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オズのジュリア=ジャム

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第二幕その十

「そうさせてもらうわ」
「トニーを探してくれるの?」
「オズの国では皆そうでしょ」
 法律で決まっていることですがそれ以前に誰もがすることです。
「困っている人は助ける」
「だからなんだ」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 是非にというのです。
「私達がね」
「有り難う、じゃあ一緒に探してくれる?」
「それじゃあね」
「それと君の名前だけれど」
 ジャックは男の子のそれを尋ねました。
「何ていうのかな」
「ディックだよ」
「ディック君だね」
「うん、この牧場の子なんだ」
 見ればかなり広い牧場です、その中には沢山の羊達がいてとてのどかに草を食べたり寝ていたりしています。
「トニーと一緒に牧場の番をしていたけれど」
「そのトニーがいなくなってだね」
「困っていたんだ」
「そうだったんだね」
「牧場の何処を探してもいなくて」
「そこに僕達が来て」
「うん、お話が出来たんだ」
 そうだったというのです。
「今ね」
「よし、それじゃあ今から君のお友達を探し出してみせるよ」
 かかしは確かなお顔でディックに約束しました。
「これからね」
「それじゃあ」
「今から探そうね」
 こうしてでした、皆でディックの愛犬でありお友達でもあるトニーを探すことになりました。ですが探すにしてもです。
 ジャックは首を少し傾げさせてです、かかしに尋ねました。
「トニーの外見は聞いたけれど」
「目立つと言っていいね」
「うん、大きくて毛が長くて目が隠れている」
「それだけでかなり目立つよ」
 かかしも言います。
「それこそね」
「そうだよね」
「けれどね」
「けれどだよね」
「そう、ディックはこの村の子だけれど見付けられなかった」
 ずっとこの村にいるその子でもです。
「この村のことは隅から隅まで知っている筈なのに」
「そんな子が見付けられないなんて」
「ちょっとやそっとじ見付けられないかもね」
「けれど絶対に見付けないと」
「僕達はディックに約束をしたからね」
「約束は絶対に守らないと」
「その通りだよ」
 かかしもこう答えます。
「絶対に見付けるよ」
「具体的にはどうするの?」
「そう、ディックは村の隅から隅まで探したね」
 このことをです、かかしはまた言いました。
「そうしたね」
「そうしたよ」
 実際にとです、ディックも答えます。 
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