起き上がれば……まぁ、少しの間は痛みに呻くかもしれないが、それ以上は問題ない。
 正直なところ、蟻を潰さないように掴む要領の力加減が必要だったから、何気に俺にとってもいい訓練になったかもしれない。

「嘘だろ? 大渡は2年でもトップクラスの実力を持ってるんだぞ? それが、1撃で……」

 ボクシング部の部員が驚いている様子が伝わってくるが、真田はそんな連中には構わず、寧ろ嬉しそうにリングに上がる。

「さぁ、次は俺の番だ! いいか、アルマー!」
「あー……ここで駄目だって言っても、意味はないんだろ?」
「当然だ! さぁ、準備をしろ!」

 そう言われ、まぁ、こうして実力を見せてしまったんだし、個人的には真田のような性格はムラタを思い出して嫌いじゃないという事もあり、リングの上で真田と向き合う。
 ……まぁ、ムラタを思い出しはするが、真田はムラタ程物騒な奴じゃないんだよな。
 勿論、それはあくまでも以前のムラタであって、今のムラタは抜き身の刃ではなく、しっかりと鞘に収まった刃と表現するのに相応しいが。
 ともあれ、ムラタの……じゃなくて真田の方はもう準備が出来たのか、リングで俺に向き合ってくる。

「この状況でやるのか?」
「ああ、頼む」

 真田にこうまで言われて断ったりすれば、間違いなく周囲から面白く思われない。
 かといって、真田を圧倒的に倒すというのも、真田本人にとってはともかく、そのファンやボクシング部の部員にとってはおもしろくないだろう。となれば……

「分かった。ただ、今日はこの前とちょっと条件を変えるぞ」
「……条件を?」
「ああ。具体的には、俺がリングの中を逃げ回るから、俺に攻撃を当てられるかどうかだ。俺からは攻撃しないから、攻撃されるかもしれないということは気にせず、思う存分攻撃を仕掛けてくればいい」

 逃げ一辺倒だと最初に宣言しておけば、真田のファンやボクシング部の部員であっても俺を責めるようなことはしない……筈。
 少なくても、俺が真田を攻撃するよりは随分とマシになるのは間違いない。
 こういう奴等に責められると、後々ちょっと面白くない事になったりしそうだしな。
 いや、俺だけならともかくとして、ゆかりや桐条といった面子にも迷惑を……どうだろうな。
 ゆかりも桐条も人気が高い。
 そんな連中に迷惑を掛けるような真似をした奴がいた場合、そいつは間違いなく酷い目に遭うだろう。
 そうならない為にも、俺がやるべきなのはこの場を何の問題もなく乗り越える事か。
 幸いにもと言うべきか、真田も俺の言葉に反対ではなく、ある程度やる気になっている。
 もし俺が攻撃してもいいという事になれば、どのみち真田には取る手段がない。
 であれば、俺の提案に乗って回避に専念する俺に攻撃を当てる事に専念した方がいいという、そんな判断なのだろう。

「分かった、それでいい」

 真田は彼我の実力差を理解しているから、あっさりと俺の言葉を了承した。
 だが、それを分かっていない者達にしてみれば、その言葉は意外でしかなかったのだろう。
 周囲から驚愕の視線を向けられたまま、俺と真田はリングで向かい合う。
 既に気絶した大渡はリングから下ろされている事もあって、現在リングの上にいるのは俺と真田の2人だけだ。
 そして、お互いに準備が整ったと判断したのだろう。
 やがて真田は、特に何の合図もなく俺との間合いを縮めてくる。

「シュッ!」

 鋭い呼気と共に放たれたのは、ジャブ。
 格闘技の中では最速のパンチと呼ばれているそれが貫いたのは、俺が一瞬前までいた空間にすぎない。
 ジャブが放たれた瞬間、俺は既にリングを蹴って真田のすぐ横に向かっていた。
 瞬動とかを使えば一瞬で移動出来るのだが、まさか一般人が多いこの場所でそんな真似をする訳にもいかないだろう。
 そう判断しての行動だったが、真田にとってはそのくらいの速度であれば目で追うくらいの事は容易に出来たのだろう。
 ジャブを打った手を戻し、そのまま自分の右隣にいる俺に向かって拳を放つ。
 きちんと構えている状態から打った訳ではない為か、最初のジャブと比べると速度は劣る。
 だが、真横にいる俺目がけ、視線を向けもせずに打ってきた一撃だけに、意表を突くのは十分だった。
 その一撃を回避しながら、軽くプロテクター……だったか? 頭部を守っているその上から叩く。
 当然かなり力を加減しての一撃だったので、真田が吹き飛ぶような事はない。
 しかし、そうして頭部に触れられた事そのものが真田にとっては許せない出来事だったらしく、半ば意地になって俺に拳を放ってくる。
 拳の勢いはそれなりなのだが、放たれる一撃の精度が甘い。
 頭に血が上ったのか、それとも1発でも多くのパンチを俺に放とうとして精度が落ちたのか。
 その理由は分からなかったが、それでも俺の意表を突くという点ではそれなりに効果がある。……あくまでもそれなりだが。
 本来ならこっちに打ってきた真田の手首を掴み、そのまま投げ飛ばすという選択肢もある。
 だが、今回はあくまでもボクシング部の活動の中で行われている模擬戦……スパーリングである以上、こちらもそのルールに合わせる必要がある。
 なので、こちらに向かって放たれた真田の拳を回避しながら、背後に下がる。
 丁度俺のすぐ前を通りすぎていく真田の拳。
 ボクシング部の部員からは、惜しいといった声が漏れ聞こえる。
 いやまぁ、傍から見れば惜しいと感じても仕方がないようなやり取りだったが……
 その後も何度となく俺に向かって拳を放ってくる真田だったが、その攻撃のことごとくを、俺は回避していく。
 自分の攻撃が一切当たらない模擬戦。
 普通であれば、やる気がなくなってもおかしくはないだろう。
 だが、真田は……

「ちぃっ!」

 己を叱咤するかのように鋭い舌打ちをすると、更にこちらに向かって攻撃を繰り返してくる。
 しかし、その攻撃は俺に当たるようでいて、当たらない。
 次々に放たれる攻撃が一切命中せず……この頃になると、ボクシング部員の口から出ていた、惜しいというような声も聞こえなくなる。
 皆、この模擬戦を繰り返す中で理解したのだろう。真田の攻撃が惜しいところで回避されているのは、俺が意図的にそうしているのだと。
 そのまま時間が経ち……カーン、という金属音が周囲に響く。
 その音と共に真田の身体から力抜け、少しだけ荒くなった呼吸を整える。
 1ラウンド、3分だけしか行われていない模擬戦だったが、真田は空振りを続けた。
 攻撃が空振りするというのは、予想以上に体力を使う。
 もっとも、真田も影時間にシャドウとの戦いを繰り広げてきた男だ。
 この程度の肉体的な疲労は、そこまで堪えるものではない筈だった。
 だが……今回の場合、どちらかといえば肉体的な疲れより、精神的な疲れという一面の方が大きい。
 1発の拳も俺には命中せず、全てを限界の見切りで回避される。
 それが、精神的な疲れを真田に与えたのだろう。
 真田がたった3分でこのように疲れ切っているのは、それが理由だった。
 もっとも、真田の表情に絶望とか諦めとか、そういうのはない。
 真田は俺との間にある力の差が、本当ならどれくらいのものなのか、それを知っているからだ。
 今日のようにボクシングルールではなく、以前の模擬戦で実際の俺の力を感じているのだから。
 ……まぁ、それでもかなり手加減に手加減を重ねた結果だったのだが。

「あー、畜生。やっぱりアルマーには届かなかったか。今日は結構自信があったんだけどな」
「そうだな、この前に比べると少し動きが良くなっていたのは事実だ」
「そうか!?」

 俺の褒め言葉が嬉しかったのか、真田は目を輝かせる。
 そんな真田に対し、俺は頷きを返す。

「ああ、少しではあるけど、間違いなく動きはよくなっている。短時間だが、訓練の結果は出ているという事だろうな」
「そうか……やはり、プロテインは最高だな」
「いや、何でそうなる」

 真田の口から出てきたまさかの言葉に、俺は呆れたように呟く。
 トレーニングを褒めたにも関わらず、何故か真田の口から出てきたのはプロテイン最高という言葉。

「うん? 何と言っても、プロテインは身体を作るのに最適の食べ物だからな」
「食べ物? ……食べ物、か?」

 俺の知っているプロテインというのは、きな粉のような感じの粉状の代物だ。
 それを牛乳とかに溶かして飲むのが、一般的なプロテインの摂取方法だろう。
 勿論今は溶かさなくても最初から飲み物になっているプロテインとか、そういうのもあるらしいが。
 ともあれ、プロテインは分類的……栄養補助即品? サプリメントとか、そっち系じゃないか?
 まぁ、その辺りを迂闊に突っ込んで、プロテイン談義とかをするのはごめんなので、受け流すが。

「これまで通りのトレーニングを重ねて、色々な戦いを経験する。それだけで、真田はまだ十分強くなれる筈だ」
「ああ、分かった」

 色々な戦いという言葉に含まれているのは、ボクシングとしての試合だけではなく、影時間に行われるシャドウとの戦いも含まれていると、そう理解しているのだろう。
 まぁ、実際真田には戦いのセンスと呼ぶべきものがあるのは間違いない。
 前向きで、戦いにおいて積極的に攻撃に出る事が出来るというのも、褒められる。
 ただ……楽観的というか、前向き的というか、もう少し慎重さとかはあってもいいと思うんだが。

「さて、じゃあ真田の用件も済んだんだろうし、俺も……ん?」

 そろそろ帰る。
 そう言おうとしたのだが、リングの前には大勢のボクシング部の部員が集まっていた。
 最初は真田に勝った俺を許せずに絡んでくるのかとも思ったが、そういう訳ではないらしい。
 集まったボクシング部員達が俺に向けてくる視線には、敵意の類は殆どないのだから。
 ……殆どと称したように、何人かは俺に敵意を向けている奴もいる。
 まぁ、真田はボクシング部のヒーローだったんだ。
 そんな真田が、俺に手も足も出ず一方的に負けたのだから、真田を慕っている者にとって俺は許せない相手という認識でもおかしくはない。
 それでも俺に向かって何も言わないのは、負けた真田本人が全く気にしている様子がないからだろう。
 それどころか、気力に満ちた表情を浮かべている。
 もしここで俺に何か文句を言ってくれば、それは真田の機嫌を損ねる事になるのは間違いない。

「すまないが、君に……アクセル・アルマー君だったね? お願いがある」

 そう言ってきたのは、他のボクシング部員を率いている男。
 一番前にいるその人物の言葉に、俺は首を傾げる。

「お願い?」
「ああ。……真田に勝てるだけの実力を持つ人物を、ここでみすみす見逃したいとは思わない。どうだろう。ボクシング部に入ってみないか?」
「あー……そっちか」
「そっち?」
「いや、何でもない」

 俺に対して敵対的な行動をとるのかと思いきや、まさかのスカウトだった。
 いや、真田に勝つだけの力を持っているのだから、ボクシング部にとっても俺は欲しい人材なのは間違いないだろう。
 もし俺をボクシング部に入れれば、月光館学園のボクシング部は黄金世代とでも呼ぶべき事が出来るようになるだろうし。だが……

「悪いな、俺は色々と忙しいから、部活をやるのはちょっと無理だ」

 そう告げるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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