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夢幻水滸伝

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第十二話 西の動きその十二

「そして硬さは鋼じゃ」
「そこまで強うなるのう」
「この力で攻める」
 兵での攻めは足止めされたがというのだ。
「わしはな」
「そしてわしもじゃ」
 山本は槍を出して言った。
「やったるわ」
「わし一人では行かせんっちゅうことか」
「当たり前じゃ、わしはおどれと何時でも一緒じゃ」 
 だからだというのだ。
「相手が誰でも何処でもな」
「そう言うてくれるか」
「わしを救ってくれたんじゃ」
 だからこそというのだ。
「そのおどれの為やったらや」
「やってくれるか」
「そうじゃ、おどれが行くんやったらわしもじゃ」
 こう言ってだ、山本は槍を構えた。こうしてだった。
 二人は激しい銃撃と砲撃で完全に足を止められ逆に押されはじめた軍勢の前に出た。そうして。
 井伏は大きく四股を踏んだ、するとそれだけで大きく台地が震えた。関西の軍勢二万も大きく揺れて。
 驚きの声を挙げてだ、彼等は口々に言った。
「何やあの四股は」
「あれ山陽の棟梁井伏さんやで」
「噂に聞く天下一の力士か」
「横綱とも言われてるな」
「ははは、わしはまだ横綱までいかん」
 井伏は関西の足軽達の言葉に笑って返した。
「幕内にもなっとらんわ」
「実力は横綱以上じゃ」
 その井伏の横に槍を持った山本が出て来た。
「こっちの世界でもな」
「わし等本来の世界でもか」
「そうじゃ、もうその強さは横綱級じゃ」
 そこまで強いというのだ。
「その言葉素直に受け取っておくんじゃ」
「そやったらその言葉に恥じん強さになるんじゃ」
「精進してじゃな」
「そうじゃ、それではじゃあな」
「行くか」
「ああ、そうするか」
 二人で話してだ、そしてだった。
 彼等は攻めに出た、その二人を見てだった。夏目は中原に言った。
「来たでおじゃるな」
「大丈夫かいな」
 中原は夏目に対してやや心配する顔で問うた。
「相手は武闘派二人や」
「麿達二人と同じ地の星でおじゃってな」
「しかもここで戦えるのはあんただけやで」
 星の者ではというのだ。
「二対一でしかも相手は武闘派」
「分が悪いでおじゃるな」
「それをどうするねん」
「安心するでおじゃる、今は一人でおじゃるが」
「というと」
「三人になるでおじゃる」
 そうなるというのだ。 
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