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レーヴァティン

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第三話 生きるか死ぬかその三

「そんな病気が流行るとだ」
「人がどれだけ死ぬかわからないな」
「そして社会も崩壊する」
「ペストで欧州実際そうなったな」
「そういうことにならない為にだ」
「死体は森の中か」
「獣や鳥や生きものの餌にする」
 実に具体的な言葉だった。
「骨は適当にのざらしになるだろうな」
「骨は問題ないか」
「問題は肉だ」
 腐るそちらだというのだ。
「肉を食ってもらう、いいな」
「そうするか」
 久志は英雄の言葉に頷いた、そしてだった。
 二人で協力してならず者達の骸を森の中に放り込んだ。骸はその両手と両足をそれぞれ持ってそうした。その作業が終わってからだ。
 二人は旅を再開した、再び道中を歩くが。
 ここでだ、久志は英雄にこんなことを言った。
「さっきの戦いだけれどな」
「あの時のことか」
「俺達一気に五人ずつ倒したしな」
「そして剣も刀も刃こぼれ一つしなかった」
「それも言おうとしたんだがな」
「言いたいことはわかる」
 戦いについてのそれはというのだ。
「それ位のことはな」
「ちぇっ、そこまで言わせろよ」
「気を悪くしたか」
「少しな、しかし今忘れたぜ」
 笑って言葉を返した。
「それはな」
「そうか」
「ああ、とにかくそんなことが出来たなんてな」
「俺達の剣術ではだな」
「そこまで出来るか?刃こぼれ一つしないレベルで五人斬るとか」
「武器は相当な技量がないと刃こぼれをしてだ」
「しかも血糊も付くしな」 
 久志はこのことも話した。
「並の武器じゃな」
「相当な技量がないとだ」
 英雄はまたこのことを指摘した。
「出来ない」
「ってことはな」
「俺達にそれだけの技量がある」
「絶対にないぜ、そんなの」
 久志は言い切った。
「御前はともかく俺にはな」
「それは俺の言葉だ」
「俺にはあるのか」
「俺にはない、しかしとにかく俺達の剣技がここでは相当なものになっている」
「このことは事実だな」
「どうやらな」
「ひょっとしてな」
 久志は考える顔になって英雄に話した。
「俺達の能力高まってるのか?」
「おそらくはな」
「そうか、やっぱりな」
「さもないと例えチンケなならず者相手でもだ」
「一気に五人倒せないよな」
「しかも刀剣に刃こぼれ一つさせなかった」
「それを考えたらな」
「能力上がってるな」
 考える顔のままでだ、久志はまた言った。 
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