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夢幻水滸伝

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第十三話 星と兵とその十六

「それでも備えは必要じゃ」
「その通りでおじゃる」
「そやからな」
「二人は東に戻ってもらうでおじゃるか」
「それで僕等三人でいく」
 中里自身と夏目、中原でというのだ。
「いくで」
「それで岡山城を攻めますか」
 中原が中里に問うた。
「そうしますか」
「いや、山陽を攻める」
 笑ってだ。こう中原に返した。
「そうするわ」
「山陽を」
「そや、そうするで」
「そういうことですか」
「ああ、それでええな」
「城を攻めるんやなくて」
「城も攻めてな」
 そうしてというのだ。
「国もや、そしてひいては」
「人を」
「そや」
 そちらもというのだ。
「そうするで」
「人を攻めるは」
「よく言うな」
「上計と」
「そうしてくわ、そやからな」
「ここはですか」
「城を攻めて」
「山陽降すで」
「わかりました」
「山陽を降せばかなり大きい」
 天下統一の戦略として、というのだ。
「そやからな」
「そうしますか」
「ああ、明日から西に進む」
 即ち備前に入るというのだ。
「そうするで」
「わかったでおじゃる」
「ほなそうしましょか」
 同行する夏目と中原が応えた、佐藤兄妹は酒を飲み終えるとすぐに東に戻った。そしてだった。
 翌朝関西の軍勢は備前に入った、目指すは岡山城だった。だが中里は軍勢を率いつつ言うのだった。
「岡山に行ってからまた言うな」
「どうするかをでおじゃるな」
「それを」
「そうするわ、まずは城を囲んでじゃ」
 岡山城をというのだ。
「そこからや、城を攻めるのもええけど」
「国、そして人をでおじゃるな」
「攻めていきますか」
「そうするで」
 夏目と中原にも言う、そしてだった。
 中里は関西の軍勢を率いてそのうえで備前に入り岡山城に向かっていた。戦の仕方をわかっているが故にやるべきこともわかっていた。戦はどうやってするものかを。


第十三話   完


                2017・4・8 
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