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シークレットガーデン~小さな箱庭~

作者:猫丸
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-シレーナの封じた過去編-

 
前書き
-第一章 物静かな看護師の闇-シレーナの封じた過去編 

 






悪趣味な人形兵たちとの戦いから数日がたったある日の事。
町の娘たちが帰ってきたことを喜び、そして娘たちを助けてくれたルシアへの感謝の気持ちを込めて町の者たちはルシアたちのために盛大に祭りをあげることにしたのだった。
当然、本日の主役のルシアとそのお供のランファも祭りに参加することになるのだが…

「僕……目立つの苦手なんだけどなぁ…」
「えーなんでー?あたしは目立つの、大好きだよー」
「……うん。だろうね」
「………なんか傷ついたー!! ブゥ~ブー」

祭りが始まり 沢山の料理と歓声に囲まれたルシアは少し照れくさそうに、もじもじとしている。その横でランファ全く動じずいつも通りの態度で町のどの方向から見ても目立つ特等席に腰をかける。

「ささっ、ルシア様っ。どんーと食べて飲んでさわいでくだされっ」

町長が次々とルシアの前においしそうな果物や料理を並べる。ランファは何も言われる前からそれをパクパクと貧乏な子供が何日ぶりにかにご飯にありつけたかのようにガッツいついている。


「でも…町長さん。僕はさらわれた人たち 全員を助けられませんでした……それなのに……」

申し訳なさそうに言うルシアに町長は優しく

「話は娘さん達から聞いています。ザンクとかいう残忍な男にさらわれ、殺し合いを演じさせられ、挙句の果てには殺される。そんな地獄の日々からルシア様が救ってくださったと……。
 ですからそげーに自分を責めないであげてください。死んでいった娘さん達もけして貴方を恨んでなんかいませんから」

町長の言葉を聞いてルシアは少しだけどこか救われたような気持ちになった。自分は許されてもいいんじゃないのかと…。

「そうですか……そう言って貰えただけで気持ちが楽になったような気がします」
「それは…よかった」

優しい笑顔で言うと町長は祭りの次の演目の準備へと向かった。
…しばらくするとまた大量の料理を持ってきて


「ささっ、娘さん達の感謝の舞はじまりますぞよっ」

とまるで少年のようにワクワクキラキラした表情で言っている。

「シレーナも出るからしっかりと目に焼き付けるんじゃのぉ~」

いつの間にやって来たのか ルシアの隣にシレーナのお爺さん ジェームズさんがカメラ片手にスタンバっていた…。

一度 会場が静かになりそして……辺りから生演奏の美しい音楽が聞こえてくる。
音楽に合わせて町の美しい娘たちがセクシーな踊り子の衣装を身にまとい 優雅で華麗で素敵な舞を披露する。男たちは皆その華麗な舞に心を奪はれる。
ルシアも シレーナの少し恥ずかしそうにでも懸命に舞っている姿に心を奪われそうになった。
ランファはというと最初から最後まで

「うっめー」

町の主婦たちが作ったお袋の味料理に心を奪われっぱなしだった……。
曲もクライマックスに差し掛かり舞も派手になってゆく。薄汚い男たちが娘たちのパンチラを期待する中それは予兆もなく突然と起きた--

「………うっ!」
「キャーーーーー」
「シッ、シレーナ!?ど、どうしたんじゃっ!?」

突如、苦しそうなうめき声をあげシレーナはその場に倒れてしまったのだ。
一気に辺り一帯に響いていた歓声は悲鳴へと変わった……。


祭りは中断され ルシアたちはシレーナを担ぎ家まで連れ帰り、医者を呼んで来てシレーナを診てもらうことにした。
関係ない人は廊下で待っていてくださいと看護師に言われ 仕方なくルシアは廊下に出て診察が終わるのを待つことにした。
…のだがザンクとの事でいろいろあった為に 物凄くシレーナの事が心配なルシアはこっそりとシレーナの容態を見に診察中の部屋の中を覗いてみると……

「(まさかこの症状は…ヨナと同じ……)」

シレーナの手先足先はまるで壊死しているかのように黒ずんでいた。
医者は…残念そうな表情で

「…残念ながら闇病です」
「そっ、そんなぁぁぁ!!?じゃっ、じゃあシレーナは……シレーナは……」

闇病は医者が匙を投げるくらいに不治の病なのだ。
一度発病したら最後。もう現医学技術では絶対に助からない。たとえ医学が進歩しても助かる見込みはない…。

「……すまんが一人にしておくれ」
「ジェームズお爺さん……」

部屋から医者が残念そうな顔をして出て行った後、ルシアは部屋に入ってみたけど ひどく落ち込んだ感じのジェームズさんに追い出された。
何か声をかけたいとルシアは、思ったのだが何もかける言葉が見つからなかった。
何も言わず静かに部屋を後にすることにした。
自分になにか出来ることはないかと考えながら廊下を歩いていると

「ねぇーねぇーちょっとー」
「えっ?ランファ?」

仮病室から移されて、今シレーナが寝ている彼女の部屋から顔を覗き出したランファが、こっちこっちと手招きしている。よくわからないが呼ばれたので取り敢えず近づいて行き 中に入れと言うので中に入る。
ルシアが部屋に入るとランファは他に誰もいないかを確認した後、ゆっくりドアを閉めて鍵もかけた。
 
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