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ラッキークローバー

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第五章

「気にしなくていいさ」
「そうですか」
「けれどな」
「ここは、ですか」
「馬がよく吐くんだよ」
 そうした場所だというのだ。
「それでそのせいかな」
「ここでは四つ葉のクローバーが多い」
「そうなんだよ」
「馬が吐くので」
「そう言われるさ」
 橋上は晴香に笑って話した。
「本当かどうかはわからないが」
「何かそう聞くと」
「そうだね」
 晴香と剣は橋上の話をここまで聞いて微妙な顔になってその顔を見合わしてそのうえで二人で話した。
「汚いね」
「四つ葉のクローバーも」
「馬が吐いた場所に生えるのなら」
「そうだね」
「ははは、けれど見付かったじゃないか」 
 橋上は微妙な顔になった二人にこうも言ってきた。
「じゃあいいじゃないか」
「そうですか」
「そうなりますか」
「そうだろ、幸運をもたらすクローバーがな」
 まさにそれがというのだ。
「だとしたらいいだろ」
「それはそうですが」
 探していた剣自身が応えた。
「それじゃあそういうことで」
「ああ、そのクローバー大事にしなよ」
「わかりました」
 とりあえず納得してだ、剣はようやく手に入れた四つ葉のクローバーを収めることにした。しかし橋上と別れた後でだ。
 晴香と二人でドリトル先生の研究室に戻った、そのうえで馬の吐いた場所に四つ葉のクローバーが生えるのかと先生に聞くと。
 先生は二人にだ、この時もミルクティーを出しながら言った。
「そう言われてるけれどね」
「それでもですか」
「実際はですか」
「特にね」
 別にという返事だった。
「関係ないと思うよ」
「そうですか」
「特に関係はないですか」
「だって馬がいない場所でもね」
 そうした場所でもというのだ。
「あったりもするからね」
「そういえばもう馬は」
 この生きもの自体がとだ、晴香は紅茶を受け取り剣と二人でお礼を言ってそのうえでこう言ったのだった。
「家畜としては」
「いないね」
「その辺りには」
「そうだね、それでも生えるね」
「そうですか」
「確かに滅多に生えないけれどね」
 それでもというのだ。 
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