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星河の覇皇

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第六十三部第五章 会見の申し入れその十二

「それだけで凄いことだった」
「そして負けなかったからこそ」
「彼は天才と言える。だが」
「だが、ですか」
「それは戦術的なことだ」
「戦略としてはですね」
「そこはまだわからない」
 タンホイザーの軍事的才能、それはというのだ。
「戦略を動かす立場ではまだないからな」
「戦術指揮官の段階だからですね」
「もう彼は元帥になっているがだ」
 軍の最高階級だ、とはいってもエウロパはその上にさらにエウロパ元帥という階級が存在している。
「それでもだ」
「軍団や軍の司令官でもですね」
「まだだ」
「戦略を動かす立場ではない」
「それは三長官になってからだ」
 その三長官のこともだ、シャイターンは言った。
「軍務大臣、統帥本部長、宇宙艦隊司令長官のな」
「いずれかにならないとですね」
「まだ戦術の域だ」
「だからタンホイザー元帥はですか」
「今の時点ではだが」
 今の時点でわかっている限りは、というのだ。
「戦術的天才だ」
「それに過ぎませんね」
「そういうことだ、しかしその才能はだ」
 それはというと。
「天才と言っていい」
「軍事的天才ですね」
「まさにだ」
 そうだというのだ。
「あの国にはそうした才能の持ち主もいる」
「そうなのですね」
「あの国は確かに苦境の中にあるが」
「英雄が三人もいて」
「天才もいる。まず潰れはしない」
 このまま衰退してだ、連合の者達のうちの一部が望む様なことにはならないというのだ。シャイターンは弟達に語った。
 だがマウリアについてはだ、こう言うのだった。
「あの国はわからない」
「マウリアはですか」
「あの国はですか」
「何かと思うところを隠す国だ」
 それがマウリアだというのだ。
「能ある鷹は爪を隠すというがな」
「あの国もですか」
「隠していますか」
「常にそうだった」
 今に限らず、というのだ。
「あの国は常に物事を隠す」
「その才覚も」
「それの持ち主も」
「そうだ、何もだ」
 それこそ、というのだ。
「見せはしない。だからだ」
「英雄がいるかどうかも」
「わかりませんか」
「クリシュナータ主席は優れた政治家だと思う」
 さしあたって彼の名前を出すのだった。 
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