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ドリトル先生と悩める画家

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第一幕その七

「そうなるかもね」
「歌舞伎なんか凄いから」
「もう派手派手」
「けれどそれでいて調和があって」
「不思議よ」
「ただ派手なだけで収まらないのがね」 
 まさにというのです。
「浮世絵や歌舞伎なんだ」
「そうなんだね」
「とんでもなく派手だけれど調和もある」
「そんな芸術なんだね」
「それが江戸時代の芸術なんだ」
「そうだよ」
 その通りとです、先生はまた答えました。
「これは安土桃山時代の派手な芸術が庶民文化に入ってね」
「ああ、戦国時代の後のだね」
 王子が先生に応えました。
「安土城とかの」
「そう、残念ながら現存はしていないけれどね」
「あの派手な天主閣がだね」
「庶民文化に入っていって」
「ああなったんだ」
「花火とかそうだね」
 先生は日本のそれもお話に出しました。
「色々な色が派手に出ているけれど」
「調和があるね」
「あれもその一つでね」
「江戸時代にああなったんだ」
「そう、派手だけれどね」
 そのそれぞれの色も配色もです。
「調和がある」
「そうなっていったんだね」
「元禄時代辺りからそうなっていってね」
「それからなんだ」
「江戸時代の文化は長い爛熟の時代にあったんだ」
「江戸時代が終わるまで?」
「そうだよ、元禄文化からはじまり」
 そしてというのです。
「享保や寛政、文化文政の時代も幕末もね」
「ずっとだね」
「長い長い爛熟期にあって」
「こうした浮世絵も出て」
「そう、歌舞伎も出てね」 
 そしてというのです。
「落語や浄瑠璃、小説も一杯出たんだ」
「何か凄いね」
「そうだよ、江戸や大坂だけじゃなくて地方もそうでね」
「あっ、そうなんだ」
「農村でも落語とかが行われていたんだ」
「そうだったんだ」
「庶民文化だからね」
 何といってもそうした文化であるからだというのです。
「一部の限られた人達だけが楽しんでいなくて」
「沢山の人がなんだ」
「楽しんでいたんだ」
「そうだったんだ」
「江戸時代は日本の黄金時代の一つだよ」
 こうまでです、先生は日本の江戸時代について言いました。
「平和で豊かで文化が栄えた」
「素晴らしい時代だったんだ」
「そうだよ、この浮世絵にも出ているね」 
 先生は今度は花火の浮世絵を見ています、黒い夜空に赤や青、白の大輪が幾つも咲いていてとても奇麗です。 
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