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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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最終章:夢を追い続けて
  第50話「去る者と残されるもの」

 
前書き
―――...止めて見せろと、そう言うんだな?

IS学園だけでなく、世界中のIS関連で女性が優遇されている環境に変化が訪れているので、それらも描写が必要なんですよね...。描き切れる気がしません(´・ω・`)
 

 




       =out side=





「なんで、なんでここに来たんだ!?」

「.......。」

 アリーナに現れたユーリに、秋十はそう呼びかける。
 だが、それが聞こえていないようにユーリは桜へと近づいていく。

「...久しぶりだな。ユーリちゃん。」

「っ....!」

 そんなユーリに、桜はいつものように普通に話しかける。

「本当に、お久しぶりです....!ずっと、ずっと会いたかったです...!」

「(...ん?今、心なしか桜さんの表情が曇ったような...。)」

 涙を流しながら言うユーリを見る桜に、秋十はそんな違和感を抱く。

「....依存させてしまったんだな。」

「桜さん...?」

「くっ、チヴィット達は...!?」

 本来ならユーリについているはずのチヴィットの姿がない事に気づく秋十。

「残念だったな秋十君。...こちらから既に干渉済み。今は眠ってるよ。...ユーリちゃんがそれに気づかず出てきた事には驚いたが。」

「....なるほど...。」

 システムに干渉され、眠らされていたと知り、納得する秋十。

「ユーリ!」

「皆もいるわ!」

 そこへ、別のアリーナ入り口からアミタとキリエが追いつき...。

     ギィイイン!!ダン!ダン!

「ちぃっ...!」

 吹き飛ばされ、飛んできた弾丸を避けた千冬もアリーナへとやってくる。

「千冬姉!...それに、あれは...!」

「おっと、全員集合か。」

「あらあら、結局全員と会う事になったわね。」

 続けて四季と春華も追いついてくる。

「そうか...!四季さんと春華さんなら、千冬姉を抑える事もできるのか...!」

「あー...まだ父さん母さんと呼んでくれないのか。」

 なぜ千冬が来れなかったのか理解した秋十の言葉に、四季はそういう。
 何気に、秋十は素直に二人を親として呼ぶ事が出来ずにずっとこの調子なのだ。

「桜さん!どうしてこんな事を....!」

「説明して...貰えないかしら?」

 アミタとキリエが、護身用に持っていた銃剣を桜に向け、問い質す。

「どうして...か。今のユーリちゃんの姿を見れば、わかるだろう?」

「っ.....。」

 日に日に心が傷ついて行くユーリを思い出し、アミタは口ごもる。
 そう。もうユーリには桜がいないとダメだと理解はしているのだ。

「桜!!」

「っ!」

     ギィイイン!!

「は、速っ!?」

 桜を見つけた千冬は、四季と春華を振り切ってブレードを振るう。
 ユーリが傍にいるため、避けれない桜はそれを受け止める。

「っ...ユーリちゃんがいるのに、いきなりじゃないか...!」

「お前なら庇うと分かっていたからな...!今の私は教師としてじゃない、幼馴染としてお前を止めるためにここにいる...!」

「なるほどな...!」

 鍔迫り合いの中そう言葉を交わす。
 だが、すぐに桜が振り払い、千冬は後退する。

「ちっ...!」

「生身でIS相手に斬りかかるなんて...。」

「...桜さんや束さんだってできる。別におかしくはないさ。」

 鈴が千冬の行動に驚くが、秋十の言葉に納得する。

「(一見膠着状態...。ここからどう動くかだけど...。)」

「...まだ来るか?」

「.......無理だな。」

 秋十が思考を巡らし、桜が千冬に問う。
 しかし、その問いに千冬は“無理”だと答え、秋十も同じような結論に至った。

「...状況的に、エーベルヴァインが人質に取られている。私たちには何もできん。ただお前たちが去るのを指をくわえて見ているしかない。...違うか?」

「ま、そんな所だな。目的は果たしたし、帰らせてもらおうか。」

「っ!!」

 桜がそういった瞬間、煙幕代わりに桜はライフルやグレネードを使った。
 その際の砂ぼこりに紛れ、四季と春華を回収して一瞬の内に姿を暗ました。

「...ご丁寧にハイパーセンサーも阻害している...か。」

「これは...完全に逃げられたね。」

「一応学園側から追跡を試みておく。....全員、30分後に指定した部屋に来てくれ。」

 桜達が去り、ほとんどが呆然としている中、千冬がそういう。

「何をしている!事は一刻を争う!早く動け!」

「は、はい!!」

 千冬が一喝し、各々が慌ただしく移動する。
 千冬もそれを見てから一度自室に戻ろうとして...。

「....ん?」

 足元にあるものを見つける。

「なんだこれは...。」

 それは、白いクリスタルのようなものが付いたペンダントみたいなもので...。

【やぁやぁ!これが聞こえてるという事は、ちーちゃんがこれを手に取ったという事だねー!まぁ、そうなるように仕組んだんだけどね!あ、これは録音だから会話はできないよ!残念だったね!】

「.....。」

 ...それから聞こえた束の声に、千冬は思わずそれを投げ出した。

【ひっどーい!今投げたでしょ!】

「録音の癖になぜ行動を読んだようなセリフなんだ...!」

 こちらの行動がまるっきり読まれている事に、千冬は向け様のない怒りを抱く。

【ま、いいや!色々考えなくちゃいけなさそうだし、簡潔に伝えるね!それはちーちゃんの新しい“翼”!私たちと同じ夢を追うためのね!】

「.....待機形態だったのか。」

 話に聞いていた原初のIS三機。その一機だと千冬は確信する。

【その子をどう扱おうが、ちーちゃんの勝手だよ。...でも、大体は予想できちゃうかな。それじゃあ、今度は直接会おうねー!】

「.....。」

 “ブツリ”と、束の声が途切れる。録音された音声が終わったのだ。

「....止めて見せろ...とでも言いたいのか?まったく...。」

 既に秋十達は戻り、一人になっていた千冬はそう呟く。

「....了解した。...覚悟しておけ、馬鹿どもが...。」

 そういって千冬専用の“想起”を握り締め、千冬も戻っていった。







「さて...まずはこちらの被害を言っておこう。」

 しばらく後、会議室に秋十達は集まっていた。
 一端、情報を整理しようという事らしい。

「戦闘が行われた場所では一部破壊された箇所がある。尤も、これは戦闘で起きた事だ。特に気にする事はない。そして、生徒の被害は....。」

「...怪我人、死人共にゼロ。ただし、行方不明者一名....。」

「....ユーリの事...か。」

 悔しそうに、何かを堪えながら言うアミタの言葉に、秋十が反応する。

「目撃者以外には、人質として利用され、そのまま拉致されたという事になっている。...桜達もそれを狙っての事だろう。」

「ユーリは現在、規格外のISを持っているという事実だけで立場が悪くなっている。それを“被害者”に仕立て上げる事で飽和するって訳か...。」

「そういう事だ。」

 秋十と千冬は事前に予想はしていたが、皆にも知ってもらうために態と口にする。

「...事実、エーベルヴァインは自らの意志で桜について行った。」

「........。」

 そして、誰もそれを止められなかったという事。
 その悔しさが全員にのしかかる。

「それを踏まえて、これからどうしていくか学園で決める事になる。それについて、お前たちの意見も聞いておきたい。...他ならぬ、桜と関わってきたお前たちに。」

「........。」

 その言葉に、誰もが即座に言葉を発せずに沈黙する。
 “どうしたいか”など、具体的に自分の中でまとまっていないのだから。

「....俺は桜さんを止める。」

「秋兄...。」

「今はとてもじゃないけど届かない。けど、必ず追いついて止める。...俺はそうしたい。」

 そう言って、秋十は手を握り締める。

「...秋兄と違って、私はそんな大層な覚悟を持てない。...だから、お世話になったお礼も込めて、桜さんを止める秋兄を全力でサポートしたい。」

「お前たち....。」

 あれだけの実力差を見せられてなお、止めようとする秋十とマドカ。
 それを見て、千冬は薄く笑う。

「...あいつを止めるのは、至難の業だぞ?」

「百も承知だよ。生半可...いや、万全の覚悟で挑んでも勝てるか分からない天才...それが二人揃ってるんだ。....だからこそ、止めたいとも思う。」

「お前も成長したな...。」

「桜さん達の下で鍛えられたからな。」

 弟の成長を嬉しく思う千冬に、苦笑いしながら秋十は返す。

「だが、どうやって止めるつもりだ?言ってはなんだが、お前如きが動いても、大した影響は出ない。また、今は良くも悪くもあいつらが世界の抑止力になっている。それを止めるとなれば、世界中で女尊男卑に苛まれた連中の逆襲が始まる。」

「っ.....。」

 千冬の言う通りだと、全員が思う。
 例え二人を止めれたとしても、世界中の混乱が治まる訳ではない。
 ISを以前までの仕様に戻すなど、脅されても二人が受け入れるはずがない。
 つまり、桜たちの阻止と世界の安定、その両方を目指さなければいけない。

「....少数で変えようとしても、圧力に潰される....一人でやれる事には限界がある...か。」

「どうした?」

 桜に言われた事を思い出す秋十。そして、改めて千冬に向き直る。

「...俺一人でできないなら、協力者を集めるまで。俺や千冬姉、桜さんや束さん、ここにいる皆のように、ISを“翼”として認め、協力してくれる人を集める。そして、今までの狂った世界を直して、桜さん達も止める。」

「...それができるとでも?」

「できるできないじゃなくて、やるんだよ。そうだろ、千冬姉。」

「........。」

 秋十の言葉に千冬は黙り込む。

「...秋十はこういっているが、お前たちはどうする。」

「私たちは....。」

 秋十に対する返答は保留とし、千冬は他の者にも尋ねる。

「....協力します。...姉さんを、私たちの力で止めたいですから。」

「...あたしも、こんな事聞かされて別の道を行くなんてできません。」

 箒と鈴が、真っ先にそう返事する。
 それに続くように、他の者も協力すると言っていった。

「...ここまで聞かされて、ここまで皆が協力して、私だけが私の...更識の道を行く訳にはいかないわね。更識家としても、個人としても協力させてもらいます。」

「......そうか。」

 最後に楯無がそういって締め、千冬は観念したかのように溜め息を吐く。

「まったく...揃いも揃って馬鹿ばかりだな...。....だが。」

 そして、テーブルに叩きつけるように手を置き、続きの言葉を放つ。

「....その言葉を待っていた。」

「千冬姉...?」

 訝しむ秋十を余所に、千冬は世界地図を取り出す。
 映像ではなく、紙媒体で...だ。

「これは....。」

「電子地図だと、いつあいつらに見られるかわからんからな。...あいつらに対しては、アナログのお方が効果的だ。」

「所々にある印....まさか...!?」

 秋十の気づいた声に、千冬は薄く笑う。

「...あいつらがいる可能性のある場所。...その目星を付けた。」

「....根拠はあるんですか?」

 束や桜の正確な位置は、どこの国も掴めていない。
 そのため、楯無が確実なのかどうか尋ねるが...。

「そんなものはない。強いて言うのなら、私の勘だ。」

「か、勘ですか...?」

「ああ。私なりにあいつらの動きをシミュレートし、いる可能性のある場所をマークした。虱潰しに探すよりはマシだろう。」

 幼馴染として動きを予測し、居場所をを割り出す。
 幼い頃から束の奇行を見てきた千冬だからこそできる事だった。

「...と、いう事は千冬姉....。」

「....あいつらに一泡吹かせてやれ。」

「......!」

 その言葉に、秋十達は顔を輝かせる。

「よし、それならばすぐに行動に移そう。私は学園での対処に回る。更識、情報収集は頼んだ。お前たちは自身の伝手を頼って協力者を集めろ。いいな?」

「「「「「はいっ!!」」」」」

「フローリアン先生方も一度私に同行を頼む。その後は皆と同じように協力者を。」

「...なんだか、規模が大きくなってきたわね。」

「私は燃えてきましたよ!わかりました、お任せください!」

 千冬の指示に従い、それぞれがそれぞれのやる事へと行動を移す。
 すぐに成果を出せる訳ではないが、それでも少しずつ進めていくようだ。









「....今頃、俺達を止めようと躍起になっているだろうな。」

 一方、世界のどこかにあるアジトで、桜はそう呟いていた。

「......桜、さん....。」

「......。」

 その膝の上で、ユーリは眠っていた。

「...もう、独りになるのは...嫌、なんです.....。」

「....ユーリちゃん...。」

 本来であれば、無理矢理な形でユーリを保護するつもりだった。
 しかし、実際には自らついていくという行為に出た。
 それは、桜にとっても少々予想外の事だった。

「...腹を括るっきゃねぇな。」

「そうだね。」

 そう呟く桜の隣に、束がやってくる。

「束か。」

「元々あっ君とゆーちゃんでは境遇が似てても心が違ったんだよ。その結果、ゆーちゃんはさー君に依存するようになってしまった。」

「そう、だな....。」

 こうなったのは自分の責任だと、桜は束の言葉にうなずく。

「責任、取らなくちゃな。」

「桜...さん...。」

 桜の名前を呟きながら眠るユーリの頭を、桜は優しく撫でる。

「っと、束がここにいるって事は、確認は終えたのか?」

「まぁねー。確認できたのはあっ君達の子を合わせて21機。予想より多かったかな。まぁ、それだけISの事を見てくれてる人もいるという事だね。感心感心。」

「千冬に“想起”を置いてきたし、今の所はなんの滞りもないな。」

 束は桜の隣に座り、先程終えた作業の結果を桜に伝える。

「次が一つ目の課題だな。」

「そうだねー。」

「混乱に陥る世界を、どれだけ鎮圧できるか...。」

 ISがいつものように動かせなくなったため、世界中は大混乱になっている。
 そして、それに乗じてテロなどが起きる可能性も高い。
 それを抑えようと、桜たちは次の策を練るのだ。

「差し当たっては、お礼をまだ送ってなかった彼らに、プレゼントでも送ろうか。」

「そうだねー。朝起きたら郵便受けに、って感じでサプライズだね。」

 ただし、“真剣に考える”というのは二人の性に合わないらしく、いつものお気楽な感じの雰囲気に戻ってしまう。
 尤も、だからと言って行動などまでお気楽になる訳ではない。

「ゴーレムを抑止力にするか?」

「それが楽かもねー。でも、それだけじゃ足りなさそうだし、もう一度世界中にハッキングする?...と言っても、お馬鹿さん達は忠告を聞きそうにもないけど。」

「そう言う時は問答無用で叩き潰せばいいさ。それに、調べた限りじゃ、俺達が最終的に目指している事に賛同してくれる連中もいるぞ。...まぁ、やり方には反対してるけど。」

「おー、それは良かったね。やり方は反対してくれて一向に構わないよ。ISが本来の目的で乗られるようになればいいんだからさ。」

 飽くまで、二人の目的は“ISが宇宙に羽ばたけるようになる”事。
 過程がどうであれ、ISを以って自由に羽ばたけるようになるのが目的なのだ。

「....ん...ぅ...。」

「あ、起きたみたいだね。」

「ああ。」

 そこで、ユーリが目を覚ます。

「....あ、れ....?」

「起きたか?ユーリちゃん。」

「桜...さん...?」

 状況を把握するのに、少し手間取るユーリ。
 何せ、目を開ければ仰向けにも関わらず目の前に桜の顔があるのだ。
 そして、どういう状況になっているのか理解したユーリはみるみる顔を赤くする。

「えっ、わ、私...!?」

「おー、わかりやすいぐらいに慌ててるねー。」

「あ、束さん...ではなくてっ、桜さん、ど、どうして私は...!」

 あわあわと慌てながら桜に尋ねるユーリを、桜はゆっくりと起こし...。

「...ごめんな。」

「....ふえっ...?」

 申し訳なさそうな言葉と共に、抱き締めた。

「ささ、桜さん!?」

「...ユーリちゃんがこうなってしまったのは、俺の責任だ。」

「こうなったって...。暴走させたのは、私の責任ですし...。その結果で、ああなったのは桜さんのせいじゃありません。むしろ、連れてきてくれて感謝しています。」

 申し訳なさそうにする桜に、ユーリはそういう。....しかし。

「違う、そうじゃないんだ。俺が言いたいのは、その事じゃないんだ...。」

「桜、さん...?」

 その事ではないと、桜は言う。
 他に心当たりがないユーリは、その答えに戸惑う。

「...ユーリちゃん。君は、俺に依存してしまっているんだ。環境ではなく、精神的に。しかも、自覚がないときた。」

「依存....?」

「ああ。学園に行って、ユーリちゃんの“目”を見て、確信したんだ。...君は、精神上俺がいないともう生きていけないぐらい、依存してしまっている。」

 自覚がないユーリは、そう言われてもなお、首を傾げる。
 分かっていないのだ。自分がどれだけ依存しているのか、桜に言われてさえ。

「ユーリちゃんは、俺がいなくなった時、どう思った?どう感じた?」

「私、は....。」

 寂しくて、辛くて、苦しくて。胸が張り裂けそうだったと、ユーリは思い返す。
 その時の事を思い出すだけで、ユーリの体は震えてきた。

「ぁ...ぅ...!?」

「ほら...な?」

「あ.....。」

 震えるユーリを撫で、落ち着かせる桜。

「依存...ですか。」

「...こうなった以上、どんな形であれ俺は責任を取るさ。ゆっくりとでいい、治していこう。」

「....はい。」

 精神的にここまで追いやられていたのだと自覚したユーリは、桜の言葉に頷く。

「....ねー、束さんがいるの忘れてなーい?」

「あっ、いえ、そ、そんな事は...!」

 実際意識の外に追いやってしまっていたと、ユーリは謝ろうとする。
 だが、そんなユーリを束は桜と同じように優しく抱きしめる。

「....えっ...。」

「...さー君だけじゃなくて、私にも頼っていいんだよ?」

「.....はい...。」

 束の言葉に、ユーリは静かに涙を流す。
 しかし、そんな雰囲気に水を差すように、カメラのシャッター音が鳴る。

「あっ、音切るの忘れてた。」

「「「.........。」」」

 見れば、そこには四季と春華がカメラを構えて立っていた。

「...一応、聞くが、何やってるんですか?」

「ん?野次馬。」

「死ね。氏ねじゃなくて死ね。」

「ちょっ!?格納領域からナイフは禁止!」

 桜の無慈悲に投げたナイフを間一髪で躱す四季。

「まぁ、ここには味方もいる。一度心を落ち着けて、それからどうにかしよう。」

「とりあえず、邪魔の入らない所に行こうか。」

「えっ、あ、はい。」

 野次馬な二人を無視して、桜と束はユーリを連れて別の部屋に移動した。

「あれ?無視かい?」

「...あー、俺が手を下してもいいですけど...後ろ、注意ですよ?」

「えっ。」

 その瞬間、打撃音が響き渡る。

「め、め~ちゅ?」

「いや、エグザミアの方だな。」

 四季の頭があった所には、小さな魄翼を展開しため~ちゅが浮いていた。
 どうやら、エグザミアの意志が四季を叩いたようだ。ついでに春華も叩かれた。

「そろそろめ~ちゅとエグザミアを切り離さないとねー。シュテル達みたいにめ~ちゅもめ~ちゅで動ける方がいいでしょ?」

「そうですね。」

「じゃあ、行こっか。あ、エグザミアも来なよー。」

 改めて束達はユーリを連れて移動し、エグザミアもそれについて行った。

「....俺、このままか?」

「あの子たち、だいぶ逞しくなったわね...。」

 取り残された二人は床に突っ伏したままそういった。

「...ふむ、やはりあの二人はからかうべきではないな。」

 それを陰から見ていたジェイルは、からかうのは止めておこうと密かに思った。









「(....まぁ、頑張ってくれよ。秋十君。)」

 移動する中、桜は秋十へと思いを巡らせる。

「(例えどんな天才でも、一人では限界がある。...いや、むしろ天才だからこそできない事がある。だから、非才の身だからこそできる“世界”を、俺に魅せてくれ。)」

 それは、想いであり、願い。そして、もう一つの“夢”でもあった。









 
 

 
後書き
アミタとキリエが持っている銃剣は、当然元ネタの方で使っているヴァリアントザッパーです。まぁ、桜たちのチート技術で普段は小型化されていますが。ちなみに、ISにも通じるように調整されています。(飽くまで護身用なため、ISに勝てる訳ではない。)
また、ユーリが来た入り口とは別の所から来た訳は、千冬達の戦闘を迂回してきたからです。

シリアスやってる学園sideと違い、桜たちは案外気楽という落差。
場所の安全さが段違いなので自然とこうなってます。 
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