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ドリトル先生と悩める画家

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第九幕その十四

「英雄は将軍とか政治家とか」
「そういうので業績を残した人なんだ」
「そうした人が英雄なんだね」
「それで悪い奴をやっつけたのがヒーロー」
「そう言うんだ」
「そうだよ、まあ赤穂浪士が討った吉良さんは本当はいい人だったらしいけれどね」
 先生はこのことも学問から知っています、今では下手な日本人よりも日本の歴史に詳しい位だから凄いです。
「それでもあの人達はそちらになるから」
「自分達のお殿様の仇を取った」
「そうした人達だからだね」
「ヒーローになる」
「そちらなんだ」
「そう思ったよ、まあとにかくね」 
 あらためて言った先生でした。
「梅干と日本酒の組み合わせもいいね」
「それで一升飲まれて」
「後は晩御飯までゆっくりとしているよ」
 またトミーに答えました。
「今は論文も予定通り進んでいるしね」
「だからですね」
「うん、ゆっくりとしているよ」
 お酒を飲んだ後もというのです。
「そうするよ」
「雪見酒の後は」
「雪見だよ」
 それになるというのです。
「普通のね」
「そう言うと風流ですね」
「ううん、僕も風流を楽しんでるのかな」
「そうだと思いますよ」
「だとすればいいね、イギリス人でもね」
 生まれたお国は違えど、です。
「風流を楽しめるのはいいね」
「日本におられるからこそ」
「こうしてね」
「先生は四季はいつもそうされていますね」
「そうだね、お花も景色も楽しんで」
「食べることも飲むことも」
「そうしているからだね」
 こう言うのでした、先生も。
「僕も風流だね」
「その中におられますよ」
「それは何よりだよ。歌や絵とは縁がないけれど」
 先生はそちらとは縁がないです、芸術を学びはしますが実際にすることはしないのです。
「風流に親しんでいくよ」
「そうされますね」
「これからもね」
「そうですか、ではお酒の後も」
「これからl暗くなるけれど」
 夜が近付いています、日本の冬は夜がすぐに来ます。
「それでもね。お部屋の灯りから雪を観て」
「ライトアップですね」
「そうして楽しんでいくよ」
「それじゃあ」
「晩御飯まで雪見だよ」 
 動物の皆と一緒にです、そうしてでした。
 先生は実際にお酒の後も雪見を楽しむのでした。先生もすっかり日本の風流に馴染んでいます。風流の中に生きるまでに。 
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