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お留守番

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第一章

                 お留守番
 いきなりだ、中村太介は近所にいる親戚の家に呼ばれた。休日で暇なのでほいほいと言ったのがだ家に入るとだ。
 そこの主と奥さんにだ、こう言われた。
「ちょっとうちで留守番してくれるか?」
「お家にあるの自由に食べていいから」
 こう言うのだった。
「ちょっと急用が出来てだ」
「家を開けないといけないの」
「とかく最近泥棒とか多くて」
「用心しないといけないからね」
「そっちの親にはもう話して了承得てるぞ」
「兄さん達にはね」
 実はこの家の主婦であり母の彩が太介の父の妹なのだ、そうした縁である。
「じゃあ宜しくな」
「夜には帰るから」
「いや、いきなりどんどん言われるけれど」
 太介は家の玄関でもう出発の用意を整えている二人に言った、近所の中学校に通っていて少し茶色がかった黒髪を少し伸ばし後ろを束ねている。目は大きく眉は細い。唇は小さく鼻の高さは普通だ。背は一六七で部活は美術部だ。細めの体格だ。
「茉莉花ちゃんいるんじゃ」
「茉莉花はまだ小学生だぞ」
「四年生よ」
 二人はまた太介に言ってきた。
「女の子一人で留守番とかさせられるか」
「何があるかわからないでしょ」
「だから御前を呼んだんだぞ」
「その辺りの事情は察して欲しいわね」
「ああ、そういうことなんだ」
 太介もここで事情を察した。
「それで僕を呼んだんだ」
「本当に冷蔵庫にあるものなら何でも食っていいぞ」
「買い置きのインスタントラーメンもお菓子もね」
「ゲームもしていいからな」
「パソコンも使っていいわよ」 
 つまり自分の家にいる様にしていいというのだ。
「じゃあな」
「お留守番お願いね」
「茉莉花と一緒にな」
「楽しく過ごしてね」
 こう言ってだ、二人はさっさと家を出た。そして残された太介は家に上がったが。その彼のところに彩によく似た黒髪で大きな目を持った小柄な女の子が出て来た。服はピンクのブラウスと膝までの白いスカート、スカートと同じ色の靴下というものだ。
 その少女がだ、太介を見て少しきょとんとした顔で聞いてきた。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「いや、留守番しろって言われて」
 太介はその少女茉莉花に返した。
「それで来たんだ」
「お留守番って私いるのに」
「だから茉莉花ちゃんだけじゃ危ないっていうから」
「私だけだと?」
「世の中実際に危ないしな」
 太介は腕を組んで少し俯いて述べた。
「考えてみれば道理か」
「ふうん、それでなの」
「僕も呼ばれたんだよ」
「事情はわかったけれど」
 茉莉花はここで普通の顔に戻って太介にこう言った。
「お部屋入らないでね」
「茉莉花ちゃんのお部屋には」
「それはお願いね」
「ああ、入らないよ」
 太介もこのことは了承した。
「そうした趣味ないから」
「だといいけれど」
「女の子の部屋に何があるんだよ」
「秘密があるのよ」
 その女の子の言葉だ。 
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