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ドリトル先生と悩める画家

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第十一幕その十三

「そういえば」
「うん、出家してたよ」
「それでもですか」
「神様になったよ」
「その仏教と神道の境界が曖昧なのも」
「うん、日本の宗教観だね」 
「そうですね」
 トミーは先生のお話を聞きつつ頷きました。
「それがまさに」
「それが面白いんだよね」
「日本ならではね」
「何しろ神父さんも牧師さんも仲がいいからね」
「全然違うのに」
「キリスト教でもね」
「キリスト教は宗派が違うと」
 先生は欧州でのことから言いました。
「もう違うね」
「はい、違った相手です」
「そうなるね」
「イギリスでもそうですし」
「そうそう、カトリックか国教会でね」
「今も違いますし」
 このことが本当に複雑な事情になっています、イギリスのこの問題はそれこそ数百年の歴史があるのです。
「清教徒もあって」
「そう、難しいね」
「欧州のどの国でもですし」
「そうだよね」
「西欧は旧教と新教で」
「東欧は正教があってね」
「それぞれ全然違います」
 同じキリスト教でもです。
「それで戦争も起こってきました」
「どの国でもね」
「中にはとんでもない戦争がありました」
「三十年戦争なんか酷かったね」
「はい」
 今のドイツで起こった戦争です、国の中で旧教の人達と新教の人達が争いそこに他の国々が関わってきて文字通り三十年も続いた戦争です。
「もう無茶苦茶で」
「同じキリスト教でもね」
「はい、それこそ神父さんと牧師さんも」
「仲がいいかとなると」
「難しい場合があるね」
「けれど日本ですと」
「この国は同じキリスト教ならね」 
 そう考えてなのです。
「一緒だって考えているから」
「仲がいいんですね」
「そうだよ、神父さんも牧師さんもね」
「八条学園でもそうですし」
「そして神道と仏教もだしね」
「仏教も色々な宗派があっても」
 しかも日本の中にです。
「対立しないですね」
「そうだよ、日本人はそうしたものは乗り越えているんだ」
「だからこうしたお祭りでも」
「そう、一緒にだよ」
「楽しんでいたりお手伝いをしているんですね」
「そうだよ、この宗教観は凄いよ」
 先生は甘酒を飲みつつしみじみとして言いました。
「日本の凄さの一つだよ」
「そうですね」
「そうしたことも頭に入れて」
「そしてだね」
「うん、このお祭りを楽しもうね」
 先生はにこにことしてでした、甘酒を飲んでです。出店の食べものも食べました。そうして八条神社の戎祭りを楽しむのでした。 
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