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太陽が一杯

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第二章

 私は海に出た、青い空と白い雲がまず目に入った、海よりも先に。
 そしてこの暑さの元凶も見てだ、私は隣にいる彼に言った。
「かんかん照りね」
「古い言葉使うね」
「そうかしら」
「うん、けれどその通りだね」
「そう言うしかないでしょ」
「うん、とにかくね」
 彼もまたその空を見た、太陽がどうしようもないまでに照っているその空を。
「凄い日差しだね」
「眩しいなんてものじゃないわね」
「全くだよ、けれど海に着いたし」
「海に入ってね」
「涼しくなろうね」
「そうしましょう」
「そうしようね、あとね」 
 彼はここで私を見てきた、見れば膝までの競泳用の水着だ。上にシャツを羽織っていて頭には帽子がある。
「君の水着だけれど」
「何?」
「あまり露出ないね」
 半ズボンタイプのその水着を見て言ってきた、上は袖なしのシャツみたいな感じで下はそれだ。上下共色は黄色だ。
「どうにも」
「だってこうした時に海に出たら」
「僕がいても」
「露出の多い水着だとね」
 具体的にはビキニだ、こちらは黒と青を持っている。ワンピースはピンクのかなり露出の高いものを持っている。
「どうしても声かけてくるのがいるから」
「だからなんだ」
「こうした水着だとね」
「露出が少ないから」
「その分声をかけてくるのがいないから」
 だからだ、本当に。
「この水着にしたの」
「そうなんだ」
「これでサングラスかけてね」
 目を守って顔もその分隠してだ。
「そして忘れたらいけないのは」
「日焼け止めクリームだね」
「これを忘れたらね」
 この日差しだから余計にだ。
「どうしようもないわ」
「日焼けしてね」
「後が痛いから」
 その日焼けでだ。
「丹念に塗っておきましょう」
「そうだよね、それじゃあね」
「日焼けしたら後でシミにもならないし」
 このこともあってだ。
「まずはね」
「クリームを塗ろうね」
「それから泳ぎましょう」
 準備体操も欠かさない、悪い虫と太陽を防ぐことも忘れないでそのうえでだった。私達は海に入った。
 そうしてお昼まで遊んでだった、お昼は海ではお約束の海の家で食べることにしたけれどここでだ。
 私にだ、彼はこんなことを言ってきた。
「飲みたいけれどね」
「車だからね」
 それで来たからだ。
「やっぱりね」
「我慢だね」
「私も運転出来るけれど」
 それでもだった。 
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