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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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123部分:第十一話 孔明、世に出るのことその九


第十一話 孔明、世に出るのことその九

「お相手は誰かしら。今もお元気かしら」
「あの、鈴々はですね」
「鈴々ちゃんは?」
「娘ではありません。妹です」
 焦りきって顔を真っ赤にしての言葉だった。
「血はつながってませんが妹です」
「そうだったの」
「はい、大体私はですね」
 顔を真っ赤にしながらの言葉が続く。
「そうしたこともまだですから」
「あら、それもなの」
「そうです。同性も異性もありません」
 それも言うのであった。
「全く。何でそんなことに」
「いえ、あまりにも仲がよかったから」
 水鏡は温かい笑顔で応えた。
「それで鈴々ちゃんだけれど」
「困った奴です。孔明殿とは全く違います」
「あら、鈴々ちゃんはいい娘よ」 
 水鏡はその温かい笑顔で関羽に返す。
「明るくて天真爛漫でね」
「そうでしょうか」
「朱里、あの娘はね」
 孔明のことであった。
「幼くして両親と死に別れて孤児になって」
「そうだったのですか」
「姉妹とも別れて。それで私のところに預けられたの」
 窓から見える孔明を見ながらの話だった。
「あの娘がしっかりしているって言ったわね」
「はい」
「それはそうならざるを得ずしてなったものなのよ」
「ならざると得ずしてですか」
「ええ、そうなのよ」
 孔明を見る目は温かい。だが同時に悲しいものも見ていた。
「あの娘はね」
「そういえば鈴々も」
 関羽は張飛のことも思い出した。
「孤児で。それで」
「そうね。誰もがそうしたことを抱えているのよ」
 それも話すのだった。
「あの娘も鈴々ちゃんもね」
「そうなのですか」
「ええ。それでも鈴々ちゃんは天真爛漫よね」
「確かに」
「そうした状況で明るくなれるのは凄いことよ」
「言われてみれば」
 それがわかった関羽だった。
「そうですね」
「そうよ。それでだけれど」
 水鏡は言葉を変えてきた。
「暫くしたらあの娘にサロンパ草を持って来てもらうから」
「はい」
「それを使えばもう大丈夫よ」
「有り難うございます。それでは」
 こんな話をしていた。そしてその孔明が山にまで薬草を採りに行っていた。しかしその後ろにであった。
「ねえ、鈴々ちゃん」
「何なのだ?」
「何で孔明ちゃんの後をつけていくの?」
 馬岱が問うのだった。二人は一緒である。
「お散歩じゃないの?」
「散歩じゃないのだ」
 それはしっかりと言うのであった。
「あのチビッ娘にこれ以上好きにはさせないのだ」
「好きにって?」
「そうなのだ。好きにはやらせないのだ」
 木の陰に隠れて進みながらだ。孔明の姿を見ていた。
「何があってもなのだ」
「それで具体的に何をするの?」
「あいつより先にそのサロンパ草とやらを手に入れてやるのだ」
 そうするというのだ。
「そう、その為に」
「あの娘が手に入れたら強奪するんだね」
 馬岱が明るく話した。
「それだと確実だね」
「そうなのだ・・・・・・って待つのだ」
 今の言葉には速攻で突っ込みを入れた張飛だった。
「鈴々はそんなことはしないのだ」
「そうなの」
「そうなのだ、そんな卑怯なことは絶対にしないのだ」
 このことはくれぐれも言うのであった。
 
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