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ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版

作者:黒鐡
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課外授業のデイウォーカー
  ヴラディ家当主と面会×ヴァレリーとお茶会

場内は静寂だし、すれ違う人物はメイドと巡回中の兵士のみ。俺らCB側とグレモリー眷属は、この城内に幽閉されてるギャスパーの父親=ヴラディ家の当主に会う事が優先されている。地下室まではメイドに案内されるが、リアスとギャスパーはヴァレリーが面会したいとの事で王の部屋に連れてかれた。アザゼルはマリウスの部下らしき上役の吸血鬼に行く様子。

『こちらに来る前にアザゼルとヴァーリの拳を治療しましたが、相当の怒気でしたね』

『そうだな朱乃。にしてもリアスとギャスパーは単なる話し相手が欲しかったヴァレリーなのは分かるが、アザゼルに関して神器知識は俺と同等だがヴラディ家当主との面会許可されるとは』

『ギャー君に関して詳細な事を知ってるのは、父親に聞くのが一番かと』

『それにしても三チーム来なくて正解だったね~吸血鬼相手だと何があるか分からないし』

俺ら念話によってこれからについて話し合ってたが、ヴァーリや曹操も一緒とは言え今の内に聞いといた方がいいとの判断をした俺。オーフィスは相変わらず肩上に乗ってるが、俺のボディガードだしフェンリルらを出しても出番は後々になる。

石造りの城内、明かりを持つメイドが先導して地下への階段を大所帯で下りていく。グレモリー眷属よりも強敵はこちらが相手する事となるし、強敵によってグレモリーを前線へ出すかもしれん。広い空間へ出ると扉が存在して、その一つにメイドが歩み寄る事でここに居るのだと察する。

「ここがヴラディ家当主様がおられる客室でございます」

「客室ねぇ・・・・貴族を迎え入れるには質素な感じがする。まあ牢屋よりかマシに思えるが、曹操らが入ってた牢屋よりも質素だな」

「そこだけは一真に同意するよ。俺らが居た牢屋と言う客室よりも庶民な感じだな」

「(ノック後)お客様がお見えです」

中に居る者へ報告後、施錠された扉が開いて中に入るよう促された。俺らと朱乃達は頷き合い入室するけど、リアスとギャスパーには次元の駒を譲渡済み。移動中に月中基地本部からの通信により完了となり、黒の駒にも更新されたが今後俺らの敵に対してだと思う。

ここは本当に地下室か?と思うぐらいな豪華絢爛であり、天井に吊るされたシャンデリアとアンティークな家具も高級そうに思える。貴族が幽閉されていても上の部屋とあまり変わらないと思ったけど、そんで中にいる人物がソファに座っていた。

金髪の男性で三十代ほどらしいがこいつがギャスパーの父親か、俺らを見たら立ち上がった。俺と朱乃が一歩前に出て挨拶をしたのだった。

「初めまして、俺はソレスタルビーイング総司令官兼黒神眷属『王』の織斑一真だ。俺らの周辺もCB側の仲間、そんで隣に居るのが・・・・」

「初めまして、私達はリアス・グレモリー様の眷属悪魔です。私はリアス・グレモリー様の『女王』姫島朱乃と申します。お隣にいらっしゃる一真さんと共にご挨拶だけでもと思いまして、この場に馳せ参じさせて頂きました」

俺達は全員揃ってるが、リアス不在のグレモリー眷属の長は朱乃となる。俺はフランクに挨拶したが、朱乃は失礼のないよう優雅に振る舞った。男性は主に俺を見て驚いていたが、男性は頷いてからソファに座るように促した。

「どうぞ、お座り下さい・・・・アレ、いえ、ギャスパーについて話をしに来たのですよね?」

用件がすぐに理解できたようだけど、俺と朱乃がソファに座りアグニ達と祐斗達はその背後に並ぶよう立っていた。面影があるかもしれんが、ギャスパーよりも顔色が悪く作られた感じの顔付きで影もなく純血の父親と思える。ギャスパーをアレ呼ばわりすると言う事だが、俺や他の仲間達には嫌悪感無し。

「改めてだが俺の正体は知っての通り、創造神黒鐵と言えば理解できるかな?」

「まさかとは思いましたが、目の前にそのオーラを感じますので本物なのは確かなのですね。私はリアス様と既に話をしてまして、お互いが知っているアレの情報交換をしました。今後アレの処遇を巡ってグレモリーとヴラディでどうしたら良いか話し合いを進めていました」

「その時にここへ召喚召集されてそのまま幽閉されたのだろう。静かなクーデターが起きたにも関わらず、ツェペシュ王が退かれる事も想像しなかったらしい。幽閉後、マリウス側がギャスパーにリアスをここに連れてくるよう命じられた。ま、誤算として最強と言われたCBまで来るとは思わなかったんだろ?」

「全くその通りです。やはり神を目の前にして動揺などはしておりませんが、驚愕とも言える格好になって申し訳ない。とりあえずアレについて説明しますか」

話の内容の割に落ち着いてはいた声音のようだ、特に動揺はしていないが主に俺を見る目がな。まさかこんなとこで創造神黒鐵に出会えると思わんし、当主の口から出たアレ発言に引っ掛かりを感じてる。闇の正体に関して俺しか知らんし、表に出て来たとしても闇ギャスパーとしか情報公開されてない。

「アレ、ですか」

「アレは・・・・ギャスパーは悪魔としては機能しているのですね。リアス様からそれを聞き、正直驚きました」

「・・・・ギャスパー君のお母様はやはり・・・・」

実の父親からアレ呼ばわりする自体が、もう許されない事であり真実をギャスパーの闇から語った事で俺はもう熟知してる。まあ純血と非純血で区別しているそうで。朱乃がそう聞くとヴラディ家当主は首を縦に振る。

「ええ、既に亡くなっております。アレを産んだ直後にね」

「難産だったと?」

「・・・・いえ、ショック死です」

「そりゃそうだろうな。母親の腹から産まれたのは、とても禍々しいオーラに包まれた闇全体の代物。それを見てショック死しない方が可笑しいと俺は思う」

グレモリー眷属達は訝しげになるけど、俺の口によりそれはヴラディ家の者でしか知らない情報を知ってる事で驚いた顔をしていた。闇ギャスパーについても知ってるし、実際表に出て来た時も俺以外全員が闇のオーラが誰なのか分からず仕舞い。

当主の代わりに言った事でも理解出来ないでいるが、朱乃と白音以外のグレモリーが知っているギャスパーと俺らCB側とハイブリッドとヴラディ家当主が知っているのとは大違いなはず。

「やはりCB側は何でも知っているそうで、こちらが絞り出すように口をしたとしても」

「まあな。闇ギャスパーを覚醒させたのは俺だし、端末にある報告書によると生後まもなくヒトの形をしてない黒く(うごめ)く不気味な物体が腹から出て来た。何かが母体より生まれてヒトでもなく吸血鬼でもない化け物と言える代物が宿ってた事。それにより母親はそれを見て精神異常が発生し、そのまま死に至ったと」

「その通りでございます。死に至りその場に居合わせた産婆を含めた複数の従者達も数日の内に次々と変死しました・・・・恐らく呪殺だと思いますが、ここまでお話を受けてもCB側だけは顔色変わらずのようで」

「現状知ってるのは俺だけだが、ある程度の情報共有させてるから問題無い。俺の許可無しで表に出てこないようにしたし、皆もある程度の事は知ってるからな。でだ、無意識の内に振りまいた呪いと聞いてるが、生後数時間で闇から通常の赤ん坊へと変化した。そん時には既に母親は死別してたが」

「一真さんが話してるのは事実でしょうし、ここに来る前に闇ギャスパー君から表に出て来た事により力については知ってました。やはり貴方から聞いた通りでしたので」

吸血鬼との会談や冥界での危機後、俺らとの話し合いにて出て来た事も知ってるグレモリー眷属。表裏一体となってるが、表に出るとギャスパーの口から発する言葉は直接脳へ話しこむテレパシーみたいに聞こえる。

真の姿について本人も知ってるし、何時戻るか分からないからヴラディ家当主は刺激したくなかった。無言で頷いてたヴラディ家当主だし、事情知らん近縁者が時間停止の神器を薄気味悪がってた。

「・・・・CBとグレモリーの皆さん、我々はアレを吸血鬼としても人間としても認識出来ないのですよ。異物の存在としか識別出来ないのですが、アレをハーフ扱いと言う一応な対応はさせましたが正しかったかについては未だに分かりません」

「まあそうだよな。当時のアンタからしてみれば最良の策だったかもしれんが、正体不明のまま外部に出したとしても。だが現在悪魔となって仲間の一人となった奴であるし、後輩でもあるが例え闇に染まってようがグレモリーにとって仲間にしか思えんよ」

「・・・・ギャー君は私の大事な友人です。初めて出来た同い年のお友達です」

俺がそう言ったら、黒歌の隣にいた白音=小猫が一歩前に出てこう言った。白音も良い事を言うようになったが、あの時とは違う白音であり俺と出会う前から知っていたからな。祐斗と出会う前から知ってたけど、ヴラディ家当主はギャスパーの正体についても静かに頷くCBとグレモリー。影を操り、闇へと染まろうとも俺らの友だと。すると苦笑していた父親。

「・・・・やはり、グレモリー眷属なのですな。リアス様にも同様の事を問い、同様の事を言われました」

『人間でもなく吸血鬼でもないのならギャスパーは悪魔です。何せ、私がこの手で悪魔に転生させたのですから。正体が何であれ、紛れも無くあの子はグレモリー眷属の悪魔ですわ』

俺らと同じ考えを持つリアスらしい言葉だと思えたし、同じ『王』だとしても似たような事を言ってる気がした。グレモリーらはリアスの言葉に感銘受けてたし、この世の正体が闇だろうと悪魔となった者には手厚く歓迎されている。グレモリー家は他の家とは大違いだと改めて思ったよ。もし他の家だと神器は兎も角、闇の力について悪魔にしなかっただとしても俺が拾ってたかもよ。

「・・・・我々には理解できない感情ですが、なるほど。あの力を見た上でそう仰られるのなら、アレは少なくとも貴方方に救われたと思っていいのでしょうな」

「例え俺達は、ギャスパーの事をアレとは言わない。アンタはギャスパーの父親以前の問題で、受け入れてない時点で父親失格だ。俺がもしギャスパーの父親なら、拒否する事なく受け入れてただろう。闇の正体を知りながら可愛がるだろう」

当主との会話はこの後朱乃が主にしていたが、俺は言い切ったので喋ろうともしないまま。闇ギャスパーから語られたヴラディ家は、ギャスパーを歓迎ムードじゃない事のようで。グレモリーは正式に預ける事となるけど、ここはアイツの居場所は無いに等しい所。今の居場所はここではなく駒王学園とグレモリー眷属。会談後、俺達は地下室出たとこでメイドが会釈して報告を告げる。

「織斑一真様、塔城小猫様、ヴァレリー陛下がお呼びでございます」

「俺と小猫だと?何用だが、ボディガードを連れて行っても平気か?」

「そのような事は仰っておりませんが、CB総司令官なら平気かと存じ上げます」

俺と白音は念話で行くとの事を伝えてボディガードをオーフィス連れてく。今日は忙しい事だが、玉座の間で会ったばかりだと言うのに次はバカと会う事になって今度はヴラディ家当主との会談終了。やっと休めるかな?と思いきや今度はギャスパーの恩人からの誘いとは、人気者は辛いねぇ~。

「アグニとルシファー。悪いがしばらく仲間達を見ててやってくれ、ボディガードとしてオーフィス連れてくから」

「分かった、まあ大丈夫だろう。我と対になるドラゴンで無限の龍神なら、邪龍がいたとしても守ってくれる」

「了解よ。しばらく、グレモリー眷属の方も見ておくからこっちは任せて。あとはあのバカと会ったから疲れたわ」

「頼む、オーフィスは俺の肩上に乗ったままでいいぞ。俺のボディガードをしてくれ」

「我、一真の為に頑張る。もちろん白音も守る」

との事で俺とオーフィスと白音を引き連れて来たのは、城の上階にある室内庭園の一つと言う場所。窓のない密閉空間だけど人工的な明かりの元、色彩鮮やかな花々と穏やかに聞こえる水の音は俺らの家より小さいな。

庭園中央にテーブルが置かれ、既にリアスとギャスパーとヴァレリー・ツェペシュが席に座ってたようで。メイドに通された俺と白音は空いてる席に腰を下ろすが、オーフィスを肩上から膝に座らせながら横からオーラを感じた俺の視線を壁に背を預けるクロウ・クルワッハがいた。

「まさか、ボディガードがお前とはな。マリウスではないのか?クロウ・クルワッハ」

「今はこの御嬢さんをボディガードするのが、俺の役目だ。そっちもボディガードを無限の龍神オーフィスとは」

「それはお互い様だろ?」

「ふっ。違いない、黒鐵じゃ呼ばれるの好きじゃないだろう?何て呼べばいい」

「気軽に一真で構わんさ、俺はクロウと呼ばせてもらう。クロウ・クルワッハじゃ長いだろ?」

「じゃあそう呼ばせてもらうぞ一真。俺の事も好きに呼べばいい」

そのように喋っていたが、流石の女王様でも何を話せばいいか分からないままずっと黙っていた。リアスもだがあちらは邪龍筆頭格で最強と言われる『三日月の暗黒龍』クロウ・クルワッハ、こちらは創造神黒鐵と無限の龍神オーフィスだ。

一国の王だろうと俺らの会話してる間、割り込めない方が身の為だから。全く面倒なのばかり連れ込んでるし、邪龍と他外史から来たリリスをボディガードとは。勝つのは俺に決まってるし、会話を終えたと思われたのかカップ二つ置かれてヴァレリーが紅茶を注ぐ。

「リアス様から日本でのギャスパーの生活を訊かされて頂いたの。日本はとても平和な国だそうで、全てを創ったと言われる創造神黒鐵様で今は織斑一真様でしたわね?」

「まあそうだな。それは事実でしかないが、気軽に一真と呼んでくれ。ギャスパーの恩人で友人なら、そう呼んでくれると助かる」

「では一真さんとお呼び致しますわ、私もヴァレリーと呼んで下さい」

「ああよろしくな。それと日本は平和な国だ、美味しい料理や娯楽が沢山ある」

とまあ俺は最初からフランクな感じで会話をしていた。オーフィスは無言であるが紅茶を飲んだ後、俺に菓子と言うから空間から菓子を取り出してオーフィスに与える。それと彼女は一見可憐な女性だと見えるが、表情は笑顔に陰があり儚く痛々しい。彼女がどんな環境下で生きてきたか、察する程に分かる事。

「塔城小猫さんは美味しいお菓子を沢山知ってるでしょう?日本にはどういうのがあるのかしら?」

「えーと、私が好きなのは・・・・」

そこからは他愛もない会話であった、俺達からすれば日常的な会話だがヴァレリーからはどれも新鮮な事なのだろう。あとはこちらの会話で、ずっと興味津々のような感じで好奇な質問をしてくる。菓子について俺は作れると告げると何が作れるの?とか質問が飛んでくる。

リアスは俺の料理を食べない方がいいと言うが、まあそうだろうな。女性のプライドを粉々にする程の美味しさだし、そう言ったリアスにヴァレリーは一度でいいから食べてみたいとまで言い始めた。

「そうなの。ギャスパーが女の子の格好をするのは小さい頃に私が着せさせて遊んでいたからなのよ。最初は嫌がっていたけれど、いつの間にか自分から着るように・・・・うふふ♪」

「ヴァレリー!それは言わない約束だったでしょ!」

「なるほど、ギャスパーの女装癖はそこから始まったのか。こりゃ傑作だな!」

「先輩!皆には言わないで下さいよぉ!」

「分かっているって。あとはそうだな・・・・『闇ギャスパーよ、何時頃バラそうか』」

『俺はバロールの欠片だから、俺の事はバロールと呼んでくれ。魔神とはいえ神同士なのだから、あとは一真の許可でいつでも出れる。それに神性は無くなっているが、それを与えてくれる一真に忠誠を誓えるね』

『ならそう呼ばせてもらうが、同じ神というかお前の場合は魔神で俺は神の頂点である創造神。まだバロールについて秘密にしておきたいし、まだ闇ギャスパーのままにしておくとする』

俺は闇ギャスパーと念話してたが、表の部分も気軽に入って来れるけどヴァレリーと会話してる。気付く者はいないし、ドライグ達だけ気付いてるが俺らの会話に口を挟むなと言ってる。女装癖はここから始まった事なのか、ぬいぐるみを抱かないと寝れない癖は直ったと聞かれるギャスパー。二人の様子は和むかのような如く、ギャスパーもヴァレリーも遠慮なく会話してる。

「いいわねぇ。私も日本のケーキを食べてみたいわ、特に一真さんの手作りケーキを食べてみたい。一真さんは神様なのだから、きっとケーキにも神秘的な美味しさがあるような気がするの。私、血よりもお菓子の方が好きだわ。人間の血の方が濃いのでしょう、うふふ」

「僕は先輩の血なら飲んだ事あるよ。デイウォーカーだけど、先輩の血は紅茶よりも美味しいんだよ。神器や神様の力をカットしているから、僕は影響ないんだよ」

「あら、そうなの~。私も人間の血は飲んだ事あるけど、余り血の味は好きじゃないけどギャスパーが言うのならとっても美味しいのよね~・・・・そうよね。・・・・分かるわ。・・・・けれど、それは・・・・」

「また始まったな・・・・は・・・・そうだが・・・・それはそれで」

途中までよかったが、また亡者と話し始めたので俺の会話の輪に入る。聖杯の力によって会話してるヴァレリーと心眼持つ俺以外には見えない存在と会話してる、恐らく全員気味悪がってると思うな。今話してる亡者は、先程と同じ亡者でヒトの形や動物のような感じで鬼のような形をした奴らと楽しむ俺とヴァレリー。すると白音がオーフィスにも聞こえる風に言う。

「・・・・先輩も見えていると思いますが、ヴァレリーさんが話しかけているのは負の気が渦巻いています。先輩は心眼で見えてますが、私は見えない代わりに気配だけなら感じる事ができます」

「・・・・我も分からない、でも気配なら何となく感じる負のオーラ」

亡者だから負のマイナスパワーだと思えばいいし、白音は仙術の応用で得体の知れない気配まで感知すると黒歌が言ってた。玉座の間でも黒歌は気配だけで理解してたそうだし、仙術や幻術もマスターしたし波導を使った技の応用編をしてるらしい。俺と黒歌も嬉しい事だが、この先もっと成長しそうだしヴァレリーはふと天井を見上げて儚い表情で呟く。

「・・・・ギャスパーはお日様を見た事あるのよね」

「うんそうだよ。僕はデイウォーカーの力を持っているから、外に出た事あるけど出られたのは今年の夏になった頃かな。それもこれも先輩のお陰なんだよ~・・・・それにヴァレリーだってそうじゃないの?」

「そうなの、一真さんのお陰で。でも私は外に出た事は一度もないわ、一度でいいからお日様の下でギャスパーとお茶がしたい。ピクニックってとても楽しいものなのでしょう?」

ギャスパーの言葉で、俺の方を向けたので話した。まだ神器のコントロールが出来てない頃、結界が張ってあるのに遊びに来た事と神器と外に出れる訓練をした事を。それについてはリアスも知らなかった事だったからか、黙ったままになってた。

ギャスパーとは対照的にヴァレリーは一度も外に出た事ないからか、ギャスパーと一緒に外へ出てみたいと語る。ヴァレリーはずっと幽閉されてたから、外の空気とかも知らんのだろう。

それと聖杯の力が覚醒した事で、想像可能な拘束されてた。俺らは普通に太陽光に当たって暮らして、たまに俺は太陽光を武器に使用する。彼女にとっては非日常なのだろうな。

「だったら、俺らと一緒に行こうか?でもそれじゃ大所帯になるから、オカ研メンバーと一緒に行ったらどうなんだ」

「それはいい提案ね。まあCB側と一緒だと大所帯な旅行になってしまうから、私達と一真で日本の行楽地に行ったら面白そうだわ」

「まあ、それは素敵だわ。お日様の下で皆とピクニック、とても楽しそう」

「それに案内役はギャスパー、お前だ。お前が案内した方がヴァレリーにとって良い事だ、日本の良い所を一緒に回って楽しもうぜ」

「はい。僕が知っている場所を案内するね!女王様になって忙しいと思うけど、混乱が落ち着けばお暇が頂けると思うからその時は僕と先輩が迎えに行くよ。美味しい物や四季がとっても華やかだから」

案内役をギャスパーに譲ってやった、これに関してギャスパーが無意識にヴァレリーとデートを考えるはずだと。それに恐らく人生初ではないかと思うくらい、デートプランくらい考えるのも良い事だし。

問題はどうにかして彼女を日本に連れて行く事、今の状況は難しいしマリウスが居る時点と裏ではバカとここにいるクロウも居るからな。この先の予知は出来んが、何とかして連れて行けるだろうと思う。俺達が楽しく会話をしていると、第三者の声が介入してきた。

「何が楽しいのかな」

「マリウスお兄様。ギャスパーとリアス様方と一真さんとお話をしていたのです」

この庭園に入ってきたのは、マリウス・ツェペシュ。芝居染みた感じで作り笑いをしながらだったが、歩み寄ってくる。もう誰でも分かるかのように、悪意が満ち溢れていた。先程まで瞳が光を取り戻したのに、コイツが来たお陰でヴァレリーの瞳は元の状態となり輝きを失った。

ヴァレリーも不自然な感じの笑みであり、マリウスは俺らを見ても視線から騙されない感じで少々睨んでた。改めて挨拶してたが、どう見てもワザとらしいと思える。恐らく変な横槍を入れるかと思い、様子見でも来たと同時に先程まで笑顔だったリアス達も渋めの笑みで対応。

「これはどうも失礼します。ヴァレリーがお客様と面会されていると聞いて、顔だけでもと思いまして。もしやお邪魔でしたかな?」

「いいえ、そんな事はありませんわ。こちらこそ、先程は眷属の『騎士』がご無礼な事をしまして大変ご迷惑をおかけしました」

「いえいえ、下界の者がこの世界に飛び込めば分からない事もお有りでしょう」

ゼノヴィアの非礼を改めて謝罪するが、あれは俺が止めたからこうなった訳。まあ俺の仲間なら謝礼などしないが、リアスにとっては謝礼ぐらいしておかないといけないらしくマリウスは苦笑して肩を(すく)めてた。増々怪しさが出ているが、ギャスパーは覚悟を決めたのかマリウスに直談判した。

「ヴァレリーの兄である貴方に聞きたい事があります」

「何ですかな?ギャスパー・ヴラディ」

「ヴァレリーを解放してくれませんか?これ以上ヴァレリーが苦しむのを見たくありませんし、ヴァレリーも外に出たい事を望んでいます。これ以上ヴァレリーに何かするのであれば、即刻解放をお願いします」

そう言ってギャスパーは土下座ではないけど、立ったまま一礼する。それを見たリアスは止める事もなく、ギャスパーが言いたい事を言ってあげた。ギャスパーは俺が出会う前まで考えにくいが、出会った後に対人恐怖症や神器のコントロールと鍛錬で覚醒したバロール。

そう言われたマリウスは、しばらく考えるようにして顎に手をやる。そして考えた後、ニッコリと微笑むが俺にはその微笑みに裏があると悟った。

「分かりました。解放しましょう」

そう言ったが、ギャスパーも白音もリアスもその言葉には裏があるのではと。まあ玉座の間であれほどの事を言った後だし、怪しさはあるが今はその言葉を聞いてマリウスは続けて告げる。

「ただし、少しだけ時間を下さい。何せ政権が移り変わったばかりですから、女王に据えたヴァレリーがいきなり降りるのも体裁が悪い。しばしお時間を頂ければ、ヴァレリーを貴方方にお渡し致しましょう。ヴァレリー、日本に行ってもいいですよ。あちらでギャスパー・ヴラディと平和に暮らせばいいでしょう」

「けれど、聖杯は・・・・」

「気にする必要はありません。貴女はもう使わなくても良いのですし、充分に役目を果たしてくれましたから。聖杯から『解放』されてもいいでしょ」

聖杯についてはもう使わなくてもいいと言ったが、俺は『解放』について引っかかった。こういう悪党は、必ず神器を使用するのが後天的となる可能性が高い。コイツをマークしといた方が良さそうだけど、ギャスパーもヴァレリーも今は喜ぶべきだと思う。

ヴァレリーを手放すとは思わないが、ギャスパーもそう感じたのか表的には礼を言っていたが裏ではヴァレリー以外の者達は疑念の眼差し。不吉な感じで終わったお茶会であったが、この先に起こる事で推測が当たるのであったかは俺自身でもよく分からない状態だった。 
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