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蛇の血をひく日向の子とやりたい放題の剣客たち

作者:笠福京世
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第03話 先生が大蛇丸とか頼んでない

「まさかハクジャが子供を産んでおったとは……」

 木ノ葉隠れの里の三代目火影、猿飛ヒルゼンが驚きの声をあげる。

「両目に宿る白眼が日向一族の証とはいえ、父親があの岩隠れのセキ一族とは」

 御意見番を務めるメガネをかけた老人(名前忘れた)が嘆かわしいことだとため息をつく。

「それでハクジャはどうした?」

「母ハクジャは私の出産により体調を崩し私が三つのときに亡くなりました」

「死体は?」

 三代目は母の死を悼んでいるが、
 志村ダンゾウは何の表情も浮かべず冷たい目をしてこちらに問いかけてくる。

「それについて父ハンが、この巻物を日向宗家の方に渡すようにと――」

 懐から出した巻物を黙ってダンゾウが奪い開けようとするが三代目が手で制す。

「至急、日向ヒアシを呼べ、それと大蛇丸も」「大蛇丸もか?」

「白蛇(ハクジャ)は大蛇丸の従妹じゃ。日向に嫁いだ叔母の娘にあたる。
 今となっては数少ない血縁。立ち会う権利もあろう」

「フン。相変わらず弟子に甘いの」

 お母さん、大蛇丸の親戚だったんだ。知らなかった。
 たしかに肌は白くて滑らかで体温は冷たく身体は柔らかった覚えがある――蛇かよ。

 あーあ。何だか嫌な予感がする。

 独りで冷や汗をかいていると、日向ヒアシと大蛇丸がやってきた
 僕の両目を見てヒアシは流石に驚きを隠せないでいた。

 三代目が簡単に状況を説明し巻物を手渡す。ヒアシはそれを開けて黙って目を通す。

 大蛇丸は僕の方を興味深そうな目で見つめてくる。蛇のようにチロリと伸びる舌が怖い。

 巻物を読み終えたヒアシが、三代目に巻物を渡す。
 三代目が読んでいいのかと目で問いかけ、ヒアシが頷くのを確認すると巻物に目を通し始めた。

「なるほど。沸遁使いが処理したと言うなら白眼が他里に漏れることはあるまい」

「にしても岩隠れの秘密の一つも寄越さんとは気が利いておらんな」

「それこそ互いに里を抜けたとはいえ裏切ったわけではないと言うことよ」

「先の大戦であれだけ名を挙げた蒸気忍者の話も聞かなくなっておった。
 岩隠れの里も、まさか抜け忍になったとは思わず、こちらと同じで戦死扱いとしたのじゃろう」

「フン。小僧、沸遁は扱えるのか?」

「……未熟ですが多少は、それに修行法についても父に教わっております」

「ならばよいか。沸遁の使い手は木ノ葉におらん」

 ダンゾウのヤツはこちらを利用する気満々だ。流石に気分が悪い。大蛇丸が巻物に目を通す。

「あら? 滝隠れの里の秘伝については書かれてるじゃない」「フン。英雄の水か」

「この子の養育費として日向宗家に預けるとあるけど、私も少し分けて貰ってもいいかしら?」

「どういうことだ?」

 今まで沈黙を守っていたヒアシが大蛇丸に目を向ける。

「もちろん、白眼は日向一族が預かるのは当然よ。けど私も従甥っ子の面倒を見るくらいは構わないでしょ?」

「大蛇丸、どういうことじゃ?」

「今年からアカデミーを卒業したばかりの下忍を一人面倒を見てるのよ。一人も二人も一緒でしょ?」

「オヌシの下で修行させると?」

「そうよ。この子に蛇術やウチの一族の秘伝を教えれるのは今や木ノ葉では私だけよ?」

「白眼に、沸遁に、蛇一族の秘伝忍術か……使える忍びであれば暗部の養成部門に欲しいの」

 暗部はともかく、いや暗殺戦術特殊部隊も嫌だけど、アンタの私兵である根はノーサンキューです。

「火の国の周辺の争いは落ち着いて来たとはいえ大戦中。
 たしかに子供らも下忍や中忍として戦っているとはいえ、
 木ノ葉の教育を受けておらん者をいきなり戦わせるわけにもいくまい」

「まさかダンゾウ様は日向の血族を使い捨ての駒とするおつもりか?」

「フン。そうとは言っておらん。将来の話よ。
 それに優秀な忍びであれば今は喉から手が出るほど欲しいのは事実よ」

「ではヒアシよ。大蛇丸の申し出はどうするのだ?」

「親族に修行を任せることは反対しません。
 一族の者も多くが戦に出ておりますので適任者がいないのもあります。
 それに三忍の一人であれば実力的に万が一もないでしょう」

「あら? 日向の呪印は施さないの?」

「もちろん白眼を継ぐ分家の者に呪印を施すのは日向の掟」

「失礼、聞くまでも無かったことね」

 必要以上に空気を読んで結局は何も言えないタイプだけど口に出して言いたい。

 大蛇丸に弟子入りするのも嫌だし、日向の呪印だって拒否したい。。

 抗議しても無駄だって分かってるけど、一言モノ申せる人間に――僕はなりたい。


 結局は黙ったまま日向の屋敷に連れていかれて額に卍のような印を刻み込まれることになった。

 呪印についての説明を受ける。

 まず宗家の者は秘印を結ぶことで呪印が刻まれた者の脳を容易に破壊できること。
 つまり分家の人間は宗家に生殺与奪の権利を握られているので逆らえない。
 そして呪印は死んだときしか消えず、それと同時に白眼の能力を封印するように仕組まれていること。

 日向家は最も優秀な血継限界を持つ一族であるがゆえに
 その秘密を狙うものは後が断たないので注意するように言われた。

 生殺与奪が握られてるのは良い気分じゃないけど別に逆らう気はないから――。

 けど、これさぶっちゃけダサいよね?
 ネジが額で隠してた気持ちが分かる。デザインがよくない。
 まあ額に刻まれてるカッコいいデザインって思い浮かばないけど。

 こうして僕は用紙に記した希望通り木ノ葉の里で生活を送る事になった。平穏な日常は何処へ行った?

 あと生まれたのは(第二次忍界大)戦後だけど、気が付けば第三次忍界大戦の真っ最中じゃないか!

 クレームだよ。クレーム。いい加減な仕事しやがって!転生の責任者出てきやがれ!! 
 

 
後書き
大蛇丸は蛇一族の本家筋で最後の生き残り。
大蛇丸の叔母が日向一族に嫁いで、その娘がオリ主の母であるハクジャ。

大蛇丸からすればマムシは正確には従兄弟違い(いとこちがい)だが、
従甥っ子と書いて無理やり「おいっこ」と読む。
マムシからすれば大蛇丸は従伯父に当たるが、無理やり「おじ」と読む。

大蛇丸は先生どころか従伯父(おじ)さんである。 
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