| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十二部第三章 投票直前その三

「そして諜報員も少なく」
「純粋なコーカロイドもな」
「さらに少なくなり」
「そこから士官でなければならない」
 これは何故かというと。
「あちらの貴族階級に潜り込む為にな」
「そこまで条件が厳しいとなると」
「本当に限られる」
 軍人の中の諜報員から純粋なコーカロイドの士官を選ぶ、そうなればというのだ。
「スカウトの方法もあるがな」
「それでも非常に少ないですね」
「人選だけでも一苦労なのにだ」
「そこからエウロパについて細かく教育して」
「マウリアから潜り込ませる」
「非常に苦労しますね」
「教育も予算もな」
 その双方においてというのだ。
「それで苦労するがな」
「それで邪魔されますので」
「全く以て忌々しい」
「しかも工作のことなので」
 このことも重要だった、アッチャラーンも何時しかいささか面白くないといった面もちになってキロモトに対して話す。
「表立っては言えませんし」
「マウリア側も入国検査だの冤罪だので追い返すだけでな」
「命も奪いませんし」
「こちらも言えない」
 裏側でも強くは、というのだ。
「そうしたことで片付けられるからな」
「実に簡単に」
「マウリア人は頭がいい」
 この場合は連合にとってはよくないことにだ。
「何かと頭が回りだ」
「我々の邪魔もしますね」
「我々の工作の邪魔はするが発展の邪魔はしないしな」
「しかしエウロパを助け勢力の均衡を計っていますし」
 例えそれが百対一でもだ、それは忘れていないのだ。
「何かと厄介ですね」
「そうした国だからな」
「我々の工作も」
「邪魔をしてだ」
「エウロパを助けますね」
「そしてギルフォード侯爵もな」
 総統選挙を有利に進める彼もだというのだ。
「守っている」
「あの国もだな」
「そうですね」
「全く、エウロパはな」
 連合国家元首として言うのだった。
「早く何とかしたいが」
「より痛めつけて」
「当分立ち直れないようにしたいが」
「そうそう上手くいかないですね」
「何でもことが上手くいかないか」
 こうも言うキロモトだった。
「完全にはな」
「そうですね、どうしても」
 アッチャラーンもキロモトのその話に頷いて答えた、
「全て望む様には」
「いかないな」
「我々はエウロパを併合するつもりはありません」
 宿敵である彼等をだ、
「彼等は敵であり、しかも永遠のだ」
「連合の敵ですね」
「永遠のな」
「国家には敵が必要ですが」
 これは国家統合、その国の国民の共通の敵だ。そうした存在が必要であると二人も考えているのである。
「特に連合の様な雑多な国家は」
「その通りだな」
「ですからエウロパは潰さず」
「併合もしない」
「永遠に敵でいてもらいます」
「このことは変わらない」
 これからもというのだ。
「それはな、若し併合すればだ」
「一千億もの異分子、不平分子を抱え込みますね」
 連合の中にというのだ。
「貴族主義者達を」
「四兆のうちの一千億だ」
 四十分の一である、人口的には。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧