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ドリトル先生と悩める画家

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第九幕その十二

「安心してね」
「それじゃあ」
「いや、雪景色もいいけれど」 
 先生はまた窓の外の雪、まだ降り続いているそれを見てこうも言ったのでした。
「梅干もいいね」
「さっきから一粒召し上がられてからですね」
「飲んでるね」
「そうしてますね」
「梅干が合うんだよ」
 日本酒にというのです。
「これが随分とね」
「そういえばおつまみでもありますね」
「あっさりしていて美味しいよ」
「そうなんですね」
「戦国大名の上杉謙信がこうして飲んでいたらしいよ」
「梅干を食べながらですか」
「あの人は随分とお酒が好きでね」
 それでというのです。
「そうして飲んでいたらしいよ」
「そうだったんですね」
「今でも新潟では英雄だよ」
「あちらの人でしたね、そういえば」
「そう、あそこは昔は越後といったんだ」
 新潟の昔の地名のお話もします。
「そこから戦いに勝って勝って勝ち続けた」
「とにかく戦争に強かったんですか」
「軍神と言われるまでにね」
「そうした人だったんですか」
「とにかく強くてそれでいて清廉潔白でね」 
 上杉謙信の人柄についてのお話にもなりました。
「正義感が凄く強くてそれでいて寛容でね」
「いい人だったんですね」
「だから今でもその人柄も言われているんだ」
 戦での強さだけでなく、というのです。
「そちらもね」
「そうした人ですか」
「それでその謙信さんがね」
「梅干を肴に飲まれていた」
「そうだったんだ」
「そして先生も今はですね」
「梅干と一緒に飲んでいるんだ」
 他のお漬けものもありますが一番口にしているのは梅干です。
「こうしてね」
「じゃあ謙信さんみたいに強くなりますか?」
「いやいや、僕は戦わないよ」
 先生はトミーの冗談に笑って返しました。
「軍人さんの怪我や病気は診察、治療させてもらってもね」
「銃は持たれないですか」
「戦争は好きじゃないして」
「沢山の人が傷付くからですね」
「しなくてはいけない時もあるのはわかっているつもりにしても」
「どうしようもない時以外はですね」
「しないに限るよ」
 戦争というものはというのです。
「僕はそうした考えだよ」
「そうですよね、先生は」
「本当にないに限るよ」
 戦争というものはというのです。
「何につけてもね」
「好戦的なのはよくないですね」
「それが僕の考えだよ」 
 戦争に対する、です。 
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