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オズのアン王女

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第四幕その三

「食べるわ」
「柿もーー美味しいーーのですね」
「凄くね」
「甘いのーーですか」
「甘いわ、渋みもあってね」
「渋み?」
「そうした味覚もあるの」
 何も食べないので味覚を知らないチクタクへの言葉です。
「甘い、辛い、酸っぱい、苦い、塩味にね」
「渋いもですか」
「あるの、そして柿はね」
「渋みーーですか」
「あるの」
 そうだというのです。
「だから独特の味なの」
「他の果物ーーとーー違って」
「林檎は酸っぱさがあるの」
 甘さに加えてです。
「葡萄もね、林檎とはまた違った酸っぱさがあって」
「葡萄のーー酸っぱさーーですか」
「そうなの、ネーブルにもあるわ」
「ではバナナや枇杷は」
「こちらは甘さが強くて酸っぱさはないわ」
 バナナや枇杷はというのです。
「特にバナナはね」
「そちらはーーですか」
「食感も柔らかくてね」
「そしてーー柿はーー渋い」
「その味覚があるのよ」
「酸っぱいのーーではーーなく」
「そうなの、そしてこれがね」
 柿がというのです。
「これがまた美味しいのよね」
「柿をーー召し上がられる時ーーも楽しみですね」
「まさにね、どんどん食べていくわ」
「では」
 実際にです、アンは果物をどんどん食べてでした、そして牛乳も飲みます。その柿を食べてそれでこんなことも言いました。
「柿は日本のものなのよね」
「日本の果物ーーですか」
「元々はね」
「そうーーですか」
「いや、日本はいい国よ」
 柿を食べつつにこにことしています、他の果物を食べている時と同じく。
「こんな果物もあるなんてね」
「恵梨香さんのーーお国ですね」
「あっ、そうね」
 チクタクの言葉にです、アンも気付いたお顔になって頷きました。
「あの娘日本人だったらね」
「まさにーーですね」
「ええ、柿の国の娘」
「ではーーあの娘も」
「多分好きよ」
 恵梨香も柿をというのです。
「柿もね」
「左様ーーですか」
「じゃあ恵梨香も来てるから」
「お会いしたーー時は」
「ええ、柿を出すわ」 
 まさにこの果物をというのです。
「是非ね」
「それはーーいいことーーですね」
「そうよね、皆で柿も林檎も食べましょう」
 恵梨香は林檎も忘れていません、彼女にとっては第一の果物だからこそ。
「是非」
「お会いーーして」
「ドロシー王女もいるのよね」
「はいーーそうです」
「あの娘も好きなのよ、柿は」
「あの方はーー嫌いな食べものはーーないーーですね」
「そう、そしてね」
 柿もというのです。 
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