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星河の覇皇

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第六十三部第四章 閣議決定その二十五

「訓練時間は短く」
「その他のことで戦う軍隊か」
「そうなりますので」
「精強さを捨てて」
「規律を選びました」
 そうなったというのだ、こうしたことを話してだった。
 八条はキロモトにだ、こう言った。
「連合軍はこれからもです」
「システム等で戦う軍隊か」
「精強でなくとも軍隊は戦えて」
「そして勝てるな」
「そう出来ますので」
「エウロパ戦役で見せた通りだな」
「戦争は数とも言います」
 古来よりの定石である、戦争はやはり数が多い方がそれだけで優位に立てるのだ。多ければ多いだけそうなるのだ。
 それでだ、八条も言うのだ。
「連合は幸い大国でして」
「数はあるな」
「百三十億あるな」
「そうです、百三十億の軍隊は他にはありません」 
「数で圧倒している、やはりそのことが大きいな」
「はい」
 まさにというのだ、八条も。
「僥倖と言うべきか」
「しかしその数を活かしてだな」
「戦うべきですので」
「そして技術力もあるからな」 
 連合にはこのことも幸いなことだった、その国力を存分に使うというのが八条の考えである。キロモトもそのことを言うのだった。
「それならだな」
「そうしたものを使い」
「戦う軍隊にしたか」
「餓えた狼十頭よりも」
 八条は言った。
「よく肥えた百頭の犬というのがです」
「連合軍だな」
「その犬も守りを固め牙を鋭くすれば」
「毛皮の上に鎧を着ればか」
「まさにそうすればです」
「狼にも勝てるか」
「私はそう考えています」
 こう言うのだった。
「狼よりも上位に立てるのです」
「全ては数と装備か」
「そしてシステムです」
「システム、コンピューターか」
「確かに犬は狼よりも弱いです」
 狼から生まれながらもだ、その差は歴然としている。このことは野生と家畜の差と言うべきものであろうか。
「しかしです」
「それでも勝つ方法があるということか」
「それが今申し上げた方法です」
「そういうことだな」
「連合軍は弱いですが弱兵でも勝てます」
 そのやり方次第でなのだ、八条は言うならば自分が統括する軍の弱さを理解したうえで運用を考えているのだ。
「そのうえで手を打っていきます」
「そういうことか、弱兵は深刻な問題ではないか」
「より深刻な問題は」
 それは、だった。まさに。 
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