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オズのアン王女

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第九幕その十二

「是非共」
「それじゃあ」
「その時を楽しみにしている」
「さて、皆もう全部食べたわね」
 アンがこう言った時にはです、もうお刺身も天麩羅もお味噌汁もなくなっていました。サラダと御飯もです。
「ではデザートにしましょう」
「果物ですね」
「そうよ」
 言いながらです、アンはその手に好物の林檎を手に取りました。
「食べましょう」
「わかりました」
「皆好きな果物を食べてね」
「ふむ、では余もだ」
 カリフ王もでした。
「無花果にするか」
「それなのね」
「うむ、最初はな」
 実際に無花果を手に取って言うのでした。
「それにしよう」
「無花果もいいのよね」
「アン王女は果物は全て好きだな」
「お野菜もね、それでね」
「その中でもだな」
「特に林檎が好きなの」
 何といってもというのです。
「やっぱりね」
「そうだな」
「だから毎食後食べてるのよ」
 そこまで好きだというのです。
「本当にね」
「林檎を食べねば終わらない」
「そうした感じよ」
 アンの場合はというのです。
「それで林檎の中でもね」
「特に好きな種類はか」
「黄金の林檎よ」
 それになるというのです。
「あれが一番美味しいから」
「しかも一個食べると元気が出てな」
「もう仕方なくなるから」 
 そこまで凄いからだというのです。
「一番好きよ」
「前にも言っていたな」
「ええ、ただあまりね」
「食べないな」
「うちの特産品だけれど」
 それでもというのです。
「何しろ数が少ないから」
「だからだね」
「ええ、そうなの」
「成程な」
「滅多にないものだから」
「それだけに価値もある」
「そうでもあるのよ」
 黄金の林檎はというのです。
「オズの国でも実るのはね」
「この国だけでか」
「この国でも稀少なものよ」
「わかった、そのこともな」
「そしてこの国では国賓の人達にはね」
 にこりと笑ってです、アンはカリフ王にこうも言いました。 
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