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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  銀白VSレベル5


「黒子さん!美琴さんが!!」

「わかってましてよ・・・でも・・・・」


そう言って、キャロを抱えながらビルの屋上をテレポートで飛び越えていく黒子。
今の彼女らがあそこに行くことは自殺行為に近い。

それに、あそこに美琴が残ったのは明らかに時間稼ぎだ。
もちろん負ける気などないのだろうが、もし三人で逃げた場合蒔風は即座に十九学区のほうへと到達してしまうだろう。

そうなっては意味がない。


だからこそ、黒子は戻らずに皆を逃がすことに決めた。



(お姉様、どうか御無事で・・・・・!!!)




自らの慕う「お姉様」の無事を祈って。





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美琴のレールガンが放たれ、それを蒔風が避ける。
レールガンは速度と威力こそ半端ではないが、一度放たれればその方向は固定される。

ゆえに、避けることはそう難しいことではない。


問題は



(俺の体がこいつを倒すまで持つかだ・・・・しかもこれ・・・・っ!!)



ドジュウ!!という音を立てて蒔風の横をレールガンが通過していく。
蒔風の体は万全ではない。ゆえに回避行動も最小限に取り、負担を減らしているのだが、そうすると今度は余波と熱が彼を襲う。

それ自体は大した威力はない。
しかしこうも立て続けに打たれるとダメージは蓄積し、今の体にはそれすらも堪える。


だから、短期決戦。
一瞬のうちにこの間合いを詰め、反撃を許さぬ最速の一撃で美琴を叩くしかない。



そう思い、蒔風はまず最初に距離を取った。
その距離、五十メートル。レールガンの射程距離だ。

しかし、美琴はレベル5の第三位。
その地位にいる理由は威力もさながら、その能力の多様性にある。


「そんなんで・・・・」

「チッ、やはりかよ・・・・」

「逃げ切れると思ってんの!!」


ズシャァ、と砕けたコンクリートの下の地面から黒い砂――砂鉄がかき集められ、それが剣か鞭のように美琴の手に振動音を鳴らして現れた。
そしてそれを振るい、蒔風に襲い掛かってくる。


それに対し、蒔風はやはり回避ばかりを取るしかない。
周囲のコンクリートが抉り削られ、それが粉になってさらに砂鉄を生み出していく。



(まずい・・・これはすぐに・・・・・思い出せ・・・思い出せ蒔風舜!!決して御坂も万能無敵ではない。絶対に追い詰められたことがある・・・・記憶をたどれ。思い出せ思い出せ思い出せ・・・・・・)




「あったぜ・・・・お前の弱点ッ!!!」



そう言って、必死になって頭を回していた蒔風が一つの考えにたどり着き、それを実行し始めた。


美琴の砂鉄ブレードの隙間を縫って走り出す蒔風。
もちろん、その走りは疾走感あふれるものではなく地面を転がった無様なものだが、そんなことを気になどしていられない。


そうして美琴との距離を詰めた蒔風が、勢いあまってコケて地面に倒れる。
が、もう距離は十分だ。

彼女がブレードを振るってくるが、それよりも早く蒔風が地面に触れて力を発動させる。


「土惺粉塵!!!」


ドォン!!!



その瞬間、粉のように細かくされた土が周囲を覆った。
それを見て美琴は目くらましかと思い、そのまま攻撃をしようとするが、さらなる異変に気付く。


周囲を壁で囲まれているのだ。
それは畳返しのレベルではない。おそらくはさっきの粉塵のタイミングで土惺の力で作った壁だろう。



そうして、美琴は気づいた。今この状況の不味さを。



「粉塵に満ちたこのフィールド。ここでおまえの力を使えば・・・・クク、どうなるかわかるな?」

「・・・粉塵爆発・・・・・・・!!!!」




そう、蒔風はこれをして美琴の能力を封じにかかった。

美琴の能力はエレクトロマスターと呼ばれるように、言わずもがな電気だ。
そしてそれは火花とは切っても切れない力でもある。

電撃を放っても、下手をすれば磁力を使っても、何をしてもこの空間では爆発につながるかもしれない。


(周囲に落ちた鉄骨や廃材をかき集めてドームを作るか?いや・・・それよりも早く爆発が襲いかかるし、そんな全方位を守るようなものはとっさには作れない・・・そもそも、それがきっかけで爆発したら元も子もないし・・・・これ、私の能力全部・・・・ッ!!!)



ゴッ!!!!



その中で、蒔風が拳を振るって美琴に殴りかかった。
そしてその首をつかんで締め落そうとしてきた。

もしここに風が吹けば粉塵を吹き飛ばして打開できるだろう。


しかし、周囲は壁に囲まれているし、もともとここは廃ビルに囲まれた場所だ。唯一開いている真上からの風など、望めるわけもなく。



美琴の体が消えゆくのに、そう時間はかからなかった。







------------------------------------------------------------




「何とか・・・やれたか」


蒔風が肩で息をしながら、美琴のカードを手に膝をつく。


今度こそ限界だ。もう戦えるだけの体力はない。
体力、体調的に見て使える能力はあと一つといったところか。


そんな状態ではとてもではないが上条たちのいる場所には行けない。


今はとりあえず体を休めなければなるまい。


そう思って蒔風が踵を返してその場から去ろうとする。




しかし、直後にその足が止まる。



なぜか



それは―――――





「今ここで何をしていたのですか、とミサカはあなたに問いかけます」

「・・・・・・妹達(シスターズ)・・・・!!!」




そこにいたのは、御坂美琴そっくり・・・いや、そのものと言っていい存在「妹達(シスターズ)」だった。路地からこちらに出てきて、その手にはゴム弾を装填したマシンガンが握られている。


詳しい説明は省くが、彼女らはある計画によって作られた御坂美琴のクローンだ。「達」というからにはそれなりの数がおり、学園都市には全部で六人いる。
持つ力こそ彼女に及ばずレベル2~3程度だが、その力は当然一般人のそれを凌駕している。



無感情な瞳が、蒔風を見つめる。
自分たちの存在を少なからず知っているということに彼女は驚いたようだが、特別それを表に出すこともなく蒔風になおも銃口を向け続けた。


「お前らにかかわると面倒な奴が出てくるから早めに済ませたかったのに・・・・・!!!!」

「さっきまでここで感じていたお姉様特有の電磁波が二秒前に途絶しました。と、ミサカは自分の感じたことを素直に言いながらあなたに更に質問をします」


(不味いまずいマズイ!!今のオレじゃあこいつ「ら」どころかこいつ一体にも負ける勢いだってのに・・・・)


「今ここであったことの説明を求めると共にその手に持っているカードを見せてもらえませんか?と、ミサカはあなたに近づきます」


(しかもなによりまずいのは・・・・ここでこいつに手を出したらもっと厄介な奴が来るってことだ・・・・それだけは絶対に防がな・・・・)


「返答がないので実力を行使します、とミサカは目標に向かって攻撃を開始します」



パパパン!!!




エアガンのような音が連射され、ガスの噴出で蒔風にゴム弾が飛んできた。
それを避けながらも、背中を向けて逃げようとする蒔風だが、膝、続いて肩に命中し、うつ伏せに倒れてしまった。

ゴム弾とはいえ、かなり痛い。


その蒔風に彼女が近づいてきて、落ちてしまった美琴のカードに手を伸ばして取ろうとする。



「ッ!!らぁッ!!!」



その瞬間、蒔風が撥ねるよう動いた。
うつ伏せから転がって仰向けになり、その回転で足を振りあげて妹達(シスターズ)の銃器を破壊する。


そしてその場のカードを手にとって、走り出した。



(一旦引くしかねぇ・・・・この街で一晩あたりか過ごさないと、戦うにしても街から抜けるにしても不可能だ!!!くっそ・・・もっと速く動け横の足・・・・・・・ッッ!?)




が、その思うように動かない足はすぐに止まった。




妹達(シスターズ)の攻撃か? いいや、違う

体力に限界が来たか? それも違う

ならば諦めたのか? 断じてない




蒔風が足を止めたのは、目の前に現れた妙に白い人間が原因だ。



服は何かというとグレーに近い。
何やらメカニカルな杖をついて、こっちに歩いてきたとの男は・・・・・・!!!



「よォお。なァにやッてンだ?テメェ」


「ア・・・・一方通行(アクセラレータ)・・・・・」

「ッたく、あのチビが大変な事かもッて言うから来てみりャァよ、こいつは楽しいお客さンが愉快なことしてンじゃねェか」



カラン、と



学園都市最強の第一位/一方通行(アクセラレータ)が、細い路地からこちらに出てきた。


彼が見ているのは、たった今、少女に蹴りを入れた青年と、それを追おうとして手に怪我を負った少女。
そして手には、美琴の姿が映っているカード。


「ンだァ?超電磁砲(レールガン)のファンにでもなッたのかよ?」


そう言って蒔風を茶化す彼だが、その目は一切笑っていない。
その一方で蒔風も焦っていた。


(この状況・・・ダメだダメだ・・・・戦えない・・・今の状態じゃ戦えない!!だから早めに済ませたかったんだ!!こんなの来たら・・・・)



一方通行(アクセラレータ)は紆余曲折あって妹達(シスターズ)を守る事を心に決めている。

そして、蒔風はそれを傷つけた男だ。
その時点ですでに攻撃対象だ。

そこで、ミサカが一言、彼に告げた。



「その男が持っているカードに、お姉様(オリジナル)がとらわれています」


この男は御坂美琴を消した。
それが一体どういうことなのはか全くわからないが、あのカードに変えたらしい。

そして、彼女を狙う奴が妹達(シスターズ)を見逃すはずがない。


一方通行(アクセラレータ)の思考は回る。
第3位のことは別にいい。知らなかったらしいが、あの女も「あの実験」の加担者といえば加担者だ。あれに関しては守ろうとは思っていない。



しかし


「テメェ・・・ほかにもそォやッて消してンのか?」

「・・・らしくねェぞ、一方通行(アクセラレータ)・・・今さら慈善事業かよ?」

「・・・・・」




彼はかつて学園都市の深い部分にいた。
その闇の世界で、様々なことをやってきた。

だが彼はその半面、「光」や「表舞台」に属する人間がそう言った「闇」に利用されるのを良しとしない。



だからこそ、この男に彼は挑まなければならないのだ。
いや・・・・逆だ。


蒔風はこの男に挑まれてしまった。





もちろん、この男は蒔風が「EARTH」のメンバーを消して回っている事など知らない。
ただ、ほかにもこうして狙われているとしたら妹達(シスターズ)の狙われるかもしれない。ほかにも狙われているかもしれない。


ただ、それだけだ。
彼はそれだけで十分だった。



「おいそこのォ。ここはあぶねェから消えろ」

「・・・・・わかりました。とミサカは踵を返してこの場を立ち去ります」



一方通行(アクセラレータ)の言葉に、ミサカが元来た道を戻って行った。
そうして、二人が向き合う。



「テメェには一度借りがあッたよなァ?」

「・・・忘れたね。俺は休みたいんだ」

「つゥれないねェ!まァいい・・・はなからテメェの都合なンざ知ッたこッちゃないンだわ」


そう言って、首のチョーカーにあるスイッチを入れ、彼は学園都市最強の超能力者へと変貌する。


「テメェが消したッつゥ奴ら、全部出してもらおォか」

「・・・ハッ・・・前にダッサイかっこさらして負けた奴が何言ってんだ。神様や天使にでもなったか?」

「・・・・・いいからよォ・・・黙ってそれを・・・寄越せッつッてンだよこの三下がァ!!!!」





ドォっ!!!




蒔風に向かって、一方通行(アクセラレータ)が突っ込んできた。
ぐらりと揺れながら、蒔風が辛そうな顔をする。


(使える力は一つだけ・・・・こいつに勝つ必要なんざない・・・・必要なのは・・・・・!!!!)




そうして、蒔風が力を発動させた。





彼がすべきなのは、なによりもこの場からの撤退である。






to be continued

 
 

 
後書き


美琴「だぁーーー!!やられた!!爆弾ルームとか自殺する気!?」


おつかれですたー


美「はいはいですたー。で、第一位出しちゃったけど・・・・」


ええそうですね


しかしそれよりも一方通行(アクセラレータ)の言葉変換がめんどくさい!!!
「ぁぃぅぇぉ」と「ん」をカタカナ・・・・間違えてないかなぁ・・・・


美「大丈夫なんじゃない?」


彼の登場は少し強引だったかな?と思います。
そしてここからがなやみどころ。


本編のいつぐらいの彼にしようか・・・・・


美琴「一章は確か原作十六巻直後だったわよね?」


はい。
しかしその後上条さんはイギリスに行き、ロシアに行き、海に沈んでから「新約」で帰ってきました。


そう考えると時系列的には原作よりももっと先の時点になってる・・・・!?


美「もうそういうの考えないで普通に「彼ら、彼女がいます」でいいんじゃない?」


それでいっか(おい



美「次回!!第一位との戦い・・・・・」

は一瞬で終了!!だって逃げるから!!ランナウェイ!!!


ではまた次回!!!!








リスト残り






キョン
朝比奈みくる
長門有希
古泉一樹
べナウィ
泉戸裕理
泉戸ましろ
上条当麻
インデックス
クラウド・ストライフ
古手梨花
古手羽入
国崎往人
神尾美鈴
小野寺ユウスケ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
直枝理樹
井ノ原真人
宮沢謙吾
乾巧
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
ランサー
ギルガメッシュ
剣崎一真
皐月駆
水奈瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
百野栞
左翔太郎
高町なのは
フェイト・T・ハラオウン
アリシア・テスタロッサ
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ
キャロ・ル・ルシエ


 
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