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夢幻水滸伝

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第十一話 岐阜城にてその九

「その辺りちゃうわ」
「人の違うか」
「そういうこっちゃ、こっちでそうしたことする奴はおらん」
「アメリカでも中国でも東南アジアでもかいな」
「わかってても出来んからな」
 一人を殺して百人を静かにさせる、そうしたうえでの統治はというのだ。
「ほんま特別や」
「それで綾乃ちゃんはそういうことせんか」
「うちはそこまではな」
 その綾乃が首を傾げさせて言ってきた。
「せんというか出来んわ」
「そやねんな」
「やっぱり穏健にや」
 綾乃は中里に自分の考えを述べた。
「していきたいわ」
「そうやろな、綾乃ちゃん的には」
「それで済んだらええで」
「まあどうにもならん屑は何処にもおってや」
 芥川はまた中里に話した。
「そういう奴は殺すしかない」
「死刑やな」
「そうするしかないけどな」 
「そういう性根の腐りきった奴以外はやな」
「太平洋ではそこまでする奴はおらん」
「そやな、ただ氷帝や雷帝も星やろ?」
 このことからだ、中里は行った。
「そやろ」
「ああ、その通りや」
「世界を救う奴か」
「そのうちの一人や、どっちもな」
「それでそんなことするんか」
「そやから一人殺してや」
 そのうえでというのだ。
「百人の安泰を測る」
「落ち着いた内政をするってことか」
「そや、敢えてそうしてな」
「それでそれも正義か」
「少なくとも連中も暴政は敷いてへんし不必要な虐殺もしてへん」
 そうしたことは一切していないというのだ。
「むしろ政治自体は善政で従う者には寛容や」
「信長さんみたいなもんか」
「やってることは遥かに苛烈やけどな」
 実は織田信長は然程人を殺していないという、最低限の血で戦国の世を終わらせたというのだ。
「そういう感じやな」
「そうか」
「ああ、まあそういう連中ってことでな」
「わかっておくことか」
「そうした正義もあるねん」
「納得出来んな」
「納得出来んでもそういう連中ってことや」
 芥川は中里に微妙な顔で話した。
「僕もどうかって思うけどな」
「それでもか」
「実際どっちも破竹の勢いでロシアやインドを統一していってるしな」
「そうか」
「そうした連中や、そしてや」
「うちもやな」
「岐阜城行くで」
 次の目的地に行くというのだ。 
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