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オズのアン王女

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第十幕その十三

「それで下にいないのなら」
「上ですか」
「ふとドロシーとお話して気付いたから」
「見付けられたということですね」
「そうよ」
「わかりました、私も訓練が足りませんね」
「いえ、本当に見付けることが難しかったから」
 だからとです、アンは大佐に言葉を返しました。
「貴女は凄かったわ」
「そうですか」
「本当にね」
「やはり最後まで見付からないことがです」
 大佐は悔しそうに言いました。
「いいので」
「軍人としては?」
「ですからまことに残念です」
「ううん、大佐は真面目ね」
「騎士かお侍さんみたいね」
 ドロシーもその大佐を見て言いました。
「大佐は」
「そうですね、何かです」
 カルロスもそんな大佐を見てドロシー達に言いました。
「大佐ってそうした感じですよね」
「生真面目で完璧主義で礼儀正しくて」
 ナターシャは大佐のそうした気質を理解しています、よく見たうえで。
「本当に騎士かお侍さんみたいですね」
「剣術や馬術がお好きみたいですし」
 神宝は騎士やお侍のすることと大佐が好きなことが一緒であることから言います。
「その通りですね」
「物腰も」
 恵梨香は大佐の折り目正しくぴしっとした仕草を見ていました。
「そうですし」
「軍服も奇麗ですしね」
 ジョージは大佐のよくアイロンがけがされていて埃一つないそれを見ています、ブーツも実に奇麗に磨かれています。
「完璧な位に」
「軍服等の手入れは怠っていません」
 大佐はその生真面目な声でジョージ達に答えました。
「毎朝自分でアイロンをかけて磨いて埃を落としています」
「うわ、凄いですね」
「ご自身でされてるんですか」
「アイロンがけも靴磨きも」
「全部ですか」
「それも毎朝」
「身だしなみがよくなくては」
 また五人に言った大佐でした。
「軍人として示しがつきません」
「本当に騎士かお侍みたいね」
 アンはそんな大佐のお言葉を聞いて微笑んで言いました。
「けれどそうした感じもいいですね」
「そうですか」
「それも大佐の個性だから」
「だからですか」
「いいと思うわ、ではね」
 ここまでお話してでした、アンは大佐も含めて皆で遊び続けました。この日はこうして皆で遊んででした。そのうえで。
 明日のグリンダの訪問のことをです、カリフ王達と夜のお風呂の後でお話しました。
「さて、グリンダさんが来られたら」
「うむ、皆でな」
 カリフ王が笑顔で応えました。
「おもてなしをしよう」
「カリフ王もお客さんだから」
「余もか」
「おもてなしを受けて」
 そうして欲しいというのです。
「貴方もこのままね」
「そうか、ではな」
「その様にね」
「さて、明日も楽しみですね」
「はいーー全くーーです」
 大尉とチクタクも言います。
「グリンダさんとお会いするのは久し振りです」
「お話したいーーですーーね」
「ええ、おもてなしの用意は出来たから」
 この日のうちにです、ドロシーはこのことをお話しました。
「明日もね」
「楽しみましょう」
「グリンダも入れてね」
 ドロシーはにこやかに笑ってアンに応えました、そして皆でこの日も笑顔でベッドに入ってぐっすりと眠りました。 
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