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ドリトル先生と悩める画家

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第五幕その六

「それもまたね」
「とにかく動いて」
「そうしてだね」
「スランプを抜け出ます」
 意気込みもある言葉でした。
「絶対に」
「それでは寒いからね」
「風邪にはですね」
「注意してね」
「スランプの時に身体を壊すと」
「余計によくないから」 
 だからというのです。
「普段以上にしんどいよ」
「精神状態も影響しますか」
「そう、病気はね」
「だからですか」
「スランプや欝の時こそね」 
 まさにというのです。
「風邪とかには注意しないとね」
「だからですね」
「霧の水分で身体が冷えない様に」
「程々にですか」
「むしろもうね」
「建物の中に入って」
「暖かくした方がいいよ」
「わかりました、じゃあ講義まで部室にいます」
 太田さんはこう先生に答えました。
「そうします」
「じゃあ部室で」
「絵を描きます」
 その時もというのです。
「そうします」
「今も描くんだ」
「はい、そうしないと気持ちも落ち着かないですから」
「だからなんだね」
「描きます」
 そうするというのです。
「スランプから抜け出る為にも」
「ううん、太田君は本当に前向きだね」
「そうして自分を奮い立たせてもいます」
 あえて前に進んで、です。この場合は美術館や霧の景色を観たり絵を描くことです。そうしたことをしているのです。
「落ち込むとよくないって思ってまして」
「それも無理していないかな」
「というかそうしないと」
「落ち込んでそのまま動けなくなるからかな」
「どうも僕はそんなタイプなので」
 だからというのです。
「あえてそうする様にしています」
「そうなんだね」
「じゃあ今から」
 太田さんは先生にあらためて言いました。
「描いてきます」
「うん、じゃあね」
「また」 
「またね」
 お別れの挨拶もしてです、先生達は太田さんと別れました。太田さんはその足で芸術学部の校舎に向かい先生は医学部の方に向かいました。
 そして研究室に入ってコートをコート掛けに掛けてです、お部屋の暖房を入れてから動物の皆が淹れてくれたミルクティーを飲みつつ言うのでした。ご自身の席から。 
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