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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  逃走の銀白


冬木市、都市部の裏路地。



そこで蹲る、一人の男。後ろを振り返るとそこには点々と赤い血が残っている。



「結界・・・・・この気配は太転依・・・鵺のものか・・・・・・」


上空を見上げ、一見して何もないように見える空に何かを見て蒔風が呟く。
更には空からも探しているのか、理樹の翼や応龍の姿もちらちら見える。



蒔風がビルに身体を預けながらズルズルと歩んでいき、ある一角で座り込んで胸の傷を見る。

袈裟斬りにされたその跡は、使用者が慣れていなかったということが幸いして、そんなに深くはない。
だが、その大きさには目を見張るものがあって、放っておけばじきに血が足りなくなる。

それはここまで残ってしまった血の跡を見ても明らかだ。




(ここまで逃げてこれたけど・・・・結界内で力を使えば嫌でも探知される・・・・だが・・・・・)




蒔風はここまで逃げるのにたいした力を使っていない。
というか、使えないのだ。


そんなことをしてはやがて来るであろう増援に見つけてくれというようなものだし、そもそも体のコンディションだって一気に崩れる。


とにかく、なんとかしてこの血を止めなければならない。



蒔風は覚悟を決めて、剣を取り出す。
「林」と「山」を取り出して、その柄と柄のお尻をつけて、地面に突き立てる。

すると、それを中心に小さなドームができ、蒔風を包み込んだ。
「林」の効力でバリア上のドームができ、「山」の効力で治癒効果が出たのだ。

本来「山」だけでは自分に突き立てても効果は得られないが、こうすることで幾分か回復を見込める。



胸の傷と、ライダーに突かれた肩の傷が徐々に癒えていき、出血が止まる。



だが同時に、彼は自らの居場所を、ここですよとバラ捲いているのだった。






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夜の冬木を、住宅街の高い丘から見下ろす理樹。


この街は住宅街と都市部に、川でわけられている。
今は二手に分かれて、都市部と住宅街を捜索しているのだが、中々足取りがつかめない。



「舜の場所はわかりそう?」

『いや・・・・流石と言ったところか、中々わからないね』

『だが、鵺のチビが言うには結界を抜けた人間に大きな力を持った奴ァいなかったそうだぜ?』

「うん。舜はまだここにいる。全員、気をつけて探して・・・・・」



『理樹!見つけた、血の跡だ!!』

「どこ!?」

『いや・・・・見つけたが、途切れてしまっている。場所からして、ビルの屋上に飛びあがって追跡しにくいようにしてるんだろう。上空から見てみてくれ!!』

「わかった!」


ユウスケからの連絡に、理樹が街に飛び出す。
上空で獣の姿になった応龍とも合流し、その背に乗った鵺からも話を聞く。


即興で作ったこの結界は今なお作り上げ中で、じきに蒔風の位置もはっきりと割り出せるようになるらしい。



「小野寺さんが見たのは・・・・」

「あそこだ。で、あっちのビルにも見つけた」

『理樹、こっちの地面にも跡を見つけだが、すぐに消えてる』

「大丈夫、こっちで見つけた」




そうして、徐々に蒔風へと近づいていく理樹たち。


と、そこでモニターが表示され、機器に反応があったことを示した。




「舜だ!反応あり!!」

「微弱だけどな・・・・」



『僕が近い!!行くよ、ましろ!!』

『はい!』





裕理からの連絡があり、一緒にいたましろと共にその地点へと向かう。
だが、そこにあったのは小さな血だまりと、剣の刺さった後だけだった。


「理樹!だめだ、こっちにはもう・・・・」

『裕理!!そこを今すぐ離れるんだ!!!!』

「え?・・・・ッッ!!??」



チュン、ギィ!!



現場に到着し、報告した裕理に、理樹の警告が飛ぶ。
直後、真上からの銃撃に、裕理が強化した手で反応して弾く。

手がしびれたものの、その攻撃を防いだ彼は、ましろに危険が及ばないようにその場から撤退する。


「ま、さか!!!」

『上から見てた!!舜だ!!ビルの屋上にいる!!』



そう、上空の理樹は、屋上からライフルで裕理を狙う蒔風を見ていた。
最初こそ陰で見えなかったが、狙った瞬間殺気を感じ、咄嗟に警告したのだ。


「クソッ!!」

「待て!!!」


奇襲を外した蒔風は、組み立て式のライフルをその場に投げ捨て、ビルの屋上を跳ねて逃げる。
その跡を追う理樹と応龍だが、蒔風が逃げながら銃弾を放ってくるのでうまく接近して行けない。


が、その行く先にデンライナーが通過するように停車し、行く手をさえぎる。
いきなり現れたそれに両手をデンライナーに当て、一回転して飛び越える蒔風。


しかし


「おりゃァ!!!」

「ぐっ!?おぁッ!?」


デンライナーの屋根に飛び出した蒔風を、クウガの拳が捉え、叩きつける。
直撃こそ避けたものの、ガードの上から押し付けられるような攻撃に、蒔風のひざが曲がる。


さらに、そのしゃがみ込んだ蒔風に背後からキンタロスが腕で締め上げるように掴みかかり、蒔風を拘束する。



「はっは!!大金星や!!」

「も~ぉ逃がさねェからな!!」

「うまく釣れたみたいだね」




怪我はあらかた治っても、あくまでも表面上だけだ。
体力までは戻っていない蒔風は、キンタロスの拘束を解くことができずもがくばかりだ。


と、そこに理樹と応龍が追いつき、階段から裕理とましろも合流したディエンドと一緒に上がってきた。




「もう逃げられないよ、舜。カードを出して、今までの事を全部話してもらうから!!!」



これだけの状況で、理樹が宣告する。
大人しく掴まれ、と。


だが、蒔風の目はいまだ鋭く、諦めた様子がない。



「理樹・・・・」

「・・・・舜、一体何があったんだ・・・・戦いたいっていうなら、模擬戦をすればいいじゃないか!!!どうしてこんな・・・・」




「ものの見方が甘いな、理樹。強者は時に、その程度では満足しないものだ」

「な・・・・・」

「あと・・・・・やはり悲しいな。いくら翼人でも、まだ学生、か」

「え?」


「フンッ!!!!」

「がっ!?」




ゴキッ!!と




蒔風が踵を思い切り、キンタロスの足の甲に叩きつけて踏み抜く。




人体の急所はイマジンにも有効なのか、あまりの痛みにキンタロスの腕が緩み、蒔風が跳躍、更にその頭を踏みつけて宙返りする。
蒔風の視界が逆さになるが、その瞬間に蒔風が両手に銃を持ち、全員を狙って発砲する。

咄嗟ながらもその攻撃は全員防ぐ事が出来たが、蒔風を完全に逃がしてしまう事になる。



「くっ・・・舜は!?」

「逃げ・・・・」




ボコッ、ゴキッ!!!!




逃げやがった。

そう言おうとした応龍の口が、その途中で開かれたまま止まる。
見ると、背中から胸に掛けて蒔風の腕が貫通しており、彼がそれを自覚するよりも早くカードへと消え、その隣で首を折られた鵺も消える。



「ッッ!!!舜ッッ!!!!!!」

「今度こそ逃げる、か」




ダンッッ!!!という凄まじい足音を残し、蒔風がその場から逃げる。
その踏み込みは、デンライナー全体を揺らして脱線させかねないほどに強かった。

その跡を追おうと、理樹が一人開翼して飛び出すが、逃げ際に蒔風が獄炎弾を放つ。



それを見た理樹は咄嗟にそれをバリアで防ぎ、皆を守る。



だが、その獄炎弾が消える頃には、すでに蒔風の姿は冬木の夜空には居なかった。










to be continued
 
 

 
後書き

なんだか締まらない逃走劇になってしまいました・・・・
でもやることはやってる蒔風。


応龍
「オレなんてロクに戦ってないぜ?」


「ワシもじゃ!!どーしてこんなにあっさりなのじゃ!!」


あ、ちなみにアメリも美冬も蒔風が敵というのは知りません。
襲撃の際に「EARTH」に呼ばれこそしましたが、あの後どうにか解決したと聞かされて学校生活を送ってます。


応龍
「あいつらはリストになかったからな」


「さすがに巻き込めないからのう・・・・寂しいのじゃ」



応龍
「で、次回は山中での戦いだ」


「どこの山かは・・・お楽しみじゃ!!」

ではまた次回



これ前回忘れてた・・・・


残りリスト



キョン
朝比奈みくる
長門有希
古泉一樹
響鬼
ハクオロ
エルルゥ
オボロ
べナウィ
クロウ
カルラ
トウカ
泉戸裕理
泉戸ましろ
城戸真司
秋山連
吉井明久
姫路瑞樹
島田美波
木下秀吉
土屋康太
津上翔一
芦原涼
氷川誠
上条当麻
インデックス
御坂美琴
クラウド・ストライフ
前原圭一
竜宮レナ
園崎魅音
園崎詩音
北条沙都子
古手梨花
古手羽入
国崎往人
神尾美鈴
門矢士
小野寺ユウスケ
光夏海
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
直枝理樹
棗鈴
井ノ原真人
宮沢謙吾
来ケ谷唯湖
三枝葉留佳
乾巧
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
ランサー
ギルガメッシュ
天道総司
加賀美新
矢車想
剣崎一真
皐月駆
水奈瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
百野栞
紅渡
ガルル
バッシャー
ドッガ
左翔太郎
フィリップ
高町なのは
フェイト・T・ハラオウン
アリシア・テスタロッサ
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ
スバル・ナカジマ
ティアナ・ランスター
キャロ・ル・ルシエ
エリオ・モンディアル

 
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