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レーヴァティン

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第二話 異世界その十一

 二人共気配を察した、それでだった。 
 すぐにこれまでいた場所からそれぞれ前に跳んだ、するとそれまでいた場所に左右から次々と矢が来た。
 矢は土の道に刺さっていた、二人はその矢を見てすぐに察した。
「盗賊だよな」
「間違いない」
「本当にお約束が来たな」
「予想通りだ」
「おい、あれをかわすなんてな」
「手前等何者だ?」 
 矢が来た左右の道からだ、如何にもといった感じの男達が出手来た。どの者も粗末な革の鎧と服を着けており手には刀や弓矢がある。どの者も非常に人相が悪い。
 その者達がだ、二人に言ってきた。
「ぶっ殺して持ってるものだけもらおうと思ったらな」
「まさか矢を避けるなんてな」
「手前等本当に何者だよ」
「見たところぱっとしねえ若造二人だがよ」
「別の世界から来たってだけ言っておくな」
 久志が答えた。
「とりあえずな」
「はあ?何だよそれ」
「他の世界から来たっていうのかよ」
「他の世界っていうと東の島か?」
「そっちから来たのか?」
「違うけれどそう思ってくれるならいいさ」
 久志は相手がならず者達と見て話すまでもないと思ってこう返した。
「それならな」
「何か本当に訳わからないな」
「おかしな奴だな」
「まあ俺達はものさえもらえればそれでいいけれどな」
「それだけでな」
「その為にはいきなりぶっ殺すのかよ」
 矢を放ってきたことをだ、久志はならず者達に言った。
「随分と手荒だな」
「殺した方が色々と手間がかからないからな」
「楽にものを取れるからな」 
 だからだというのだ。
「俺達はいつもこうしてるんだよ」
「これが俺達の流儀さ」
「ものは持ち主を殺してから手に入れる」
「それが俺達なんだよ」
「とんでもねえ奴等だな」
 彼等の発言を聞いてだ、久志は呆れそして怒りを感じて言った。
「こりゃ話し合いは無駄だな」
「あの矢はまともな狙いではなかった」
 英雄はこう言った。
「そして武器もだ」
「?そういえばこの連中」
 久志もならず者達を見てすぐにわかった。
「なまくら刀で矢も丸いな」
「そうだな」
「こりゃ大したことないな」
「その辺りの旅人をいきなり襲うならともかくだ」
「まともな剣術やってたらな」
「どいということはない」
「そうだな、じゃあな」
「一人五人だ」
 英雄は素っ気なくだ、ここでも言った。
「殺すぞ」
「おい、殺すのかよ」
「この連中は俺達を殺そうとした」
 英雄は久志にこの事実を告げた。
「なまくらな弓矢でもな」
「そして今もか」
「殺そうとしている、それならだ」
「殺すしかないっていうのか」
「そうだ、殺されたいか」
「そんな筈ないだろ」 
 これが久志の返事だった。 
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