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オズのアン王女

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第十一幕その六

「その林檎を卵や卵を使うお料理の前に食べれば」
「我々も卵を楽しめる」
「怖くもなくなるわ」
「恐怖心もなくなるのか」
「ええ、アレルギーを持つものへのね」
「それは凄い」
 カリフ王もグリンダのそのお話に目をきらきらとさせています。
「それならだ」
「是非、ね」
「食べたいものだ」
 こう言うのでした。
「その林檎を」
「そう言うと思ったわ、ではね」
「それではだな」
「もうすぐその林檎が出て来るから」
「ではか」
「それからまたお話させてもらうわ」
「あの」
 アンはグリンダとカリフ王のお話が一段落したところで、です。グリンダに対して怪訝なお顔で尋ねました。
「黄金の林檎は確かに栽培しているけれど」
「それでもっていうのね」
「そんな林檎栽培していないわよ」
 こうグリンダに言うのでした。
「そうしたものは」
「そうね」
「それはグリンダさんも知ってるわよね」
「勿論よ、もうすぐ突然出来るの」
「突然?」
「そう、突然変異でね」
 それでというのです。
「ある林檎の木に実るの」
「その林檎の実が」
「五色のね」
「五色というと」
 このことからです、アンはグリンダにこうも言いました。
「オズの国の」
「そう、それぞれの色が入ったね」
「そうした林檎なの」
「それが出て来るの」
「ううん、そんなこともあるのね」
 アンはドロシーのお話にです、腕を組んで考えるお顔で言いました。
「突然にって」
「オズの国ではよくあることでしょ」
「そうね、言われてみれば」
「ウーガブーの国もオズの国の中にあるから」
「だからなのね」
「そうしたことも起こるのよ」
 まさにというのです。
「この国でもね」
「不思議の国だから」
「不思議なことも起こるのよ」
「成程ね」
「ただ、その林檎は一つしかないわ」
 ノーム族の卵アレルギーを無効にしてくれる林檎はです。
「だから一つ食べたら終わりだけれど」
「林檎の芯、こちらが本当の実だけれどね」
 実は皆が食べる場所は林檎の実ではないのです、実は皆が芯と呼んで食べていないその場所こそなのです。
「その中に種があるわ」
「その種をなの」
「撒いてなの」
「増やすから」
 だからだというのです。
「それで私はこの国にお邪魔したの」
「その林檎を増やす為に」
「そうなの」
「成程、そうだったの」
「これが予言よ」 
 その全てだというのです。 
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