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決して折れない絆の悪魔

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嵐の予感

今日も今日とて授業に励むために登校して来た一夏とミカ、そしてセシリアも一緒にいた。代表決定戦後から考え方を改め直したセシリアは自分も出来る事からしたいと考え未来院の活動支援を行うようになった、そのため詳しい話を聞く為によく二人に話を聞いたりしている。そんなセシリアの変わりようにミカもある程度認めたのか、セシリアに対して嫌な顔はしなくなった。

「しかし院長さんは凄いですのね、お話を聞くだけでも素晴らしい人格者ですわ」
「院長はマジで凄い人だからな、じゃなきゃ見ず知らずの子供を自分の子供なんかにしないさ」
「ですわね」

詳しく未来院の話を聞く度に彼女は感嘆の息を漏らすと同時にどれだけ女尊男卑という風潮が愚かな事だったのか思い知らされる。恐らくISが存在する限り女尊男卑は無くならないだろう、そしてその煽りを罪のない子供が受ける……ひどい話だ。

「わたくし、もっと勉強しますわ!そして……私は国家代表となってそこから国を変えますわ!」
「いいんじゃない、良いと思うよ」
「クククッまあまずは今学期を首席突破しなきゃね」
「ええ、やってみせますわ」

以前と違って彼女には覇気があった、女尊男卑の闇を覗いた彼女はやらなければならないという思いに駆られた。未来 久世はその手で子供を引き取り未来を見せるという素晴らしい活動をしている、自分に出来る事を精一杯やっている、ならば自分だって自分に出来る事を最大限にやろうと。そしてセシリアが行きついたのは、国家代表となりそこから国を変えるという事だった。

「おっ~セッシーなんかカッコいい~」
「セ、セッシーですか……?」
「うんセシリアだからセッシ-」
「ま、まあ少し可愛らしいですし構いませんが……それより何かご用ですか本音さん」

高らかに宣言すると近寄って来た一人の女子生徒、1組のマスコット担当とも言われている布仏 本音であった。ほんわかとして雰囲気をもっているからか、周りからはのほほんさんと呼ばれている。

「なんだかセッシーがカッコいい事言ってるから来てみたの~」
「そうでしたの」
「よぉのほほんさん」
「おはよう」
「おっは~イッチ~にミッ「「「それだけはやめろ」」」」は~い、じゃあミラミラで良い?」
「いいよそれで」


「ねえねえ聞いた?転校生が来るんだって~」
「転校生、この時期にですか?」
「時期が何」
「学期の節目なら解るのですが、この時期の転入は非常に難しく代表候補生でもないと転入など出来ません」
「って事は……」

入って来るのは代表候補生という事になる、それもそれなりに優秀な人間が来ることになる。それで先程から妙に織斑にハイテンションで話しかけている女子がいるのはそういう事か、女子というのは手に入れた情報を妙に周りに公開したがるものだ。その話を聞いて一夏は意地悪そうな笑みを浮かべてセシリアの方を見た。

「主席を取るのが難しくなったかもな」
「ふふふそうですわね、しかし私は負けませんわ。今の私は慢心を捨てたのですから」

凛々しく構えて腰に手を当てて答える、確かに今の彼女なら並大抵の困難ではへこたれないだろう。そんなセシリアにのほほんさんも拍手を送り一夏もそれに同調する、ミカは貴族というのはポーズを取らないといけないのかと間違った理解をしてしまった。

「―――その情報古いよ」

ミカがそんな理解をした時、声が1組内に響く。声の元を辿ると教室の後方の入り口で一人の少女が仁王立ちしていた、小柄で茶髪の長い髪のツインテール、元気な印象を受ける少女、彼女が先程の声を発した。

「2組も専用機を持った私、鳳 鈴音がいるんだから。そう簡単に優勝を譲る気は無いから、クラス代表戦は二組がいただくわ」
「鈴…?お前、あの鈴か?」
「中国国家代表候補生、凰 鈴音。宣戦布告に参上したわ、久しぶりね百春」

鈴と名乗る少女はどうやら百春の関係者らしい。

「本当に久しぶり……っていうか似合わないよそのカッコ付け、まさかカッコいいと思ってやってる?」
「否別にそんなつもりでやったんじゃないんだけど……っというか昔なじみのアンタがいるっていうから挨拶に来て何でこんな事言われなきゃいけないのよ!?出オチして滑った芸人みたいになってんじゃないのよ!!」
「まあ昔から芸人だったからいいじゃん」
「何処がよ!?私のどこら辺に芸人要素あったのよ!?」
「全体的に」
「抽象的すぎるわよ!!」

いきなり名乗ったかと思ったら始まったのは漫才のような言葉のキャッチボール、周囲の女子達は状況を飲み込めずに顔を見つめ合わせている。

「ったくなんでこうまで言われなきゃいけないのよ」
「否だって……」
「もういいわ、私もう教室戻るわ」

怒り疲れたのか鈴はそのままひらひらと手を振って去ろうとするが百春はそれを止めた、鈴はなんで止めるのよと言うが一夏という名を聞いた時驚いたような顔をする。

「ア、アンタ何言ってんのよ……?だ、だって一夏は……」
「だってホラッ!!」

百春は一夏の方を指さした、鈴はその方向を見ると一瞬目を見開くが直ぐに目をパチクリさせながらゆっくりと一夏へと近づいていく。

「ほら鈴なら解るだろ!?一夏兄だって!!?」
「……ハァ」

昔なじみで自分と同じように一夏と過ごした鈴ならきっと理解してくれる、解ってくれる。そして未来 一夏は織斑 一夏だと言ってくれると信じていた。だって鈴は一夏を慕っていた、きっと……と信じていたのに鈴の口から洩れたのはまるで心底呆れたような溜息だった。

「アンタねぇ……他人を自分の兄貴と見間違えるって失礼なんじゃないの?一夏は一夏でも、未来 一夏じゃないの……ミカ、久しぶりね、デーツある?」
「あるよ、ほら」

アリガトとデーツを受け取って口へと運ぶ鈴を百春は信じられない物でも見るかのような表情で見つめる。

「確かに私も驚いたわよ、一夏だ~って。でも全く別人よ、こいつは未来院の未来院長の息子さんの一夏よ」
「えっ……そんな……鈴、までそんなことを……?」
「はぁ……あんたの兄貴好きもここまで行くと尊敬するわね。悪いわね、一夏、私のダチが迷惑かけて」
「気にしてねえよ、未来院侮辱されるよりマシだ」

気にしていないという言葉の後のそれに鈴は顔を青くしながらまさかと言いたげな表情をした。正に血の気が引いているような顔に百春は心配そうに駆け寄る、大丈夫かと声を掛けるが次第に鈴は身体を震わせ怒鳴り声をあげて百春に掴み掛った。

「アンタねぇぇ自分が一体何言ったのか理解してんの!!?」
「えっなんで怒ってるの!?何か悪いことしたのか俺!?」
「したに決まってるでしょ!!?ああもうなんでそんなに馬鹿でデリカシーの欠片も無いのよ!!信じられない!!」

鬼気迫った表情で胸元を掴んだまま壁へと押し当てつつ怒鳴り声をあげてくる鈴に百春は混乱していた、何故自分がここまで怒られなければならないのか、何故彼女が此処まで怒るのかが解らなかった。そしてなぜあれが自分の兄だと解らないのかという理不尽な怒りが沸いて来た。

「そっちこそ何で解らないんだよ!!一夏兄なんだよあいつは、俺の兄貴の一夏兄なんだよ!!!」
「だから違うって言ってるでしょうがよ!!それに話をすり替えようとしてんじゃないわよ、アタシはなんでそんな事を言ったのかって言ってるのよ!!!」
「なんだよ、言っちゃいけないのかよ!!!」
「当たり前でしょう!!!あそこがどんな場所かも知らないからそんなことが言えんのよ!!!!」

鈴は百春を壁へと突き飛ばした、そしてミカ達の元へと近寄り頭を下げた。

「ごめん、あんな奴だったなんて……アタシが蹴り、付けるから」
「期待しとくよ」
「んじゃ任せた」
「ええ任せて……百春」

鈴はキッと怒りの瞳で百春を睨み付ける、その鋭さに百春は怯んでしまう。

「アタシは許さないから。未来院を、ダチの家を家族を馬鹿にするなんてアンタだろうと絶対に許さないから!!」

そういうと乱暴に扉を開けて1組から去って行った、まるで嵐のようだった。鈴が去った後はシーンとした空間が広がりセシリアも思わずポカンとしてしまった、だが鈴が未来院について詳しく知っていてミカ達と友好的な関係であることは理解出来た。

「また、荒れそうですわね……」 
 

 
後書き
次回予告

鈴「百春の奴……知らなかったじゃすまないのよ、無知は罪なのよ。

あいつ昔っから流行とかに興味なかったのは知ってるけど此処までだったとは……。

ええええっもう言ったの?!言っちゃってたの!?

あいつニュースとか一切見ない人間なの!?

次回、決して折れない絆の悪魔、第14話

怒りのツインテール

歯食いしばりなさい、今からラッシュしてあげるから」 
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