| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十話 巨人その二

「それだったな」
「丁度そうなるな」
「じゃあこの島をアトランティスと考えてもか」
「いいかも知れない」
「そうなんだな」
「ではだ」
 英雄は久志にあらためて告げた。
「これからはだ」
「ああ、それならか」
「そうも捉えてだ」
「この島でやっていくのもいいか」
「そう考えるのもいいだろう」
「そういうものか、しかしな」
 ここまで話してだった、久志はあらためて考える顔になった。そのうえで英雄に対してこんなことも言ったのだった。
「色々本も読んで神官さん達から話を聞いてな」
「かなりの知識を仕入れてもか」
「まだ全然わからないことも多いな」
 この世界についてというのだ。
「どうもな」
「書や人の話が知識の全てか」
「それは絶対にないな」
「人の知識なぞ限られている」
 書や話となって残されているそれはというのだ。
「どの世界でもな」
「何でも知っている様で何も知らないってことだな」
「その知識は大海の中の小匙一杯だ」
 よく言われる言葉をだ、英雄も出した。
「所詮だ」
「そんなものだな」
「だからだ」
「俺達が仕入れた知識もか」
「些細なものだ」
「かなり仕入れてもか」
「そうだ、この世界でやっていけるだけの知識は仕入れたつもりでもな」
「まだまだ知らないことが多くてもか」
「当然だ」
「そうした知識はこれから知っていくんだな」
 久志の今度の言葉はしみじみとしたものだった。
「そうなんだな」
「そうなるな」
「やっぱりそうか」
「しかしだ、アトランティスにムーか」
 英雄は話が一段落したところでまたこの二つの伝説の大陸について思考を巡らせた。
「言われてみれば似ているな」
「そうだな」
「そして俺達はだ」
「アトランティスやムーの王様にでもなるか?」
「そうなるかもな」
「そうか、じゃあ下手に居丈高になったらな」
 その時はどうなるかともだ、久志は言った。
「この世界の神様に滅ぼされるか」
「そうなるかもな」
 英雄もその可能性を否定しなかった。
「俺達が誰かに引き寄せられたのならな」
「この世界にな」
「その誰かは尋常な力の持ち主ではない」
「それが神様だな」
「俺達に刀剣を抜かせる力を与えたのもだ」
 レーヴァティン、そして天羽々斬の二振りの刀剣、彼等が今それぞれの腰に下げている刀剣達のことに他ならない。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧