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レーヴァティン

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第七話 炎の剣と氷の刃その十二

「港まで送るな」
「東の島まで行くそこまでか」
「送るな、いいな」
「そうしてくれると有り難い」
 笑みでだ、英雄は久志に答えた。
「俺もな」
「じゃあ決まりだな」
「そうだな」
「送るぜ」
 笑ってだ、久志は英雄にあらためて告げた。
「そこまではな」
「そうしてくれるか」
「ああ、それじゃあまたあっちの世界でな」
「一緒にやっていくか」
「別れるまでな、ただな」
「まずはだ」
「神殿で調べていかないとな」
 あちらの世界のことをとだ、久志はこちらの世界で思うのだった。
「やっぱりな」
「それはだな」
「ああ、本当にな」
「しかしだ」
「しかし?」
「どうもあの世界は生死の概念が希薄だな」
 ここでだ、英雄は久志にあちらの世界のこのことを話した。
「どうもな」
「ああ、それな」
「話を聞いていると俺達は使えないが」
「魔術もあってな」
「魔術師が使うもの、僧侶が使うものにだ」
「錬金術や超能力もな」
「その中でもかなり高位になると死者を蘇らせるものもある」
 英雄は強い目になって話した。
「そのせいだな」
「生き返ることが出来るならな」
 それならとだ、久志も言った。
「その分だな」
「生死の概念が希薄だな」
「それでか、じゃあ俺達もか」
「生き返ることも出来る」
 例え死んでもいうのだ。
「そのことは心配がいらなくなったな」
「正直死ぬかどうかビクビクしてたしな」
「そうだな、俺も安心している」
「有り難いよ、ただそれでもだな」
「それに胡座をかいていると足元を救われる」
 死んでも生き返ることが出来る、そうした世界でもというのだ。
「これはどんなことでもだ」
「どんな世界でもだな」
「常だ」
「そうだよな、やっぱり」
「だから気をつけていくことだ」
「そういうことだな、生き返れるってことは」
 それだけにとだ、久志は考える顔で言った。 
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