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勇者指令ダグオンA's どっこい

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第二十六話 飛鳥!南流喧嘩殺法習得!?


フェリーの上でD飛鳥が波に揺られながらある島を目指していた。

「・・・もうすぐかな」

双眼鏡を覗き込むと一つの小さな島が見えてきた。





第二十六話 飛鳥!南流喧嘩殺法習得!?





ここは蒼獅子島という海鳴からかなり離れた南の島である。島民は漁業や農業で生計を立てる物が多いが仕事を求めて本島に行く島民も少なくない、本島とつながっているのはフェリーだけなのだが本数は少なく交通の不便が目立つ。

そんなこんなでフェリーからリュックサックのみで降りるD飛鳥。

「何で力兄ここに行けって言ったんだろ」

ボケーっとしながら考えるD飛鳥。

数日前の出来事であり南家を訪れたD飛鳥が力に南流喧嘩殺法を教えてほしいと頼んできたことが事の発端である。

南家

「力君大丈夫なん?」

一人蒼獅子島に向かわせた事にはやてが心配すると・・・

「大丈夫だって・・・じっちゃんに任せておけば」




蒼獅子島

「とりあえずバスでも・・・え?」

バス停の時刻表を見て目を丸くするD飛鳥。バスは2時間に1本の割合になっておりついさっき行ってしまった跡である。

「どうしよう・・・タクシーも無さそうだし・・・タクシー乗るお金も無いし」

途方に暮れるD飛鳥。すると頭のDが何かに気付いた。

「ピヨピヨ!(おい飛鳥!あそこに誰かいるぞ!)」

「ん?」

D飛鳥が目を凝らしてみると埠頭で大きめの麦わら帽子をかぶり釣りをしている半袖のYシャツ姿の老人の姿が・・・

「すみませ~ん!」

D飛鳥が埠頭まで歩き老人に声をかけてみると老人は指して興味無さそうに答えた。

「・・・ん?どうした?家出少年か?」

見向きもしないで応える老人にD飛鳥は尋ねる事にした。

「違いますって!あの!この辺に南って人の家はありますか?」

風の音がうるさいので大きな声で尋ねるD飛鳥。すると老人はD飛鳥を見ようともせず釣りをしたまま答えた。

「その南の衆になんか用か?」

「あの!俺!南さんって人に南流喧嘩殺法を習いに来たんです!」

「?」

『南流喧嘩殺法』と聞いた老人はとりあえず尋ねる事にした。

「南流の喧嘩殺法なんて習って何するんじゃ?」

「守りたいんです!大切な人を!!」

「別に誰かを守るんだったら南流喧嘩殺法じゃなくても良いんじゃないか?」

「けど・・・俺見てきたんです!南流喧嘩殺法で大切な人を守ってきたある人を・・・だから・・・俺も習いたいんです!!」

D飛鳥の言葉に老人は続けた。

「悪い事は言わん・・・帰りな・・・南流喧嘩殺法なんて覚えたって何の役にも立たないぞ・・・ましてや大切な人を守るなんて結果論じゃ」

あくまでD飛鳥の言葉を否定する老人。するとD飛鳥は自分の決意を決めた。

「・・・それでも良いです・・・わかりました・・・自分で探します」

D飛鳥が老人の前から去ろうとすると・・・

「待ちな」

「え?」

「生憎、南の爺さんは今島から離れててな・・・まぁいい・・・帰ってくるまでわしが面倒みてやる・・・ようこそ蒼獅子島へ」

そう言って座椅子から立ち上がる老人は釣り用具一式を持って歩き始めた。突然の事に戸惑うD飛鳥。

「えっと「何してる?来るのか来ないのかはっきりしろ」は!はい!!」

D飛鳥が老人についていくと島民と思われる人とすれ違った。

「ん?小兵衛の爺さん!また若者捕まえてこき使う気か?」

「あ?ゴンお前さんこそまた女たぶらかすつもりか?」

と言う会話が聞こえた。この老人どうも小兵衛というらしい。

兎に角今は頼る当てがないので小兵衛に付いていくことにしたD飛鳥。





ジャングルのような道なき道を歩いて案内されるD飛鳥。すると集落のような場所へ辿り着き一軒の質素な家まで案内された。

「あれがわしの家じゃ・・・まぁこい」

「は・・はぁ・・・」

D飛鳥が畑道を通るとおばあさんに声を掛けられた。

「おや!小兵衛の爺」

「ん?トメ婆か?」

「また若い子に説教かい?」

「あほ」

「また煮物もってくからな~」

「楽しみにしとるぞ~」

些細な会話についていけないD飛鳥は小兵衛のほたって小屋招かれた。周りには何もなく生活に必要な最低限の物や自給自足できる規模の畑などであった。

「まぁあがれや」

「お邪魔します」

小兵衛の家に入ったD飛鳥は出されたお茶を飲み始めた。

「あち・・・」

「お~悪いなぁ・・・まぁゆっくりしてけや」

「はぁ・・・」

何故かこの爺さんに誰かに似た雰囲気を覚えるD飛鳥。すると小兵衛は何かを思い出したかのように庭に出た。

「あの・・・どうしたんですか?」

「ああ・・・今日の薪をな」

撒き割りを始める小兵衛の様子を見るD飛鳥。この島は南に位置している為か日差しが暑い。小兵衛のYシャツは段々と汗を吸収していった。

「ふぃ・・・」

薪割りを終えた小兵衛が汗を拭くためにYシャツを脱ぎ自分の身体を出した瞬間D飛鳥が驚いた。

「・・・嘘」

小兵衛の身体が凄い筋肉である事だった。見た感じ小兵衛の年齢は70以上はあるだがそれで身体つきだけでも30代くらいに見える。

「あの・・・小兵衛さんお歳は?」

「ん?わしか?今年で82だ」

「・・・嘘」

82歳でこの筋肉を維持しているという事はこの爺さんは物凄い健康なんだと感じたD飛鳥。

「ところで坊主・・・南の爺はかなり偏屈な爺だからな暗くならないうちに帰った方が良いんでないか?」

「俺は・・・この島に何かを得る為に来たんです!だから・・・絶対に帰りません」

「・・・ほぅ・・・そうか・・・なら南の爺が帰ってくるまでわしが面倒みてやろう」

「え?良いんですか?」

「まぁ袖触れ合うのも多生の縁っていうしな」

こうして半ば強引に小兵衛の家に下宿させられてしまうD飛鳥だった。





D飛鳥が南の爺さんが帰ってくるのを待っているとDが島の探検に出かけると言って出かけてしまった。


余りにも暇を持て余しているとD飛鳥は台所に立つ小兵衛の姿を見つめていた。

「・・・俺も手伝った方が良いのかな?」

D飛鳥が小兵衛の手伝いをしようとするが長旅で疲れただろうと休むことを奨める小兵衛。

「・・・・・」

ご飯を炊いて骨までみじん切りに刻んだ魚を炒って味噌で味付ている小兵衛は魚丼をつくりD飛鳥。

「美味しそう・・・あれ?」

するとD飛鳥が何やら奇妙な物に気付いた。

「え?」

D飛鳥が縁側を見ると緑色で頭に皿を乗せた何者かが居たのだ。

「か!河童ああああああああああああ!!」

「ん?どうした大騒ぎして・・・あ」

河童の姿を見て仰天しているD飛鳥を余所に小兵衛は・・・

「何だ?河童の坊主かまた来たのか?」

「えええええ!!」

見慣れたと言った感じの小兵衛の様子に仰天するD飛鳥。

「なんじゃ?珍しいのか?」

「だ!だって」

「気にするな。ただの妖怪だ。それにこっちが手を出さなければ悪さはせん・・・キュウリ食うか?」

といって河童にキュウリを渡す小兵衛。河童は頷きながら小兵衛からキュウリを受け取りムシャムシャ食べ始めた。その光景にD飛鳥が唖然としていると・・・

「お~小兵衛の爺さん!」

突如天空から降りてくる天狗。

「ん?天狗か?どうした?」

「なぁにまた酒でもどうだ?あんたと飲む酒は格別に美味いからな」

「調子の良い事言いおって」

天狗とも知り合いらしく小兵衛は戸棚から陶器で出来た酒瓶を取り出すと天狗と酒をかわし始めた。

「・・・妖怪って実在したんだ・・・」

隣でキュウリをガシガシ食べている河童の姿を見ながらD飛鳥が呟くと天狗が呟いた。

「そういえばさっき目つきの悪いヒヨコがおったな~迷子になってみたいだぞ」

「え?大変だ!!」

天狗の話を聞いてDだと感じたD飛鳥は慌てて懐中電灯を持って探しに行き始めた。

「おい・・・危ないから待ってろ」

「だってDが!俺の相棒なんだ!!探さなきゃ!!」

「しゃあないの~・・・天狗・・・河童・・・知り合いの妖怪集めて探してやれワシも行く」

そう言ってD飛鳥がDヒヨコを探しに出かけるとちょうど仕事を終えた隣に住むゴンが帰ってきた。

「おお!小兵衛の爺さんどうした?」

「ああ・・・この坊主の友達のヒヨコが森の方で行方不明になったらしくての・・・今探しに行くところじゃ」

「え!?そりゃ大変だ!若い奴俺も連れて探しに行くぞ!」

「そうか・・・頼むぞ」

そう言ってゴンが若い衆を集めているとD飛鳥が呟いた。

「どうして・・・見ず知らずなのに」

「一蓮托生じゃ・・・お前にとって大切な人は皆にとっても大切なんだ・・・さ・・・心配かけたくないならさっさと行くぞ」

「はい!」

そう答えながらD飛鳥と小兵衛は夜の森の中に入っていった。


一方

「ピヨ~(ここは~どこだ~)」

Dヒヨコは森を彷徨っていた。

探究心を求めてDヒヨコは森を探検しようとしたのだが実在した妖怪に驚いてしまい順路を外れてしまったのだ。

「ピヨ~(はぁ・・・ん?)」

Dヒヨコが途方に暮れると大きな岩で出来た洞窟を見つけた。

「ピヨ(・・・なんだただの洞窟か・・・ん?)」

洞窟に呼ばれるようにしてDヒヨコが中に入っていくと中には大きな獅子のような石像があった。

獅子のような石像を見つめるDヒヨコはその石像に自分と似たような何かを感じていた。

「・・・・・」

Dヒヨコが石像に触れようとすると・・・

「D!!」

「ピヨ?」

D飛鳥の声が響き渡り振り返るとそこにはD飛鳥と小兵衛の姿が・・・

「ピヨおおお!(飛鳥~)」

「この野郎!心配させやがって!」

D飛鳥に抱き上げられるDヒヨコ。するとD飛鳥も獅子の石像に気付いた。

「これは・・・」

何やら石像から物凄いパワーを感じるD飛鳥。

「ああ・・・それは蒼獅子じゃ・・・」

「蒼獅子?」

「ああ・・・この島の守り神じゃ・・・その昔天界の争いに傷ついた獅子はこの島の人の優しさに感動してこの島の守り神になった・・・と言う話じゃ・・・ま本当かどうかしらんがな」

「守り神・・・それって誰かが作った作り話かもしれないんでしょ」

「まぁな・・・だが・・・本当かもしれないと思った方が楽しいじゃろ?・・・坊主・・・天狗や河童だって探してくれたんじゃからちゃんと礼言っとけよ~」

「え・・・あ・・・うん」

飄々とした小兵衛の態度に誰かを重ねるD飛鳥。

すると我が家に帰り集落の人たちや妖怪たちをとの宴会が始まった。

「まぁ~良かったね~見つかって!あたしゃ心配だよ~」

「雅恵婆さん心配し過ぎだよ~」

島民たちが本気でDの事を心配してくれたことに心がホッコリしてくるD飛鳥。

そして妖怪も一つ目小僧や唐笠小僧も加わって総出でDを探していたらしい。

「妖怪の皆もこんなに居たとは・・・この世は科学で立証できないことがまだあるんだな」

「まぁ・・・この島は人が忘れた物が集まった島だからな」

「小兵衛さん?」

「この妖怪たちも昔は本島に居た・・・けど人が妖怪の存在を信じなくなり行く場を失った奴らはこの島に来た・・・ある意味・・・この島は人が失ったものがあるのかもな」

小兵衛の難しい話を聞いたD飛鳥すると

「坊や~これ食べとくれ~♪」

隣のトメ婆さんから大根の煮物を渡されるD飛鳥。

そして

「みんな~出来たよ~」

「「「おお!待ってたぞ~」」」

島の女性衆が各々大きな鍋を持って吸物を作ってきてくれた。皆が集まり色取り取りの食卓になっていく小兵衛の家。

その光景を物珍しい様子で見るD飛鳥。

すると天狗がある事を思い出した。

「そういや小兵衛の爺さん!今年の武闘祭は出るのか?」

「武闘祭?」

「何だ?お前知らないのか?この島では年に一度蒼獅子の前で自分たちの技を競い合う祭りだ・・・そこを勝ち抜いて男になって島から旅立っていく奴も居れば、負けてから自分の中の何かを乗り越えようと挑戦しに来る奴もいる」

天狗の言葉にD飛鳥は頷いてみると・・・

「ウチからはこいつが出る」

「えええええええええええ!?」

小兵衛に無茶ぶり言われて仰天するD飛鳥。

「お!また不良少年を更生させる目的で武闘祭に出す気だな?」

「て!俺不良少年じゃ「細かい事は良いんだよ」はぁ・・・ま・・・いっか」

不良少年扱いされてしまったD飛鳥が小兵衛に抗議するが何故か飄々としている小兵衛に怒りではなく呆れてしまったのだった。

そしてささやかな宴会が終わり皆が解散すると天狗が言った。

「武闘祭は一週間後じゃ・・・楽しみにしてるぞ~」

そう言って帰っていく天狗の姿にD飛鳥は付いていけなかった。

「まっ・・・武闘祭には南の爺も来るかもしれんからな参加しても良いんじゃないか?」

「え?」

何やら小兵衛に乗せられているかもしれないD飛鳥なのだが先程小兵衛が言った言葉が気になった。

「この島は人が忘れた物があるか・・・一週間・・・よし!」

南流喧嘩殺法だけではなく人が忘れた物が何かという事を探すことにしたD飛鳥は一週間だけこの島で過ごすことにした。




それから色々やったD飛鳥。

トメさんの畑を手伝ったり、魚市で魚を捌いてみたり、隣のゴロの元に作ったご飯を持って行ったり、近所の子供と遊んだり、時にはみんなに助けられたりと、喧嘩技ではなく交流を覚え始めたD飛鳥。

だがそんな中でD飛鳥の心はホッコリしてきた。

「何だろう・・・この島・・・温かいな・・・」

日差しではなく島自体に何かを感じるD飛鳥。

そして一週間がたちD飛鳥は武闘祭に参加するべく祠に向かった。

「そういえば小兵衛さん・・・ご家族は?」

「ん?出てったぞ?」

「出てった?寂しくないんですか?」

「いや・・・去る者は追わず・・・だがわしの息子は去っていったのではない・・・男になって巣立っていったのだ」

「巣立つ?男になったって・・・まさか」

「さぁ・・・武闘祭はお前を男にしてくれるかな?」

洞窟を抜けるとD飛鳥は目の前の光景を見て驚愕した。

「!!せい!!」

「はああ!!」

その光景は日頃ののんびりした島民たちの姿ではなく自分たちの技を競い合う戦士たちの集まりだった。

「これが・・・武闘祭」

自分たちの技を競い合う為ルール無用の戦いが繰り広げられている。

今戦っているのは天狗とゴンの試合である。天狗は跳躍しながらゴンを翻弄し一撃を入れるがゴンは自分の打たれ強さで天狗の攻撃を受け止める。

一歩間違えれば命の保証の無い戦いを繰り広げていた。

「さて・・・お前さんは誰と戦うかな?」

小兵衛が対戦票を見て見るとD飛鳥が戦うのは漁師のブンさんだった。

「!!ふんふん!!」

既にウォーミングアップしているブンさんにD飛鳥は柔軟運動をしている。

「何で・・・こんな事に?」

「なんだ?怖気づいたか?」

小兵衛の言葉に首を振るD飛鳥。

「いや・・・けどブンさんは漁師でお世話になったから」

敵に対して違和感を感じるD飛鳥に小兵衛は答えた。

「坊主・・・これはいうなれば喧嘩だ」

「喧嘩?」

「坊主・・・これで勝てば見えてくるかもしれんぞ?南流の喧嘩が?」

「南流の喧嘩が?」

「ブンさんも自分の中の何かを超えて男になる為に戦う・・・だからお前も男になる為に向かってみろ」

「男になる為に・・・」

半ば小兵衛に押されるような形で道着に着替えブンさんに向かって構えるD飛鳥。

「はじめ!!」

外野からの合図により二人の試合が始まった。

「でああああああああああああああああ!!!」

「い!!」

突然のブンさんの奇襲に驚くD飛鳥は回避した。すると後方の岩がブンさんの拳圧で砕かれた。

「なんだ!?あの拳!当たったら即死だ!!」

ブンさんの拳にどうやって戦うか考えるD飛鳥だがそんな事お構いなしにブンさんは拳で次々とD飛鳥に一撃を与えようとする。

「!!うわ!!あ!!」

避ける事に精いっぱいになり相手に向かって考えることが出来ないD飛鳥。

「ぐああああああ!!」

するとブンさんの拳が直撃しそうになりガードするとガードごと一撃を浴びてしまうD飛鳥。

「・・・・・ぐ!」

口元から血が流れるD飛鳥。喧嘩ではなく命のやり取りに近い戦いに考えている余裕のないD飛鳥。

「ふん!ふんふん!!!」

「ぐ!がは!ごは!!」

ガードの上から重い拳を叩き付けられるD飛鳥は痛みでガードしている腕の感覚が無くなり始めた。

「どうすればいい・・・どうすれば勝てる・・・」

威圧感で抑え込まれそうになるD飛鳥。

すると

「坊主!頭で考えるな!!!自分の本能を信じろ!!」

小兵衛の言葉にD飛鳥は何かを考えブンさんとの距離を置いた。

「・・・どうやるんだっけ力兄達はどうやって戦っていたっけ?」

小兵衛の言葉に南流喧嘩殺法の事を思い出すD飛鳥。

(あ~あの技はやてから身をもって知った技だけど?)

(俺の剣法なんてシグナムさんから盗み取ったのばっかだぜ?)

(私のトラップって楽しんで考えてるから♪)

力・新次郎・ことはの順に力達の戦い方を思い出し・・・

(いやはや~どうも私の身体に合った戦い方って南流喧嘩殺法らしくて♪)

(・・・俺の技なんて自分に合った技だぜ?)

その喧嘩技を継承した楓と大地の言葉を思い出し気付いた。

「そうか・・・南流喧嘩殺法って型が無いんだ・・・」

南流喧嘩殺法とは形があって形が無い・・・いわば自由な戦い方である。そして何より戦闘本能により相手の技を身体で覚え盗み取り、自分の技に変換し、自分自身の技として習得する。

よっていくつもの戦い方の中から最も自分に合った戦い方で構成されたファイティングスタイルと言うのが南流喧嘩殺法なのである。

だがそれをやるには持って生まれた超絶的な戦闘本能を使い更にはそれに見合う強靭な身体が必要なのである。

そして何より必要なのは戦闘本能を超越し自分を見失わない意志。

力達の喧嘩スタイルも数々の相手との戦いで相手の持つ自分に合った戦い方を覚え自分の物にしたものであり各々のファイティングポーズは違ったりする。

「だったら・・・俺も今までの戦い方を!!」

自分の中に眠る闘争本能を呼び覚ましたD飛鳥はさっき戦った天狗やゴロさん達の戦い方を思い出した。

「でああああああああああああああああああああああ!!!」

ブンさんの拳がさく裂するとD飛鳥は踏みとどまりさっき見たゴンのガードで次の攻撃を防いだ。

「はああああ!!」

そしてブンさんの攻撃が入る前に天狗がやった跳躍殺法でブンさんを翻弄し顔面を蹴り飛ばした。

「ダメだ!まだ頭で考える!考えるな・・・本能で戦う!!」

頭で考えるのをやめたD飛鳥は身体に任せた戦い方を始めた。ブンさんが再び拳を入れようとすると力の捌き技を使いブンさんの後ろに回り込むと膝の裏を蹴り顔面を殴りバランスを崩させると締め上げた。

「!!」

「せえっの!!」

そのまま飛鳥の蹴り技を使いブンさんを蹴り飛ばすと距離を置き・・・

「レイソニック!ウェーブ!!」

楓の必殺技・レイソニック・ウェーブを放ちブンさんを翻弄していく。

「はあああああああああああああああ!!!」

そのまま突撃していくD飛鳥はブンさんに追撃をした。徐々にD飛鳥自身の技として南流喧嘩殺法が構築されていく。

D飛鳥の猛攻を受け続けブンさんが戦意喪失し膝をつくと闘争本能を開花させているD飛鳥が止めの拳を入れるようとすると・・・

「それまで!!」

「!!」

小兵衛の言葉に拳を止めるD飛鳥。

するとブンさんが・・・

「負けたよ♪坊主」

傷ついた体で起き上がりD飛鳥と握手した。戦いが終わるとノーサイドになるのか健闘を称え合うブンさんすると見物に来ていた島民達もD飛鳥に拍手を送るがD飛鳥の表情が何やら重い。


そして夜が明けD飛鳥が蒼獅子島から帰る時が訪れた。

「・・・どうした?お望みの喧嘩殺法は体得できたんだろ?」

見送りに来ていた小兵衛の言葉にD飛鳥は浮かない顔をしている。

「小兵衛さん・・・俺あの時自分の本能に任せて・・・敵を倒すことだけを考えていた・・・俺・・・そんな自分が怖かった・・・もしこの拳が誰かをただ傷つけるだけと思うと・・・」

震える自分の拳を抑えながらD飛鳥は小兵衛に胸の内を明かすと小兵衛は笑って答えた。

「・・・それで良い」

「え?」

「戦う事が怖くなくなったらそれはただの愚か者だ・・・武闘祭は限りなく命のやり取りに近い戦いだ・・・それを得て何かを学んでいく奴は多い・・・それにお前さんは最後の最後で自分の拳を止められた・・・それはお前の意志だ」

「俺の・・・意志?」

「お前がお前の意志を信じないでどうする?・・・胸を張れ」

「はい!」

小兵衛の言葉に胸を張るD飛鳥。

「坊主・・・何かあったらまた来い。話くらいは聞いてやるぞ~」

「へ?」

「身内じゃ話しづらい事もあるだろう・・・赤の他人だからこそ話せることもあろう・・・この島は去る者は追わず・・・だが来る者は拒まずだからな」

「・・・小兵衛さん」

するとフェリーの出航時間になりD飛鳥が見送られながら乗り込むと小兵衛が問いかけた。

「小僧~お前さん名は?」

「あ!」

名乗っていなかった事を思い出したD飛鳥は自分の名前を名乗った。

「俺!新田飛鳥です!」

「そうか・・・良い名前だな・・・名づけた人の気持ちがこもってる・・・わしは南小兵衛じゃ!」

「え!?南!?えええええ!」

目の前の小兵衛爺さんこそ力の祖父・南小兵衛だった。まんまと一杯食わされたD飛鳥。





そして出港したフェリーの上でD飛鳥が考えていると声が聞こえてきたので振り返った。

すると

「ま~た来いよ~!」

「待ってるぞ~!」

お世話になった島の人たちが総出で見送りに来てくれたのだった。そこには河童や天狗の姿もあった。

「次は勝負だぞ~人間の坊主~」

「バイバ~イ♪」

扇を振る天狗とキュウリを振る河童。

「みんな・・・またきまああああす!!!」

島民や妖怪達に手を振りながら島を後にするD飛鳥。

そして

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

D飛鳥の姿を見つめる蒼獅子は未来へ帰り、大地のVアーマーに再び宿るのだった。


 
 

 
後書き


「ふぅ~ようやくロードしないとなぁ~」

はやて
「そうやなぁ~」

サイモン
「何の話だ?」


「リリカルクエストに決まっておろうが!!大魔王高町!今こそ退治してやるぜ!!て!お前は暗黒騎士フェイト!ってDフェイトにレヴィまで!」

次回!勇者指令ダグオンA’s どっこい リリカルクエスト4


「て!勝負だ!暗黒騎士三姉妹!!」


 
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