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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  聖杯戦争



速度の完全・コール
捕えたられたその男は、何一つ語ることなくその完全により死んだ。


そこからわかったことは一つ。
彼等の完全に、エネルギー源はない。

再生は無限に続き
攻撃に終わりはなく
見極に限界はなく
硬化はどこまでも進む


「意図的に暴走を引き起こすことは出来ると思うか?」

「無理だろう。コールは追い詰められてそのスペックの全てを速度に回した。それではじめて暴走だ」

医務室で、蒔風が腹の具合を見ながらショウに聞く。
ショウの返答は、無理だという判断。


つまり


「では、戦っている内には暴走はしないと言うことか・・・・」

「完全の使い過ぎでは暴走しないってこと?」

「ますます一刀が惜しいね・・・・」

そして、医務室にいるほかの翼人も口をそろえる。


あれから一晩したが、一刀はいまだ帰ってこない。


「一刀なら、相手を追い詰めることも可能だったんだがな」

「あいつ何やってんだ・・・・魔術師のねーちゃんでもひっかけてんのか」

「一刀ならありうる」

実際には彼等の失礼な推測とは真逆である。
今一刀はキメラに手いっぱいです。



「ったく・・・・追い詰められてるな」

「まったくだ」

バサッ、と包帯を巻いた身体に服を羽織り、留めていく。
そして二、三回体を点検するように伸ばす。

喉から「ん~!」と声が漏れ、溜息とともに脱力。


「どうだ?」

「まあ支障なしだな。コールとかいうのがああなったのは正直残念だけど」

「敵が減ったと、今は考えよう」

「そうだね。とにかく今は今だ」

「私、治す?」

「いや、観鈴はもっとヤバいときのために温存したい」

観鈴の提案を、蒔風がありがたく思いながらも断った。


正直に言って今回の戦いで、蒔風は自身の戦力をあまり大きく見ていない。

もともと戦えるクラウド。
防御力最硬の理樹
万能の能力持ち、一刀
最大治癒能力の観鈴
更には自分よりも力のあるショウ

その中で、この中でまとめ役とはなっているものの特に突出した力を持たない蒔風だ。

最大の力が「理解して突破」である以上、相手の得体が知れない今の状況では、少しばかり相手が悪い。



「まあだからって諦めるわけじゃねえけど」

最後まで足掻く。
絶対に解き明かして見せると意気込み、部屋から出る。


時間はもう12時を回り、本格的に午後へと突入する頃だ。
まだ残暑と言える物の、少しずつ肌寒くなってきた気がする。

薄ら寒さは、本当に季節から来るものなのか。
敵の得体のしれなさに、背筋が少し冷えた。



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「魔力に変動は?」

「ないの」

「なあなあ、今の内に攻撃したらどーよ?」

「はわわ!!ま、待ってくださいあんこちゃん!」

「杏子だ!!ってか年下にちゃん付けされてる・・・・・」

「わ、私はもう大人ですよ!!」

「そうだぞ~。朱里さん、俺より年上だぞ」

「ロッ、ロリババア・・・・・」

「バッ!?」

「杏子ちゃん!!朱里ちゃんに謝りなさい!!」

「うぇえ!?ってかあたしから見たらあんたも」

《ディバイン?》

「うん」

「ダァッ!!うそうそ!!うそですっての!!」


「EARTH」(仮)の屋上で、四人が「EARTH」ビルを取り込んだ大聖杯を監視していた。
とはいっても、監視としてやってきたのはなのはと朱里で、翼刀と杏子はパンをモグモグと頬張り朝食ついでだ。


大聖杯の出現から18時間以上経った今でも、向こうに動きらしいものは見られていない。

一応、令呪配布がはじまった時のために魔術を扱えるものは数人いる物の、そちらに反応もない。



「嵐の前の静けさってやつかねぇ?」

「うん・・・・ていうか杏子ちゃん、学校は?あるよね?」

「サボった」

「おい」


あっさりとばらす杏子に、翼刀が突っ込む。

基本的には「EARTH」以外はいつもと変わらず日常が回っているのだ。
故にヴィヴィオも唯子も学校に行っているわけだ。


「学校行きなよ」

「ベンキョーとかつまんねぇし」

「さやかちゃん、泣くぞ?」

「ぅぐ・・・・・」

「マミちゃんさびしがるだろうなぁ」

「・・・・・」

「まどかちゃんやほむらちゃんは心配するだろうなぁ・・・・」

「う、うっせー!!!」

翼刀の言葉に、すわりが悪くなったのか飛び出していってしまう杏子。
やれやれと頭を掻きながら、翼刀がため息を一つつく。



「行ったと思います?」

「解りませんね。まああとはアリスさんに任せます」

翼刀の推測通り、杏子は一階のアリスに見つかって見滝原中学に放り込まれていった。
扉一つで空間をつなぐ管理者に死角はなかった。



「でさ、杏子ちゃんも言ってたけど・・・・」

「今の内に攻め込む、ですか?」

翼刀が話題を戻す。
さっきは話題が逸れてしまったが、杏子が言っていたことはあながち外れてもいない。


「今の内にあの大聖杯破壊したら、セルトマンの計画もおじゃんじゃないか?」

「ですが、その時に溢れ出す高濃度の魔力の被害の方が大きいです」

「やるにしても、「EARTH」中心に数キロ以内の住民の避難をしないとダメだよ」

「じゃあ・・・・あ、だめか」

「うん。セルトマン達がそれを見過ごすはずないし」

「同時に人質もとってるわけね・・・・・」


十数年前の冬木の大災害。
あれも聖杯を破壊したことによる高濃度の魔力漏れが原因だった。

それによって焼失した地域は数十キロ。
それだけの人間を、セルトマンの妨害を防ぎ避難させることは事実上不可能なのだ。


「だから、あれは解体するしか手がないの」

「じゃあ、とりあえず突入とかは?」

「高魔力の中ですよ?しかも、今は相手の陣地です」

「流石に自殺行為、かぁ・・・・・」

顎に手を突き、どうしたものかとうなだれる翼刀。

結局のところ、受け身に回るしかないのだ。
飛び出してきたセルトマン達を、こちらで迎撃するしかない。



「お~い、ここにいたのか」

と、そこに蒔風が扉を開けてやってきた。

なのはが駆け寄り、傷は大丈夫かと心配していく。
その頭を撫で、蒔風が大丈夫だと笑って返す。


「方針が決まった。来てくれ」

短くそれだけを言う。
どうやら、こちらから仕掛けるつもりらしい。




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「とりあえず、これ以上の時間は与えられない」

一回の食堂会議場で、蒔風が結論から述べた。


「打って出る。あの大聖杯を、破壊するぞ」

そう言う蒔風だが、大聖杯の説明を昨晩受けた者ならわかっている。
そこから漏れた高魔力を、一体どうすると言うのか。


「それに関しては、俺と管理者がどうにかする」

「順を追って説明しよう。まず俺とクラウドが、地脈を直接刺激して位置をずらす」


ショウの後から蒔風が続いて説明を始めた。


作戦はこうだ。


蒔風とクラウドの二人掛かりで、まずは地脈そのものをずらす。
そうすることで地脈の基点をずらし、大聖杯への魔力供給を断つのだ。

最悪、この地の地脈を殺すことにもつながる危険な作戦だ。

だがその調節はアリスが行うことによって、どうにか持たすそうだ。

そして、漏れた魔力はショウが喰らう。
理論上では、世界をも喰らったショウからすれば微量な魔力だ。


とはいえ、範囲が広すぎる。

故に、破壊すべきは一点。
全てを一気に破壊するのではなく、穴を穿ち、そこから魔力を流しだすのだ。

後はショウがどうにでもすると言い張った。


それぞれの行為が危険な賭けであるが、これ以外の方法があるわけでもない。


さらに言うならば、その間のセルトマン達の相手はそのほかのメンバーに任される。

蒔風とクラウドが地脈を崩し、一刀がいない今となっては、残った翼人は二人のみ。

「理樹、お前が要だ。んで、観鈴は極力出ないようにして後方支援。お前がやられたら、誰も戦場に戻れなくなるくらいに考えておいてくれ」

「う、うん」

「がんばるよ!!」


作戦の説明を終え、質問がないかどうかを見回す蒔風。
そしてどうやら無いようなので、パン、と手を打って終わりにする。


「じゃあ、行くか」

そう言って、外へと足を進める。

出来ればメンバーをもっと集めたいところだが、様子見だとして時間を空けたのが裏目に出た。
もはやこれ以上の時間を相手に与えるわけにはいかない。


「さて・・・・これが凶と出るか吉と出るか」

「やってみなきゃあわからないな」


もうすでに猶予はないと考える。

仮の建物から「EARTH」ビルまでは、150メートル程。
一瞬と言えば一瞬で詰められる距離だが、それは邪魔が入らなかったときの話。



そして、相手も今の状況での邪魔を許すはずがない。

だがそれはこっちが行動を起こしてからの、後出しの反応。
その隙をつけばあるいは―――――


「やぁーやぁーやぁー!!やっぱりソロソロだと思ってたよ!!」

「な・・・・・」

「大方、地脈をずらすとかの作戦でしょう?わかってるよ~、というか、それしかないしね」


しかし、一気に行くつもりで扉を開いた蒔風たちの前にはフォンが立ちふさがっていた。

作戦が読まれている。
だが、だからと言ってやめるわけにもいかないのが現状だ。


冷や汗が流れるが、蒔風はそんな様子を一ミリたりとも見せることなく、挑発するように笑う。


「は。そこで止めに来るってことは、そっちにとっても都合が悪い、ってことだろ?」

「まあね。聖杯の調節も、そろそろ終わるからね」

「それまでは」

「我々で」

「相手をするぜェ・・・・」


フォンの脇にもう三人が現れる。
セルトマンはいない。


相手も本気だ。
恐らく、ここがセルトマンにとっての正念場でもあるのだろう。

若しくは、遊んでいるだけか。


しかし、どちらにしろセルトマンが出てこない今がチャンス――――!!!

「いいか・・・・無理に戦うな!!時間さえ稼いでくれればいい!!」

『了解!!!』


相手の力がわかっている相手ならば、まだ喰らいつきようがある。

各々がその目的を果たそうと、なんの合図もなしに一斉に飛び出していった。




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「俺たちは一気に行くぞ!!シュン!!」

「みんな任せた!!!」


作戦の第一段階。
まずは蒔風とクラウドが地脈のライン上に乗らなければ話にならない。
どうあっても、「EARTH」ビルを中心に地脈に干渉するしかないのだ。


ならば、行く道は唯一つ。

一直線に、「EARTH」ビルへと突っ込むのみ!!!



「二人を援護だよ!!」

「行かせるかァ!!!」


なのはの叫びに、オフィナが反論するように叫び飛び出していった。

しかし、一気に駆けだしていく二人は振り返らない。
その背中に向かって、オフィナの両拳が振り下ろされていく。

その軌道上の大気を押しのけ、摩擦による膨大なエネルギーを上乗せした拳がその背に向かって叩きつけられ――――


「流動《フロウ》ッ!!!」

理樹がその間に割って入った。
そして同時に、バリアの表面を流してオフィナの拳を左右に開かせた。

大の字に身体を開くオフィナのその胸に、理樹の拳が狙いを澄ました。
硬堅なバリアで形作られたナックルが理樹の拳に纏われ、その一撃を突き出していく。


しかし、それをアライアが白羽取りの様に拳を止めた。
正確には、理樹の手首を挟み込んでその進行を止めたのだ。


「うぉお!?」

「感心するな!!お前は早くあの二人を止めろ!!」

「あ、オウ!!」


胸元に飛び込んできて理樹を受け止めたアライアに、オフィナが一瞬呆けた声を出すもすぐさまそれを飛び越して二人を追った。

それを見てから、アライアが理樹に多少イラついた表情と声を浴びせた。


「おのれまさか貴様・・・・俺に勝てないとみてほかの対象を相手にしたか!?」

自分を無視して、オフィナに向かったことがアライアには許せないらしい。
額に青筋立てて叫ぶアライアの拳は、理樹のナックルの手首部分にヒビを入れた。


「はは・・・だが仕方ないな!!貴様のバリアは、私には勝てん!!」

勝ち誇るアライア。
確かに相手の力量が自分を越えることがあるだろうが、あれからたったの一晩だ。

たった一晩で、人間一人の力の向上度などたかが知れている。
そう、たかが知れているのだ。


「そうだね。でも今護るべきはクラウドさんと舜だから」

作戦を重視し、今はやるべきことをやる。
そう言う理樹の目には、一切の迷いも不安もない。

「でも、今の発言は言いすぎじゃない?」


人間の向上度はたかが知れている。


「僕が勝てないって?―――――それはないよ」


翼人は、それを覆す。


「ゴッぶっ!?」


理樹の拳が、アライアの胸に突き刺さった。
見ると、そのナックルはただの拳型から、突起物が複数付いた、痛々しい形に変わっていた。

それはもはやメリケンサックやナックルなどとは殺傷力は比較にならない。


しかし、それ以上にアライアが驚愕したのは
認めたくない、目の前の光景は―――――


(こいつ・・・ナックルの手首部分を絞って――――!!)

ナックルの手首を覆う部分を理樹は薄皮一枚レベルにまで密着させた。
当然、手首を挟み止めていたアライアの手からそれははずれアライアの胸に再突進してきた。



それ自体は当たり前だ。

しかし、アライアが驚愕したのは


(その後も!!こいつの手首を掴んでいるのに!!こいつのバリアが削れない!!!こいつのバリアのナックルが、俺の胸を抉っている――――ッッ!!!)

その手首はアライアの力で再度捕まれたのに削れず、ナックルの棘はアライアの強固な胸に突き刺さって出血させていたことだ。



「僕らは、人の想いで戦う。僕に迷いがあったら、そりゃ弱くなるさ」

胸を押さえて蹲るアライアに、理樹がバリアを次々に展開させて臨戦体勢をとる。
その周囲に集まるのは、彼の仲間・リトルバスターズ。

「でもね、今の僕に――――迷いはない!!」


しかし、この状況にアライアは笑う。

やっと張り合いが出てきたな、と。


最硬の翼人VS硬度の完全


その勝者は、一体どちらになるのだろうか









一方、二人を追うオフィナ。
コール亡き今、速度において一番なのは彼だ。


現に、蒔風達を追おうとした加々宮とフォンは、「EARTH」(仮)の前で足止めを食らっていた。


「映司!!これで行け!!」

パシッ、カシンッ!!
《タカ!ウナギ!チーター!!》

「よっし・・・行くぞッ!!」

フォンを囲むは、亜種形態タカウーターのオーズ、そして変身したブレイドとアギトだ。



「津上さん、剣崎さん!!よろしくお願いします!!」

「ああ!!」

「礼儀正しい人だなぁ・・・・」

しっかりと足をそろえて頭をさげるオーズに、感心するアギト。

三人のライダーが、この見極の完全を相手取る。




対し、加々宮は

「蒔風んとこ行かせろやぁ!!」

昨日、自分をコケにした蒔風をブチのめしてやろうと猛っていた。
その目の前に立つのは、なのはとクウガに変身した五代である。

「ここから先は行かせないよ!!」

「止めますよ!!」


邪魔をされ、ビキビキと額に青筋を溜めこんでいく加々宮。
叫びと共に身を任せ、二人に向かって突っ込んでいく。

そして、その加々宮に向かってクウガのキックとなのはの砲撃が叩き込まれた。



「はじまったか!?」

「振り返っている暇ないぞ!!!」

オフィナを理樹が一瞬抑え、そしてなおも追ってくると感じながら、さらに後方での戦いを察知する蒔風。
クラウドの声に、振り返りそうになる首をハッ、と前に戻す。


しかし、その背後にはオフィナがなおも迫ってきている。
地面を思い切り踏みつける勢いで、そのまますっ飛んでくるオフィナは、二人にとって脅威でしかない。



もはや勢いづいたオフィナは、二人を殴ろうなどという攻撃で止めようとは考えていない。

この勢いのまま体ごと突っ込んで、押しつぶしてしまうつもりなのだ。



肩の筋肉が盛り上がり、巨体となって突っ込んでいくオフィナ。
もし二人が振りかえれば、その肩にオフィナの身体は隠れ、真正面から見ればただの球体にしか見えないだろう。


そして、攻撃の完全は二人に追いついていく。
その距離を縮め、あと二秒で押しつぶす。


ドォンッッ!!!

それを、翼刀が受け止めた。

両腕でオフィナの巨体を真正面から受け止め、その衝撃を腕から脚、地面へと流し、足元の地面が壮大に陥没した。


「いかせねぇっての!!!」

不敵に笑い、翼刀が叫ぶ。
肩越しに二人を見、無事に進んでいることを確認してからオフィナを投げた。

綺麗に着地するオフィナ。
それまでの間に、翼刀が一連の動作から構えに入る。


「さぁて・・・・相手をしていただきましょうか!!!」







そのころ、別働隊として回り込んでいたアリスとショウは

「まさかあんたとこうして一緒に作戦をすることになるとはな」

「まったくです。不思議なものですね」

呑気に会話などをしながら、猛スピードで「EARTH」ビルへと回り込んでいた。



蒔風やクラウドよりも、ある意味重要な役割を持つ二人は、確実にその場へと進んでいた。
この作戦では、誰がやられても意味がないのだ。一気にやられることだけは避けたい。


このまま二人が地脈を崩し、アリスがその地脈が死なないように応急処置をし、ショウの準備が整ったところで「EARTH」(仮)からはエネルギーを溜めこんだ龍騎サバイブが、ドラグランザーに跨りファイナルベントで穴を穿つ手筈だ。

正面に出ているメンバーが少ないのはその為である。

その為にも、この四人は何がなんでも辿りつかねばならない。



「EARTH」の敷地内には、木々の茂っている小さなエリアがある。
そこに身を隠しながら回り込み、あとは「EARTH」ビルへと突撃するだけ。


その真横につき、その場所から出て行くぞ、というところで


「EARTH」ビルが一瞬だけ不気味に光った。
まるで、巨大な機械が起動したかのような、薄暗い光だ。



違和感を覚えるショウ。
そして、嫌な予感が脳裏によぎる。


「ま、まさか・・・」

「言うな!!というか、令呪の配布も何もないぞ・・・どういうことだ!?」


ショウも万が一選ばれるよう、魔力を練って体内にとどめている。
しかし、今の様子から大聖杯が起動したと言うのに、なぜその配布が始まらないのか。

これだけの人材がいて、なおも誰に与えるかを悩むことなどあると言うのか――――――


疑問、焦燥、悪い予感



顔を暗くさせる二人だが、そうしている暇など一瞬で過ぎ去った。


刃のような形状をしたエネルギーが、二人の首を落そうと振るわれてきたのだ。


アリスに飛びつくようにして地面に伏せるショウ。
頭上を通過したそれは、木々を数本切り倒してから短くなって行ってそれを操る人影の手元に収まって行った。

ボボボ・・・・と、その人影の手の中でバーナーのような音を上げる、エネルギー球体の音だけがする。



立ち上がろうとするショウとアリス。

二人はその相手の顔を見たわけではない。
しかし、はっきりとわかる。


その相手は


「まさか・・・あなた・・・」

それは、かつて共に世界を管理した者のひとりであり


「てめぇ・・・・」

そして、かつて自分をそそのかし世界を喰らわせた張本人―――――



「まさかの再開だなぁ、おい」


“LOND”


消滅したはずの男が、その場に確かに存在していた。



------------------------------------------------------------



そして、蒔風とクラウドは。
その地点に到着した瞬間、刃に襲われ後退させられていた。


振るわれた刀の剣圧に砂埃が起こり、その中から刀だけが伸びていた。


その異様に長い長刀は、その砂埃が使用者の姿を隠しても、その正体をはっきりと知らしめるに足るモノで――――


「貴様・・・・」

「バカな・・・・」


「久しぶりだな。私は、帰ってきた」


「そんな馬鹿な・・・なぜおまえがここにいる!?」

「セフィロス!!!」



蘇る死者たち。
復活する消滅した者。




「EARTH」の内部で、セルトマンがその顔を歪ませた。



「さあ・・・・聖杯戦争の始まりだぜ――――!!!」




to be continued
 
 

 
後書き

大聖杯、本格起動。
いきなり出てきたのはこの二人。

あー・・・・楽しくなってきた。


いろいろな推察は、次回に蒔風がやってくれます。

蒔風
「聖杯戦争って言うのがまともに運営されるはずがないのさ~・・・・」

アリス
「次回、イレギュラー?サーヴァント?」

ではまた次回 
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