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星河の覇皇

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第六十三部第一章 次期総統その十七

「それだとすると」
「私をですね」
 カミュは言った。
「円卓の騎士にですか」
「そうかも知れない」
「私が円卓の騎士に」
「なりたいと思うか、卿も」
「アーサー王は憧れです」
 カミュはボーデンにこう答えた。
「エウロパ人にとっては」
「円卓の騎士達もだな」
「イギリス人であろうともフランス人であろうとも」
 その国籍が違えど、というのだ。
「それでも」
「エウロパの者達ならな」
「はい、憧れます」
 そうなるというのだ。
「私もまた然りです」
「そうだな、そのことはな」
「首相もですね」
「子供の頃だった」
 ボーデンのだ、子供の時にというのだ。
「アーサー王の物語を読んでだ」
「それで、ですね」
「是非円卓の騎士になりたいと思った」
「そうですね、エウロパ貴族にとってです」
「アーサー王と円卓の騎士は憧れだ」
「そして理想ですね」
「それ故にだ」
 だからだというのだ。
「円卓に誘われるのならな」
「断れないというのですね」
「そうなる、では」
「いえ、まだです」
 円卓には座らないとだ、カミュは微笑んで答えた。
「まだ座ることは決めません」
「使者に会ってからか」
「円卓の主はアーサー王ですね」
 アーサー王がいるからこその円卓だ、円卓はアーサー王なくして騎士達の円卓とはならないのだ。それでは只の円卓になってしまうのだ。
「そうですね」
「そうだ、ではか」
「はい、あの侯爵殿がヒトラーであるだけならです」
「円卓には座らないか」
「アーサー王ならばです」
 ギルフォードにその風格もあればというのだ。
「私は応えますが」
「では侯爵殿には」
「直接会いたいですね」
 こう言うのだった。
「そうして詳しくです、侯爵殿個人を知って」
「そうしてからか」
「決めたいです」
「そうか、それではな」
「これからです」
 それを決めるのはというのだ。
「それに私は改革派の人間です」
「改革派から離れることはか」
「ありません」
 このことは決してというのだ。
「カミュ家は代々改革派にいました」
「総裁を出したこともあったな」
「それがカミュ家の誇りでもありますので」
 それ故にというのだ。
「私はです」
「この政党を離れることはないか」
「そうです、代々の誇りですから」
 彼個人だけでなく家の、というのだ。
「それ故に」
「そうか、ではな」
「こちらも条件を出します」
 党を離れることはないということをというのだ。 
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