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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1816話

「は? え? ちょっ!」

 ゆかりの戸惑ったような声が周囲に響く。
 騎士? それともケンタウルス? いや、面倒臭いからともかく騎士で統一するとして、その騎士のシャドウは俺達の姿を見ると真っ直ぐにこちらへと向かって突っ込んでくる。
 ゆかりは、そんな騎士のシャドウを見て、状況が理解出来ていないのか、戸惑った声を上げるのみだった。

「ちっ!」

 ゆかりが戸惑うのも、理解は出来る。
 小ボスは15階だろうと予想していたのに、何故か14階にいたのだから。
 だが、それでもいざという時、すぐに行動に移れないというのは痛い。
 先頭を進んでいるのがゆかりだったので、当然騎士のシャドウの攻撃対象もゆかりだった。
 そして、今のゆかりにそんな攻撃に対処出来る筈もなかった。
 このままではゆかりが無条件に攻撃を受ける。
 そう判断すると、俺は瞬動を使ってゆかりの前に出る。

「食らえ!」

 その言葉と共に発動したのは、鬼眼。
 相手にランダムな状態異常を与えるスキル。
 ……ランダムであるが故に、俺がどの状態異常を与えたいと思っても、その通りにはならないのが厄介だった。
 また、相手のレベルが高ければ効果は出にくい。
 だが、幸いこの騎士のシャドウは俺と比べても大分格下の相手だったらしい。
 騎士のシャドウの進行方向が突然俺から外れたのだ。
 そのまま真っ直ぐこっちに向かっていれば、少なくても俺と一合を交える事は出来た。
 ……まぁ、騎士のシャドウと表現しているが、両手は真横に伸びた騎乗槍のような感じになっているのだが。
 その騎乗槍も、動かすことは出来ない。
 少なくても真横から前に向けるような事は出来ないらしい。
 つまり、刃を交えるなんて真似は最初から出来なかった訳だ。
 もっとも、真横に伸びているだけに、進行方向が多少逸れても俺に攻撃が来るのは間違いないのだが。
 だが、馬――らしきもの――に乗っているので、当然その騎乗槍がある場所は高い。
 向こうが身体を斜めに傾げでもしない限り、こっちに攻撃が当たるような心配はなかった。
 ともあれ、向こうは俺から進路が逸れたまま、真っ直ぐにタルタロスの壁にぶつかる。

「……どうなってるの?」

 壁にぶつかった衝撃をものともせず、そのまま壁に向かって突撃を繰り返している騎士のシャドウを見て、ゆかりが呟く。

「さて、どうなってるんだろうな」
「ちょっと、アクセルが何かしたんでしょ? なのに分からないなんて事はないでしょ」
「いや、俺が攻撃したのは間違いないが……俺が使ったのは、鬼眼ってスキルで、相手にランダムで状態異常を与える能力を持つんだ。しかも、それがどんな状態異常かは、鬼眼を使った俺も分からない」
「何よ、そのスキルは……」

 呆れたようにゆかりが呟くが、格下相手の敵とはいえ、ほぼ確実に何らかの状態異常を付与するというこの能力は、BETAのような相手と戦う時には非常に重宝してるのだが。

「で? あいつは現在どんな状態異常になってるんだ?」

 荒垣の言葉に、壁にぶつかり続けている騎士のシャドウに視線を向ける。
 俺の隣で、ゆかりもまた騎士のシャドウを眺めていた。

「そう言われてもな。……さっきも言ったけど、どんな状態異常になるのかってのは、俺でも分からないし。ぶっちゃけ、石化になったり寝たりするのなら予想するのも難しくないんだが」
「……相手がどんな状態異常になるのかも分からねえうえに、実際に使った後でもどんな状態異常にしたのかも分からねえのか?」
「そうなる」
「はぁ。使えるんだか、使えねえんだか、正直微妙なスキルだな」

 溜息を吐く荒垣だったが、状態異常の種類をこっちで調整出来ないのは残念だが、それでも目で見るだけで視界に入った全体に状態異常を付与するという能力は、極めて強力だと思う。
 ……まぁ、相手がPTとかMSとか、そういうのに乗っていれば無意味だが。
 ただ、ロボットではなく生身で戦うこの世界では、かなりのアドバンテージを持つと言ってもいいだろう。

「少なくても、今回は役に立っただろ」

 ぶっちゃけ、ゆかりを庇ったあの騎士のシャドウを倒すだけなら、俺が取れる手段は他にも幾らでもあった。
 例えば、ゲイ・ボルグを使わずとも白炎で燃やしてしまうとか、それこそ永久石化光線を使ってもいい。
 そのような真似をしなかったのは、鬼眼で十分どうにか出来るという確信に似た思いがあったからでもあるし、同時にこの小ボスをゆかりに倒させようという思いもあったからだ。
 現在このタルタロスを俺達が攻略しているのは、タルタロスに影時間に対する秘密か何かがあるからというのもあるが、同時にゆかりの強化という目的もある。
 この世界の原作が、もう始まっているのか、それともまだ始まっていないのか。
 その辺りはまだ分からないが、それでもゆかりが恐らくこの世界の原作に登場するだろう人物である以上、ゆかりを強化しておくのに越した事はない。
 ……原作で、実は力が足りなくてゆかりが死ぬなんて展開になったら、ちょっと洒落にならないしな。

「それはそうだけど……」
「とにかく、向こうは混乱か目が見えなくなっているのか、はたまた何か幻覚を見ているのかは分からないが、俺達を認識出来ていない。今のうちに倒してしまえば」
「え? 私?」

 まさか自分が指名されるとは思っていなかったのか、ゆかりは唖然とした様子で俺に視線を向けてくる。

「ああ、当然だろ。お前以外に誰がいるんだよ」
「それは……」

 ゆかりも、タルタロスで行われている戦闘は基本的に自分を成長させる為だというのは分かっているのか、やがて少し躊躇いながらも召喚器を頭部に当てる。

「イオ、ガル!」

 召喚器のトリガーが引かれるとの同時に召喚されたイオは、騎士のシャドウに向けて風の刃を放つ。
 魔法を使う時に自分の意思だけである程度は魔法の発動形態を変えられるのが、このペルソナ世界の魔法の特徴だ。
 だが、やっぱりデフォで使った方が一番使いやすいのも事実だろうし、イメージ的にも風の刃というのは楽なのだろう。
 そんな風に放たれた風の刃は、騎士のシャドウを多少ではあっても斬り裂く。
 そしてガルを放ってシャドウが消えたのを見計らい、次にゆかりが選んだ攻撃手段は、弓。
 ショートボウに素早く矢を番え、放ち……

「え!?」

 ゆかりの表情が、唖然としたものに変わる。
 当然だろう。真っ直ぐに空気を斬り裂きながら飛んでいった矢が、騎士のシャドウに触れた瞬間に弾かれたのだから。
 これには、俺も驚いた。
 いや、騎士型のシャドウだけあって、向こうは鎧を着ているのだ。
 そう考えれば不思議ではないのかもしれないが……今まで戦ってきたシャドウとの戦いでは、こんな風に矢が弾かれるという事はなかっただけに、俺から見てもちょっと意外だった。

「くっ!」

 ゆかりも、まさか自分の射った矢が弾かれるとは思わなかったのか、悔しそうにしながら再びショートボウに矢を番え、射る。
 だが……空気を斬り裂きながら飛んでいった矢は、予想通りに鎧に命中すると、金属音と共に弾かれる。
 攻撃が2度連続で無効化されたが、それでもまだ向こうは鬼眼の効果によって壁に体当たりを繰り返している。
 ……てっきり盲目かと思ってたんだが、これだと幻覚とかの可能性もあるか?

「落ち着け、ゆかり。あのシャドウは、どうやら弓の攻撃を無効化するらしい。であれば、それ以外の攻撃手段で攻撃しろ。1つの攻撃手段に拘るのは、自分で戦闘の選択肢を少なくしている事になるぞ」
「それは……うん、分かった。……何よ」
「いや、何でもない」

 まさか、こうもあっさりと俺の提案を受け入れるとは思わなかったので、驚いたのだが……その表情を、ゆかりにはしっかりと見咎められて、不満そうな言葉と共に尋ねられる。
 もっとも、まだあの騎士のシャドウが生きていて、戦闘中だというのはゆかりも理解しているのか、それ以上の追求はなかった。
 
「イオ、体当たりよ!」

 そう叫びつつ、召喚器を頭部に当ててイオを召喚するゆかり。
 召喚されたイオは、ゆかりの指示に従って真っ直ぐに騎士のシャドウに向かって突っ込んでいく。だが……

「きゃっ!」

 上がった悲鳴は、当然のようにゆかりのもの。
 牛の頭蓋骨に乗った、鎖で縛られた女。
 そんな姿をしているイオが騎士のシャドウに突っ込んでいったのはいいんだが、ぶつかった瞬間、大きく吹き飛ばされたのはイオだったのだ。
 そして、イオが受けた衝撃はゆかりにもフィードバックされる。
 イオ程ではないが、吹き飛んだゆかりは、そのまま転ぶ。
 そして吹き飛ばされたイオは、そのまま消えていった。

「おい、ゆかり。大丈夫か?」
「え? あ、ええ。大丈夫……だけど、今のは……」
「多分、向こうが衝撃を反射する能力を持ってるんだろうな。……多分だが」

 そう告げたのは、荒垣だった。

「どういう意味だ?」
「それはこの戦闘が終わったら話してやる。だから今は、取りあえずあのシャドウを倒せ」

 騎士のシャドウを睨みながら告げる荒垣は、戦闘が終わるまでは絶対に口を開かないといった様子だ。
 まぁ、戦闘中に話すような話題じゃないのは間違いないか。
 いや、どんな攻撃も反射するような敵と戦っている中で、敵の弱点を探す為に……というのであれば話も分からないではない。
 だが、幸い……とこの場合は言えばいいのかどうかは分からないが、騎士のシャドウは全ての攻撃を反射する訳ではない。
 先程使ったガルは、間違いなくシャドウにダメージを与えていたのだから。

「イオ、ガル!」

 若干恐る恐るといった様子だったが、再び放たれたガル。
 その風の刃は、空気を斬り裂きながら真っ直ぐに騎士のシャドウに向かって飛んでいき……矢の攻撃やイオの体当たりでは全く効果がなかったのが、嘘のように身体に傷を付ける。
 うん、どうやら騎士型だけあって物理防御は高いらしいが、魔法には弱い……というか、効果があると言うべきか。
 ともあれ、魔法ならダメージを当てられると知ったゆかりは、ガルを連発する。
 ……あの指輪で多少は魔力が多くなってはいるのだろうが、それでもちょっと使いすぎな気が……いや、ここが小ボスのいる場所なら、エントランスに続くターミナルがあるんだろうから、その辺りは心配する必要はないのか。
 この戦闘で魔力を使い切っても、今日のタルタロス探索はここで終わりな以上、特に問題はない。
 うん、多分……そういう事を考えてだろう。
 ともあれ、ゆかりがピンチになったらすぐに助けに入れるように子猫の炎獣を生み出すと、この階層について考える。
 今までは、5階、10階に小ボスがいた。
 だからこそ、てっきり5階間隔で小ボスがいるのかと思ったんだが……まさかの14階。
 さて、これは一体何がどうなってこうなったのか。
 取りあえず俺が予想していた5階間隔ってのは却下された。
 であれば、次はどういう間隔になるのかだな。
 5階、10階、14階。
 何か規則性があるのか?
 勿論この3つの小ボスだけで規則性を読み解けというのが無理な話なのは分かってるんだが、それでもその辺りはしっかりと考えておく必要があるのは間違いない。
 でなければ、次からタルタロスの階段を上がる度にそこに何があるのか……かなり警戒しながら進まなければならなくなってしまう。
 勿論毎回何も警戒していないという訳ではないのだが、それでもやはり小ボスは5階ごとだと思っていれば、その辺りの心構えは違ってくる。

「……どう思う?」
「は? いきなり何だよ?」

 ガルを使いまくっているゆかりを見ていた荒垣が、俺の言葉にそう尋ね返す。
 まぁ、いきなりどう思う? って言ったところで、その意味を理解出来る筈もないか。

「あの騎士のシャドウ……正確には小ボスだよ。何で14階なんてこんな場所にいたと思う?」
「ああ、アルマーの意見だと、5階ずつって話だったな」
「そうなる」

 荒垣の言葉に、予想が外れた事に残念な思いを抱きつつ頷く。

「お前達から聞いた話と、あのダンシングハンドの一件を考えれば、俺もやっぱり5階層ずつ小ボスが出てくるんだとばかり思ってたからな。別にアルマーを責めるつもりはねえよ。そもそも俺は、このタルタロスで戦ってねえし」
「そうか? ……けど、これから少し探索がやりにくくなったのは間違いないよな」
「だろうな」

 荒垣も俺の言葉には思うところがあったのだろう。大人しく頷いてくる。

「それでも、お前達の場合はいざって時に岳羽の代わりにお前が戦うって選択肢もあるんだろ? なら、そこまで警戒する必要はないと思うけどな」

 そう告げる荒垣の向こうで、騎士のシャドウがガルによって削り殺されるのが見えた。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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