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Blue Rose

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最終話 薔薇は咲いてその六

「それが顔にも出るし」
「顔にもなのね」
「姉さんの表情はしっかりしてるから」
「努力してる顔なの」
「そう見えるわ」
「だといいけれどね」
「私よりずっと努力してるわよ」
 優花はこうも言った。
「私なんか足元にも及ばない位に」
「それは私の言葉よ」
「姉さんのって」
「貴女ずっと頑張ってきたわよ」
 優子は優花に優しい笑顔で話した。
「子供の時から。私達二人だけになった時から」
「お父さんとお母さんが死んだ時から」
「そう、その時からね」
 まさにというのだ。
「メインで家事をしてたじゃない」
「それは当然のことでしょ」
「そこで当然って言うのがね」
「いいの?」
「ええ、努力を努力と思ってないってことよ」
「そうなるの」
「そう、毎日しっかりとお掃除洗濯お料理をしてくれたから」
 優花がそうしたことを頑張ってくれたからだというのだ。
「私も勉強頑張れてね」
「お医者さんにもなれたっていうのね」
「そうよ」
「だとしたらいいけれど」
「大学に入っても頑張ったから」
 努力をしたからというのだ。
「色々な資格が取れたのよ」
「図書館に就職出来たのも」
「そのうちの一つよ」
「そうだったのね」
「だからこれからもね」
「努力していけばいいのね」
「そうしたらきっと幸せになれるわ」
 こう優花に話した。
「是非ね。じゃあこれからはね」
「ええ、就職しても」
「頑張ってやっていってね」
「そうするわね」
 優花はにこりと笑ってだ、優子に答えた。そしてだった。
 大学を卒業して正式に社会人として生きることになった、優花は卒業式の後で龍馬に喫茶店で話をした。
「これから社会人ね」
「お互いにな」
「龍馬はトラックの運転手さんになるの?」
「いや、大型持ってないからな」
「だからなの」
「まずはそれ取ることになるか」
 大型免許、それをというのだ。
「それまでは他の仕事か、いや」
「むしろなのね」
「そっちの方が仕事多いからな」
「そうなの」
「引越しセンターもそうらしくてな」
「トラックを動かして移動するけれど」
「そりゃ運転手は必要や」
 その人自体はというのだ。
「けれどそういうスタッフだけじゃなくてな」
「他のお仕事の人もなの」
「必要だからな」
 それ故にというのだ。 
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