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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその三十八

「そして生き残りだ」
「そうしてですね」
「欧州を立て直してだ」
「今のエウロパの基礎を築きましたね」
「その時もだったな」
 このことは歴史の噂として語られていることだ、だがクリシュナータは国家主席の立場から真実が書かれた資料を読んでいるので知っている。
「我々はな」
「ブラウベルグを陰ながらですね」
「護っていた」
「欧州に存在してもらう為に」
「そうしていた」
 実は、というのだ。
「その時もそうしたしだ」
「今もですね」
「連合がそうしてくるのならな」
「我々は陰ながらですね」
「彼を守る」
 即ちブラウベルグをというのだ。
「何としてもな」
「我々の為にですね」
「全てはな」
 マウリアの為だというのだ、間違ってもエウロパの為ではなく。
「連合の一人勝ちは困る」
「バランサーとしては」
「若しエウロパがなくなったりすればだ」
 最悪の場合それも有り得る、混乱に陥ち無政府状態になったりしても同じ状況になる。マウリアにとっては。
「そうなればな」
「我がサハラはですね」
「バランサーとしてのメリットがなくなりだ」
「それで、ですね」
「同盟国としての存在価値もなくなりだ」
 そして、というのだ。
「やがてはだ」
「連合に飲み込まれますね」
「そのまま連合の一国となる」
「それも悪くないかも知れませんが」
 連合の中で生きることもというのだ。
「しかしそれでは」
「マウリアの今の旨味を味わえなくなる」
「バランサーとしても」
「これはいいものだ」
 バランサーとしてのポジション、そして旨味はというのだ。
「常に各国の状況を見て手を打たねばならないが」
「それでもですね」
「どの国からも利益を得られる」
「その利は大きいですね」
「連合にいては味わえない」
 そうした利だというのだ。
「だからだ」
「それを手放さい為にも」
「連合には入るべきではない」
「各国の間のバランサーとしてですね」
「生きるべきだ」
 マウリア、彼等の国はというのだ。
「是非な」
「だからですね」
「そういうことになる」
 こうサッダルタに話す。
「我々は戦うべきではない」
「その通りですね、戦争は浪費です」
「資源も予算も人命もな」
 その全てをだというのだ。
「リスクが大きい、だからな」
「戦争はしませんね」
「しかしだ」
「しかしとは」
「軍だが」
 この組織はというのだ、政治における最も重要な組織の一つであることはこの時代でも全く変わらないことである。 
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