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ドリトル先生と悩める画家

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第十幕その七

「彼等はね」
「鰐っていうと熱帯にいて」
「冬眠はしないってだね」
「思ってましたけれど」
「ヨウスコウワニ君は名前の通り揚子江、長江流域にいてね」
「中国の南の方の大きな川ですね」
「あそこは鰐君が住むには冬は寒くてね」
 だからというのです。
「冬眠もするんだ」
「そうなんですね」
「そうした鰐君もいることは覚えておいてね」
「わかりました、覚えておきます」
「そうしてね」
「そうしたことも覚えておくと」
 太田さんは考えつつ先生にお話しました。
「芸術のヒントにもなりますね」
「何でもヒントになるからね」
「はい、それじゃあ」
「色々観て回っていってね」
「動物園でも」
「是非ね、それで君は今度は」
「カバを観ようかって思っています」
 この生きものをというのです。
「そう考えています」
「彼等をなんだ」
「はい、そう考えています」
「彼等も熱帯の生きもので」
「日本の冬は辛いですね」
「だから今は隠れているよ」
 表には出ないでというのです。
「中に入っているよ」
「じゃあ中に行って」
「これは他の熱帯の生きもの達と同じだけれどね」
「観てきます、それとゴリラも」
 太田さんは笑顔でさらに言うのでした。
「観てきます」
「それは何よりだね。彼等は凄く賢いんだよ」
「実は優しい性格なんですね」
「完全な菜食主義でね」
 先生は太田さんにゴリラのこともお話しました。
「穏やかで暴力を知らないんだ」
「そう聞いてます」
「外見でよく誤解されるけれど」
「その実はですね」
「森の賢者と言われる位ね」
「優しくて賢い」
「そうした生きもの達なんだ」
 それがゴリラ達だというのです。
「怖がることはないよ」
「生きものも外見で判断してはいけないですね」
「そうだよ、人もそうだけれどね」
「外見じゃわからないですね」
「うん、そのことは人として覚えておいてね」
「肝に銘じます、それじゃあまた」
「うん、またね」
 笑顔で一時のお別れをしてでした、先生と太田さんは別の生きもの達を観に行きました。そしてその後ででした。
 爬虫類のコーナーで熱帯の爬虫類達を観ている先生にです、動物の皆が言ってきました。
「太田さん明るいね」
「いつも通り」
「スランプっていうけれど」
「あまりスランプに見えないわ」
「というか前より明るい?」
「そうかも」
 こう言うのでした。 
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