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レーヴァティン

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第八話 神殿にてその五

「人間は決して完全にはなれない」
「そこから真偽があるか」
「そういうものだ、そしてその真偽を確かめる」
「このことが大事だな」
「そういうことだ、わかったな」
「ああ、何となくにしてもな」
 それでもとだ、久志は英雄に言葉を返した。
「わかった、本に書かれてることや神官さん達の言葉を鵜呑みにせずにな」
「確かめていくことだ」
「じっくりとだな」
「そうしてこの世界のことを把握してだ」
「それからだな」
「旅を再開すればいい」
「そういうことか」
 久志は再び書に手をやってページを開いてからだ、英雄に応えた。
「とどのつまりは」
「そうなる、ただかなり気になる話があるな」
「かなり?」
「魔神は軍勢を持っている」
「ああ、そのことな」
 久志もだ、英雄のこの言葉に目を鋭くさせた。そのうえで言葉を返した。
「俺が読んだ本にも書いてあったぜ」
「そうか」
「それも相当な、な」
「邪悪な軍勢と書いてあるがだ」
「この世界を滅ぼすか」
「滅ぼすかどうかはともかく」
「強そうだな」
 魔神の軍勢はとだ、久志は読んできた文章から受けた感覚を述べえた。
「どうにも」
「その印象があるな」
「悪ってあるとな」
 邪悪にあるその一語からだ、英雄は言った。
「そんな印象があるな」
「そう感じたな」
「ああ、悪ってな」
「文字通りの意味とだ」
 悪、その言葉自体が示す意味だ。
「もう一つある、これはイメージだ」
「強いって感じがするな」
「強くない敵を悪し様に書くか」
「いや、それもないな」
「強い敵だからだ」
 だからこそというのだ。
「この言葉が出る」
「悪って言葉を使うか」
「そうだ、魔神の軍勢は相当に強い」
「それは間違いないだろうな」
「そう思うな」
「ああ、悪源太とか悪七兵衛とかな」
 源義平と平景清だ、どちらも源氏と平家のそれぞれの猛者だった。
「強いってことだしな」
「日本語の表現だが」
「ああ、そういえばそうだな」
「悪はな、しかしこの世界でも表現は同じだな」
 言葉や文字は違うがだ。 
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