| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十三部第二章 円卓その五十三

「一つのことが済めばそこからまたはじまる」
「新天地で終わりではないものですね」
「エウロパの栄光はな」
「むしろ新天地を手に入れてですね」
「そこからだ」
 まさにというのだ。
「我々の発展はな」
「それからですね」
「そうなる、一つ思うことは」
 ギルフォードはここでこうも言った。
「植民地は我々に大きなものを残した」
「学ぶべきことを」
「そうだ、それを残した」
「植民地は短期的には利益を得ますが」
「長期的にはな」
「そうではありませんね」
「反乱に備え軍も必要だしな」
 このこともあったのだった。
「それにだ」
「それに加えてですね」
「ただ富を手に入れるだけではな」
「その富がなくなればですね」
「何もならない、ましてや若し現地の者がいれば」
 それならというのだ。
「その者達をどうするのかも」
「問題となりますので」
「植民地統治ではなくだ」
「直接統治ですね」
「本国としてのな」
「そういうことですね」
 ビルギストンもギルフォードのその言葉に同意して頷く。
「そう思いますとサハラ総督府は」
「やがてはな」
「総督府が叛乱を起こす可能性もありましたね」
「エウロパ本土からの独立を掲げてな」
「そうなってはどうにもなりませんでしたね」
「思えば危うい政策だった」
 ギルフォードはこう言うのだった。
「間接統治ではなくな」
「直接統治ですね」
「新天地は一気に広げずにな」
「統治出来るだけの距離にしていってですね」
「徐々に拡大しよう」
 欲を張らずに、というのだ。
「あくまで徐々にな」
「そういえば連合も」
「そうだな、一気に進めないな」
「開発、開拓を」
「あの国ですらそうだ」
「だからこそ我々も」
「連合より愚かなことをしては笑いものだ」
 人類社会の、というのだ。
「それはしない」
「断じて」
「我々も徐々にだ」
「統治のことを考え」
「進出していく」
 その新天地にというのだ。
「少しずつな」
「それが賢いですね」
「私はそう思う、それでなのだが」
 ここでこうも言うギルフォードだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧