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俺のペットはアホガール

作者:猫丸
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その十四「夏休み初日の風景~壱」

窓の外から町を見ていると思う。

「この町も変わらないな」

―と。

「そうでございますね」と車のバックミラー越しに運転中の爺やが頷く。彼は僕様の家に長年使えている一族の者だ。僕様にとっては少々口うるさい教育係くらいにしか、思っていないけどね。

「この町に僕様が帰って来るのは…そう、夏休みぶりとなるのかフッ」

夏休みの間、父様の仕事の都合で海外に行っていたんだ。マカダミアナッツが美味しいあのハワイだよ。
ワイハーなのだよ。

「フハハハッハ。凡人共がこのお土産(マカダミアナッツ)欲しさに僕様にひれ伏す、姿が目に浮かぶようだよ!」

マカダミアナッツは世界をも牛耳ることの出来る必殺アイテム、とお爺様も行っていたしね!
昔マカダミアナッツをめぐって世界大戦が勃発したりしたそうだけど



***(こんな感じ)


アメ『お前。おれ俺のマカダミアナッツだろ』

ラリア『え? そうなの? ごめんちゃーい☆』

アメ『なんじゃ、その謝り方はー!! プンプンッ怒っちゃもんね~!
   俺ん家の大砲が火吹いちゃうもんねー!』

ラリア『え? マジ? じゃあ焼け野原にしちゃお~と♪ ライヴァルは少ない方がいいし~』

アメ『上等じゃコラー! 戦争邪ボケー!』


アメとラリアで起こったマカダミアナッツ戦争の火の子は他の国へも飛び火し、戦火の炎は瞬く間に広がって行きのちに第一次世界大戦へと発展していったのだったー嘘である。

***

国限定マカダミアナッツを交換して、マカダミアナッツパーティーを開いて無事に解決したそうだよ……と母様がおっしゃっていたのさ。


***(こんな感じ)

オカンア『あんた達なにしとんねん!』

アメ&ラリア『あ、オカンア!!』

オカンア『もうあんたらは他ん人まで巻き込んでからに~』

アメ&ラリア『だって~こいつが~』

オカンア『ドイツもロシアも知るか! ほら他ん国の子達が、早く仲直りしてねってマカダミアナッツくれたよ!』

アメ&ラリア『みんな~~ありがと~~、ごめんちゃーい!!』

オカンア登場と他の国のおかげで第二次世界大戦にまで発展したマカダミアナッツ戦争は終止符を打たれたのでしたー嘘である


***



そんな、こんな、感じでマカダミアナッツとは凄いアイテムなのだ! これさえあれば、あいつらを見返せることだって……!

「出来る!!」

「坊ちゃま、着きましたよ」

「う、うん…そうか、ごくろう」

爺やはきっちりと校門前にリムジンを止めたようだ。マカダミアナッツの事を考えていて、着いていたことに全然気が付かなかったよ…。

「「「ワイワイわい」」」

「そこ! 静にしなさい! そこの貴方はまだ終わっていないでしょう!」

「なんだ? …あれは」

校門の前に沢山の生徒達が集まって何故か賑やかだ。人込みの中に一人、時事を出しているっぽい女子生徒の姿が見える…まさか!

「僕様のファンの子達が、出待ちをしている!?」

夏休みの間、会えなくて寂しかったから…と校門の間で出待ち!? しかもあんなに沢山の生徒達が!!?

「ふふふ…、僕様も随分と人気者になってしまったようだね」

鞄を持ち、先に降りた爺やが車のドアを開ける。

ー長居間、お待たせしちゃったね、ファンの子達

「僕様。水仙寺(すいせんじ) 優雅(ゆうが)が帰って来たよ! 君たちの元へねー」

「………」

「あれ…?」

僕様が登場したというのに、スタスタと前を通り過ぎてゆく女子生徒、男子生徒、その他凡人達…なして?

誰一人として、僕様の期間を喜んだり、感動して泣いたり、感情が限界点を超えて気絶して倒れた子もいない…なして??

「そこの貴方!」

ふっやっと僕様のことに気づいたようだね、一人の女子生徒が声をかけてきたよ。

「サイン欲しいのかい? それとも…「そんな道のど真ん中に立っていたら、通行の邪魔です! 早く校舎の中へ入ってください」…え。あ。はい」

どうやら…彼女は僕様のファンの子じゃなかったらしい。…とゆうより、知り合いだった。
クラスメイトであり、生徒会長の高浜(たかはま) 律子(りつこ)君だった。彼女以外にも他の生徒会メンバー諸君が、持ち物検査をしているみたいだ。

見られて困るものなんて入っていないからね。

「さあっどうぞ、僕の鞄の中をチェックしてくれた…「…あの邪魔なんでさっさとそこ、どいてくれせんか?」…え。あ。はい」

ワインレッドの髪色の女子生徒に睨まれました…。僕様、まだ持ち物検査してないのにいいの? …通っていいの?









気を取り直して、教室だ! 教室でこそ僕様のファンの子達が出待ちをしてるに違いない!!


※もはや、やけくそですか?


ガラッと勢いよく、教室の引き戸を開ける、僕様。教室の中には数名の生徒がいだけだった…いや、まて知り合いがいた!
だ、大丈夫! 彼らなら、きっと僕を温かく向か入れて…

「誰ですか~? ドア開けたの~。風が入って来て寒いんですが」

「飯野君!」

クラスメイトの飯野(いいの) 大和(やまと)君がこっちへやって来る。フッ、彼とはあまり深く話したことはなかったけど…そうか、本当は僕様のファン…

ばたんっ

「え…?」

「あ~寒い、寒い~」

ドアの前に立っていた僕様。飯野君とは確実に目が合った、合っていたともさ!
なのに閉められました、目の前でばたんっとドアを閉められました。

「あ。忘れてた~」

飯野君の声が近づいてくる。そうだよ、僕様! 僕のことを忘れてるよ飯野君!!
ガラリとドアを開けた飯野君は…

「セット完了~と」

ドアの上にチョークまみれで白くなった黒板消しをドアで挟んで、開けたらチョークまみれになる、一種の伝統的イタズラを仕掛け、また自分の席へと帰って行きました…なして?

「そうか! これは試練なのだね!」

飯野君が僕様へ与えた試練! 久々に会う友へのイタズラと言うわけなのだね!!

「フッ。おろしたての制服が汚すのは少し気が引けるが……友が僕様のために用意した試練! ならばそれにこたえるのも友さ!」

僕様はまたガラッと勢いよくドアを開けて、ぽふっと黒板消しを頭で受け止めた。当然、僕様は全身チョークまみれだ。
でもいいのさ、友が喜んでくれる顔が見れるのならそれで!!

「しおー。あたしらずっと、友達だし~♪」

「きゃああああ」


誰も僕のことなんて見ていませんでした……。

「友情って本当~めんどくさいものですね~」

僕もそう思います。


とぼとぼ、しょぼしょぼ、制服を着替える為、僕は保健室へと向かいました。
廊下を歩いている途中、校門の方でツインテールの女子生徒と高浜君がなにか言い争いをしているよに見えたけど、きっと気のせいだろうね…。


ーと思って流したら、お昼休憩の時間にあったという海苔巻きパーティーに呼ばれませんでした。うう……なんで僕ばかりこんな目に。



頑張れ! 優雅! 誰にだって明日はやって来る! 幸せな一日かは知らんけど(笑)



 
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