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星河の覇皇

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第六十三部第一章 次期総統その二十六

「貴族は貴族、平民は平民とです」
「分けられてだな」
「そこには確かに社会的な秩序があります」
「その通りだ、しかし連合はな」
「秩序がありません」
 階級が存在しない、それが為だというのだ。
「それも全く」
「誰もが同じものを出来るからな」
「同じ店にも入られますし」
「着る服もだな」
「どの様なデザインの服もです」
 金さえ出せば、というのだ。連合では。
「着られます」
「そうした社会ではな」
「秩序がありませんね」
「完全な無秩序だ」
 そうなっているというのだ、エウロパから見ればだ。
「誰もが何でも出来るとなると」
「混沌としていますね」
「連合は混沌だ、そうした社会ではな」
「いいものにはなりません」
「あらゆるものがな」
「乗馬にしてもだ」
 ボーデンが愛しているそのスポーツにしてもというのだ。
「貴族がするからだ」
「いいのですね」
「そうだ、貴族こそが乗馬を正しく出来る」
 これはボーデンだけでなくエウロパ貴族の多くが思っていることだ、それは彼等が貴族であるが故に思っていることだ。
「気品を以てな」
「若しくは貴族が乗馬を教えた者達がですね」
「正しい乗馬が出来る」
「では連合の乗馬は」
「馬賊程度だろう」
 その程度の品性しかないというのだ。
「所詮はな」
「貴族の気品がないからですね」
「貴族の邸宅を占拠して庭でバーベキューをする様な連中だ」
 エウロパ戦役で実際に連合軍はしたことだ、それがエウロパ貴族達の不興をかなり買ったりもしたのだ。
「その品性はな」
「酷いものですね、士官達ですら」
「レストランで料理の味が薄いと言ってな」
「料理に調味料と香辛料を山程かけて食べたそうですね」
「素材の味がなくなるまでな」
「貴族はです」
 カミュは厳しい声で言った。
「シェフの料理は褒めてもです」
「けなさないものだな」
「ましてやその料理に少量の調味料ならともかく」
「山の様にかけることはな」
「マナー違反もいいことです」
 エウロパ貴族の中ではそうなるのだ。
「非常に」
「そうだな、それがわからないからな」
「連合はな」
「蛮人の集まりに過ぎない」
 所詮は、というのだ。
「品性なぞある筈もない」
「全くです」
「あの様な国だからな」 
 それで、というのだ。
「所詮な」
「品性なぞですね」
「ある筈がない」
 これがボーデンの言葉だ。
「とてもな」
「そうですね。一人を除いて」
 カミュはここでこう言った。 
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