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レーヴァティン

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第四話 村で聞くことその八

「絶対に」
「そう思うか」
「ああ、それならな」
「パンシャの方がいいというんだな」
「そう思うけれどな」
「そうか」
「ああ、まあこいつの名前はパンシャでいいよな」
 久志は英雄に確認を取った。
「それで」
「鴈治郎等が駄目ならいい」
「そういうのはロバ以外に付けろよ」
「自分の子供にでもか」
「今時お子さんにそんな名前付ける親もいないだろ」
 昔の呼び名だからだ、それも江戸時代の。
「というか御前も謎のセンスしてるな」
「日本が好きだからな」
「俺も好きだが他の名前がいいだろ」
「では隆盛はどうだ」
「西郷さんかよ」
「これはどうだ」
「それだと何か格好良過ぎるな、誰に付けても」
 その対象がロバでも人間でもというのだ。
「西郷さんは偉大過ぎるだろ」
「では龍馬はどうだ」
「それも同じ位偉大過ぎるだろ、名前負けするぞ」
「名前に負けない努力をすればいい」
「そうそうそんな二人みたいなこと出来るかよ」
「では頼朝か」
「好かれる名前じゃないな」
 頼朝についてはそうなるとだ、こうした話をしながらだった。
 二人は一旦村を出た、しかし村を出て神殿に向かう道に入るとすぐにだ、今度は豚の頭をした一六〇位の背の人間の様な手足があり粗末な槍や鎧で武装している者達が出た。久志はその彼等を見て剣を抜いてすぐに言った。
「オークか」
「そうだな」
 英雄も刀を抜いて応えた。
「この連中は」
「こうした世界じゃお約束の連中か」
「敵としてはな」
「それでこの連中をだな」
「退けることだな」
「そうなるな、若し退けないと」
「この連中に俺達が命を奪われる」
 そうなるというのだ。
「まさにな」
「食われるか?」
「そこまではわからないが死ぬのは俺達だ」
「じゃあ答えは一つか」
「殺すか殺されるかだ」
 一言でだ、英雄は久志に告げた。
「いいな」
「ああ、それじゃあな」
「戦うぞ」
「昨日みたいにな」
 二人で話してだった、そのうえで。
 向かって来たオーク達に二人も向かった、そしてだった。
 十五人程いたオーク達を忽ちのうちに切り倒した、オーク達はむしろならず者達よりも弱くあっさりと倒せた。二人で六人ずつ位倒すとだ。
 残ったオーク達は血相を変えて森の中に遁走した。久志はその彼等の背中を見ながら英雄に対して問うた。 
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