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遊戯王GX~鉄砲水の四方山話~

作者:久本誠一
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ターン65 鉄砲水と大蛇の深淵

 
前書き
祝・3ケタ突破。
前回のあらすじ:グッバイユーノ、フォーエバーユーノ。リアルタイムで1年ぶりの出番があんなので終わった君は泣いていい。 

 
『マスター、何をやっているんだ?さっきから穴など掘って』
「色々あって僕のデュエルディスクは壊れちゃったから、ね。ユーノは持ってたみたいだけど、体ごと消えちゃうしさー。でもこの子もこれまで頑張ってくれたんだから、これぐらいはね」

 ただの物と言ってしまえばそれまでだ。だけどこのデュエルディスクは入学以来ずっと使ってきた、三幻魔とも光の結社とも共に戦い抜いてきた物なので、なくなってしまうと寂しい。あの覇王とのデュエルで僕がとどめを刺される寸前にデュエルディスクが壊れたのは、ディスクそのものが最後の最後に身を挺して僕を守ってくれた……なんて考えるのは、あまりにもメルヘンだろうか。
 でもそのおかげで、僕は今ここにいられる。機械には疎い僕でもあの実体化していたマリシャス・デビルの攻撃をまともに喰らったデュエルディスクがもう二度と動かないことはわかったので、ユーノの分と一緒にせめてものお礼として墓を作って埋めているのだ。

『……そうか』

 笑われるかと思ったけど、それ以上何も問われることはなかった。あるいは、何か察してくれたのかもしれない。そんな気遣いもできる、それがこの邪神だ。まったく、ありがたい仲間に囲まれたものだと思う。
 やがて全ての作業が終わり、最後に手を合わせて立ち上がる。もう、ここに来ることはないだろう。土まみれになったその手を洗うため、僕が覇王から逃げる際飛び込んだ川に向かう。飛び込んだ位置から比べるとだいぶ下流まで流されてきたらしく随分緩やかな流れになっていたが、逆に言うとそれだけの間ずっと水中にいてよく生きていられたものだと思う。

『……それなんだがな、マスター。実は、これは本当は教えるつもりはなかったのだが』
「なに、また隠し事?」

 手を洗い、ハンカチなんぞ持っていないのでふるふると振って水を飛ばしていると、いきなり話しかけられた。ダークシグナーの呪われた命のこと。チャクチャルさんの過去のこと。一切合財黙っていたことは、もう割り切ったし蒸し返すつもりもない。チャクチャルさんにしたって、別に悪意があったわけじゃないことは長い付き合いだからなんとなくわかる。ないが、まーだ何かあるとなれば話は別だ。意識せずともだいぶ剣呑な言い方になる僕にただでさえ歯切れの悪かった口調をますます言いにくそうなものにしながら、ぼそぼそと声が頭の中で聞こえる。

『まず、地縛神Uru(ウル)……蜘蛛の地上絵については知っているな?奴の能力が一番わかりやすいのだが、奴の手で蘇ったダークシグナーは小蜘蛛を人間に仕込むことでその行動、思考をコントロールできる』
「ああ、それで……」

 脳裏に蘇る、先代が夢で見せた古代ナスカの記憶。他の地縛神が直接人を襲っていたのに対し、蜘蛛の地縛神の足元では本体が見下ろす足元で人間が人間を襲う異常な光景が広がっていた。妙だとは思ったけど、あの場面にはそんな仕掛けがあったのか。

『あれと同じで、我々はそれぞれ固有の特色をダークシグナーに付与することができる。というよりも、蘇生の際に魂を引き上げる作業などで自然と魂がこちら寄りになりそうなってしまう、というべきか。私の与える能力は正直このご時世で役に立つようなものでもないから黙っていたのだが、まさかこんな形で役に立つとは思わなかった』
「ふむふむ。で、僕は何ができるの?」
『説明するより体感する方が早いな。ちょっと歩いてみてくれ』
「こう?」

 言われたとおりに川に沿って数歩進んでみるが、別に変わったことは感じない。すぐに訂正が入った。

『いやそうじゃなくて、川の上にだ。大丈夫だ、いける』
「え、ちょ、水上……」
『ええい、まどろっこしい』

 そんなやりとりだけで後ろから突き飛ばされ、咄嗟に体勢を立て直すこともできず前に出る。そのまま足が水中に突っ込み……

 ―――――パチン。

 突っ込まなかった。恐る恐る足元を見ると、靴の裏が水面に付いた状態でそれ以上体が沈まない。

『私はシャチの地縛神……それゆえ海の、ひいては水の力を強く持つ。難しく考える必要はない、要するにあらゆる水が私に、そしてその系譜を継ぐマスターに味方するということだ。最初からそれが当然であるかのように、水上を自由に歩くことができる。それのみでなく、もはや水中すらマスターにとって枷とならない。抵抗を受けることなく自在に潜り、呼吸や会話すら可能となるだろう』
「水上歩行に水中呼吸……河童や半魚人の域だね、こりゃ」

 カードの精霊世界、命を賭けたデュエル、ちょっと見ない間にわけわかんないことになっていた親友、面便り思いダークシグナーの話。ここ数日のうちに色々なことがありすぎて、なんだかもうこの程度では驚かなくなってしまった。あまりに現実感がないせいで、まだ少しピンと来ていないのかもしれない。ゆっくりと片足を持ち上げ、また降ろす。着水の衝撃により水面に波紋が走りその感覚がかすかに伝わってくるが、足場としては依然として安定したままだ。

「じゃあ、この川を下ってくる間にも」
『無意識のうちに呼吸をしていたんだろうな。でなければ酸欠だ』

 水上歩行に水中呼吸。びっくり人間的能力には間違いないのだが、ついさっき例として挙げられた洗脳能力を持つ小蜘蛛とかいうオカルトと比べると、なんというか、こう。

「……確かに使い道少なそうだね、今時」
『私もそう思う。むしろよく役に立ったものだ』

 しかしそう考えると、あの時川に飛び込んだのはどうも僕にできる最善手だったらしい。破れかぶれで突っ込んだだけのつもりだったのに、これは運が向いてきたと言っていいのだろうか。

「そこのあなた、そろそろ話す気になりましたか?もう1度聞きましょう、ここで何をしているのですか?」

 水上の感覚に慣れるためパチャパチャ歩いていると、唐突に誰かの声がする。一瞬見つかったかと焦るものの、よく聞くとその声は川向うから聞こえていた。音をたてないように耳を澄ませていると、その声がさらに続く。

「ふーむ……だんまりですか。あまり感心できませんねえ。このワタクシが誰だか、わかっていらっしゃらないので?」

 それに対し、小馬鹿にしたような返事が聞こえる。意外にも女性、それも明日香みたいにいかにも気が強そうなことが声だけでわかるタイプの声だった。

「ふん。知っているとも、暗黒界の術師。頭脳労働担当がこんな僻地に何の用だ」
「質問しているのはワタクシですよ?ですが、まあいいでしょう。フリード軍かその他有象無象の残党か、そんなことはどうでもよろしい。覇王様に害をなす愚か者、その罪は万死に当たります。デュエルを続けましょう、もはや万にひとつもあなたには勝ち目のないこのデュエルを、ねえ」
「くっ……!」

 どうやら、川向うでデュエルが行われているらしい。深い森のせいでまるで見渡すことはできないが、その奥で小規模な爆発音や火花が何度も上がる。だがそれよりも、僕の心に残ったのは顔も見えないあの女性の言葉だった。

「暗黒界の術師……?」

 暗黒界。そして覇王。そしてこの戦略的に重要とも思えない川の近くとなると、これはもう十中八九狙いは僕だ。確かに闘技場を逃げ出してからそれなりに時間が経っているとはいえ、もう覇王の手がここまで伸びていたことに背筋が凍る思いになる。僕がまだ見つかっていないのは、ほんの少しだけ運がよかったからにすぎない。

『どうやらそのようだな。どうする、マスター?私はいつでもその判断に従おう』
「どうする、って?」

 聞き返しながらも、何が言いたいのかはわかっていた。敵が目と鼻の先にいるこの状況、僕に示された道はふたつにひとつ。戦うか、逃げるかだ。僕のほんのわずかな理性は、逃げたほうが賢明だとささやいていた。まさかこの近辺の悪魔があの声の主だけだなんてことあるはずない、ここはやり過ごして安全を確保する方がいい。それに、デュエルディスクを失った今の僕が出て行ってもおめおめと捕まるだけだ。あの悪魔が僕をいまだ捕まえていないのは、裏を返せばいまだ僕が見つかっていないという何よりの証明。ならば……というわけだ。
 まったくもって合理的、かつわかりやすい。なにがなんでも覇王……十代のことを救い出すためなら、余分なリスクはわずかにでも少ない方がいいに決まってる。せっかく拾った命、ここで余分に危険にさらす選択はあり得ない。
 とはいえ、僕の答えは決まっている。ここで今絡まれてる人を放っておいたら後々後悔するに決まってるし、そもそもこれ以上覇王軍から逃げるのはいい加減腹が立つ。それに覇王の部下ということは実力は確実に覇王以下、そんな相手とのタイマンを避けるようでは覇王に勝つなんて夢のまた夢だ。おまけに本来ならまず越えられないこの川の流れも、もはやただの道でしかない。

「行くよチャクチャルさん、こっちから喧嘩吹っかけてやる」
『よしきた。そう言うと思った』

 水面をひょいひょいと走り、まともに泳いだらどれだけかかるかわかったものじゃない反対側の岸にもすぐに到着する。だがその間に、走る間ずっと聞こえてきていた激しい金属音や爆発音もぱったりと聞こえなくなってしまった。
 嫌な予感に襲われながらも先ほどから目星をつけておいた場所の様子をうかがおうとすると、ちょうどその寸前に先ほどの声がまた聞こえてきた。

「どうやらここまでのようですねえ。ではワタクシ自身、暗黒界の術師 スノウのダイレクトアタックでとどめといたしましょう」

 その宣告の直後、ひときわ激しい爆発が起きる。草を掻き分けどうにかその場所にたどり着いた時には、すでに何もかもが終わっていた。

 女戦士 LP300→0

「そんな……!」

 大賢者、ケルト、そしてこの女性。僕は力を手に入れてるはずなのに、どうしてこうも結果を出せないのだろう。
 いや、まだだ。まだやることは残っている。目の前の悪魔……スノウは筋肉質だったケルトとは対照的に細身な体で、全身を包む白いマントの他に片手には魔法使いのような杖を手にしているのが目立つ。そのスノウが突然の乱入者に怪訝そうに眉をひそめるが、すぐにその目が喜色に輝いた。大げさに両手を広げ、こちらにじりじりとにじり寄ってくる。

「おお、これはこれは。恐らくこのあたりに流れ着いているだろうとは思いましたが、死体ではなく生きていらしたとは。ですがどちらでもよろしい、あなたの身柄を覇王様に献上すれば、ワタクシの地位はますます安泰。いやあ、こんな僻地までわざわざ来たかいがあるというものです」
「ふざけんな!」
「下品な言葉ですねえ。ですがその言葉は本来、私が言いたいのですよ?あの覇王様にいやしくもイチ人間の分際で、どいつもこいつも刃向いたがる。寛大なるあの御方は少し前のジム、とかいうワニ男もあなたも分け隔てなく自らの手をお汚しになられていますが、ワタクシにはそれが我慢ならないのですよ」

 さらに近寄ってくるスノウの不気味さに負け、思わず後ずさる。その反応にさらに喜んだらしいスノウが腕に付いたデュエルディスクらしき装置を構え、既に起動済みのそれを構える。

「あなたが覇王様に敗北を喫したのちみじめにもここまで逃げてきた際、ご自身のデュエルディスクを壊したという情報は既に入ってきています。あのケルトを破った実力は勝算に値しますが、大人しく投降なさい。ワタクシとて自分の手を汚さずに終わるのならその方が楽ですからねえ」
「それは……」
「それはどうかな?」

 いきなり、地面に倒れていた女戦士が割り込んできた。先ほどのデュエルに敗北したためその体は既にケルトの時と同じように光となって消えかかっているが、それでも無理に上体を起こして鋭い目でスノウを睨みつける。その瞳から、まだ闘志は消えていなかった。

「……おやあなた、まだ生きてらしたんですか?嫌ですねえ、往生際の悪いのは。ですがあなたのライフは既に0、もはや消滅も時間の問題でしょう?」
「そんなことはわかっている!少年、受け取れえぇっ!」

 そう言って自分が腕に付けていたデュエルディスクを外し、腕の力だけで数メートル離れた僕に向かって投げつける。どうにかキャッチできたものの、その衝撃で手にジンと痺れが走った。

「それを使ってくれていい、だが1つだけ頼みがある、少年。いつか私の仲間と出会うことがあれば、エルナは最後まで戦いの中で堂々と散っていった、そう伝えて欲しい」

 エルナ、それがこの女性の名だろう。仲間とは誰なのか、なぜこの場所に来ていたのか、聞きたいことはたくさんあるけれど、その時間がないことはますます勢いを増した光の粒子からも見てわかる。だから僕は何も言わず、ただまっすぐエルナの顔を見て頷くだけにしておいた。それを見て、彼女の顔がふっと綻ぶ。

「ありがとう……」

 その言葉を最後に、彼女の姿が完全に消える。残ったのはただ1つ、僕の手に残るデュエルディスクのみ。だけどこの既製品とは微妙に細部の違うどこかシックな感じのデュエルディスク、どっかで前にも見たことがあるような気がする。記憶を辿ってこのデジャヴを解消したい誘惑に駆られるが、今はそれは後回しだろう。差し込みっぱなしだったエルナのデッキを引き抜いて形が崩れないようデッキホルダーに入れ、その代わりに僕のデッキをセットし直す。オートシャッフル機能、ライフ表示機能……よし、動作に問題はない。

「待たせたね、スノウ。第二ラウンドと洒落込もうか……!」
「まったく、今日は面倒な日ですねえ。しかしあなたのデッキは水中に飛び込んだことで使い物にならなくなっているはず、とすれば恐らくは間に合わせの紙束。ワタクシは暗黒界の術師、そんな戦略が通用するなどと勘違いなさらぬよう」

 それを聞いて、ようやくこのスノウが妙に強気な理由が分かった。もう壊獣はない、だから僕にも勝てる、つまりはそういうことか。

「「デュエル!」」

「僕のターン!」

 なら、今に吠え面かかせてやる。最初に5枚の手札を引く、ただそれだけで感じる。僕のデッキの鼓動を、このカードたちと共に戦う感覚を。

「グレイドル・アリゲーターを守備表示で召喚、さらにカードをセット。これでターンエンド」

 グレイドル・アリゲーター 守1500

「ではワタクシのターン。魔法カード、スネーク・レインを発動。手札を1枚捨てることで、デッキから墓地へ爬虫類族モンスター4体を送り込みましょう。お逝きなさい、レプティレス・ナージャ。そして邪神官チラム・サバクを3体」

 いきなり墓地肥やしにより、4体ものモンスターを墓地に送りこむスノウ。爬虫類族、か。

「魔法カード、悪夢再びを発動しましょうかねえ。ワタクシの墓地に存在する守備力0の闇属性モンスターを2体回収し、手札に。これで準備は整いました。手札の邪神官チラム・サバクは手札が5枚以上存在するとき、リリースなしでの召喚を可能とします」

 邪神官チラム・サバク 攻2500

 手札の枚数でリリースを減らせる、という聞いたこともないような召喚効果を持つ、下半身の代わりに無数の蛇がうごめく邪神官。確かにスネーク・レインの手札コストを考慮しても最初のドローを合わせて手札は5枚、条件は問題なく満たしている。

「バトル。チラム・サバクで攻撃!」

 無数の蛇の頭が一斉にこちらを向き、牙の生えた口を開きビームを放つ。その光にアリゲーターが呑みこまれ、体が削られ千切れていく。
 だが、その状況を楽しむかのようにアリゲーターの巨大な口がにやりと笑いの形に歪んだ。最後にはこちらに向けて器用に尻尾を振ってみせる余裕まで感じさせながら、その姿が消滅する。

 邪神官チラム・サバク 攻2500→グレイドル・アリゲーター 守1500(破壊)

「この瞬間、戦闘破壊されたアリゲーターの効果発動!グレイドルは破壊されてなお相手モンスターに寄生し、その体を掌握する!こっちに来い、チラム・サバク!」

 たまたま開いていた蛇の口のひとつから、銀色の液体が飛び込む。その後人型の上半身が数秒間空気を掻きむしり苦しむようなジェスチャーをするも、すぐにその顔から表情が消え額に銀色の紋章が浮かぶ。これで、攻撃力2500は僕のものだ。

「ふむ……ターンエンドしましょう。なんですかあなた、人のモンスターをリリースする下品なテーマの次は人のモンスターを奪う下品なテーマですか?人格がそのままデッキに現れていますよ」
「わかる?いやー人格者って辛いね、どれだけ隠そうとしても、このにじみ出る品格は隠しきれなくてさー」

 我ながら子供っぽいとは思うけど、ついつい言い返さないと気が済まない。もうちょい気の利いた返しができれば満点だけれども、思ったよりスノウの煽り耐性は低かったらしい。ちょっと見ているだけでもはっきりと、その苛立ちが手に取るようにわかる。

 清明 LP4000 手札:3
モンスター:邪神官チラム・サバク(攻・アリゲーター)
魔法・罠:グレイドル・アリゲーター(邪神官)
     1(伏せ)
 スノウ LP4000 手札:4
モンスター:なし
魔法・罠:なし

「僕のターン、ドロー!」

 引いたカードは……青氷の白夜龍、か。このカードはレベル8だから、このターンでアドバンス召喚をすることは不可能だ。なんとかしてもう1体モンスターを並べられればこのターンでけりをつけることも十分狙えたけれど、この手札とこの伏せカードではそれも厳しい。

「だったら、攻撃するしかないか。チラム・サバクでダイレクトアタック!」

 再び蛇の口が開き、幾筋ものビームが撃ち込まれる。先ほどと違うのは、そのビームがすべてスノウの体を直撃したという点だ。

 邪神官チラム・サバク 攻2500→スノウ(直接攻撃)
 スノウ LP4000→1500

「ま、こんなところかね。ターンエンド」

 先ほどのスノウのターン、悪夢再びで回収していたチラム・サバクは2体。それから1体を出したきり何のカードも使用していないため、次にスノウがカードを引けばその瞬間に手札は5枚となり2体目のチラム・サバクの召喚条件が整うこととなる。
 そこまではいい、問題はそこからだ。相打ち覚悟で突っ込んで来るようならこの伏せカード、グレイドル・スプリットを装備して返り討ちにできるのだが。

「ワタクシのターン。今の一撃はなかなか痛かったですよ……覇王様に差し出す前に、このワタクシ自身の手であなたを八つ裂きにしてやりたいと思うほどにはねえ!ドロー、手札が5枚存在することで邪神官チラム・サバクを召喚!」
「来たか……!」

 邪神官チルム・サバク 攻2500

「そして魔法カード、暗黒界の取引を発動。互いに1枚のカードを引き、その後手札を1枚捨てます。ワタクシが捨てたカードはこのワタクシ自身、暗黒界の術師 スノウ。そしてこの瞬間その効果が発動し、デッキから暗黒界カードを1枚サーチします。暗黒界の門をサーチ。さらに装備魔法、レプティレス・アンガーをワタクシの場のチラム・サバクに装備。これにより、攻撃力が800ポイントアップします」
「800……!?」

 チラム・サバクの顔に、まるで民族衣装の一部のようにカラフルな仮面が装着される。仮面というアイテムの持つ特有の不気味さにチラム・サバク自身の紫色の肌が相まって、形容しがたいミスマッチさを醸し出していた。だがそんなことより聞き捨てならないのは、その800という強化値だ。発動後装備カードとなるグレイドル・スプリットを使ってもその上昇値は500と、向こうのチラム・サバクにはわずかに及ばない。

 邪神官チラム・サバク 攻2500→3300

「攻撃の前に、もう少しデッキを回しておきましょう。先ほどサーチした暗黒界の門を発動し、その効果を発動。ワタクシの墓地に悪魔族モンスターが存在するとき、それを除外することで手札の悪魔族を1体捨て、さらにカードをドローできます。最初に墓地に送った暗黒界の斥候 スカーを除外してワタクシが捨てたカードは暗黒界の狩人 ブラウ、その効果により自身が手札から捨てられたことでさらにもう1枚ドロー。おや、これを引きましたか。2枚目のスネーク・レインを発動、今度はレプティレス・ナージャ2枚にレプティレス・バイパー、さらにレプティレス・ヴァースキを墓地へ」
「……?」

 どうも読めない。暗黒界なのかレプティレス軸の爬虫類族なのか、デッキパターンが今一つ絞り込めないのだ。そもそもこれまでの相手にテーマデッキの比率が高かったせいもあって、余計に翻弄される。
 ただ見た感じサーチのスノウにドローのブラウに門、そして取引と、暗黒界関連のカードはあくまでデッキの潤滑油としての採用に留まっているような印象を受ける。スネーク・レインを2枚使えるだけ爬虫類族がデッキに入っていることを考えると、本命は爬虫類側にある……はずなのだが、どうにも読み切れない。墓地を肥やし、デッキを回し、最終的に何がしたいのだろう?ただ1つ言えることとして、これだけでは終わりそうにない。

「お待たせいたしました。そろそろ苦痛が欲しいころでしょうから、たっぷりと味あわせてご覧にいれましょう。では、バトル」

 2体の神官がぶつかり合い、共に蛇のビームを打ち合う。しかしその力が拮抗していたのもほんのわずかな間のみで、僕のフィールドにいる方の邪神官がやがて押し負けて敗れ去る。

 邪神官チラム・サバク 攻3300→邪神官チラム・サバク 攻2500(破壊)
 清明 LP4000→3200

「そしてこの瞬間、戦闘破壊されたチラム・サバクの効果発動。1ターンに1度戦闘破壊された時、このカードは守備表示で特殊召喚されます。この時このカードはチューナーとして扱うようになりますが、まあだからといってどうということはありませんがねえ」
「しまった!」

 邪神官チルム・サバク 守0

 せっかくアリゲーターでコントロールを奪ったモンスターが破壊されたのみならず、相手フィールドに戻ってしまった。守備表示固定ならば攻撃されることはないためそこは唯一の救いだが、それにしたってこのターンを凌いだだけに過ぎない。
 それにしても、あの蘇生能力はなかなかに厄介だ。1ターンに1度とはいえ戦闘破壊してもデメリットなしで蘇るのだから、最低でも2回連続で攻撃を仕掛けないとまともにフィールドから引きはがすことができない。ただ1回でも倒しさえすれば2体目もそのターンは効果を使えなくなるから、どうにかして攻撃の手数を増やすことができれば見た目よりは楽なはずだ。

「ターンエンド」

 清明 LP3200 手札:4
モンスター:なし
魔法・罠:1(伏せ)
 スノウ LP1500 手札:1
モンスター:邪神官チラム・サバク(攻・アンガー)
      邪神官チラム・サバク(守)
魔法・罠:レプティレス・アンガー(チルム)
場:暗黒界の門

「僕のターン!」

 すでに、次にとるべき手はわかっていた。あとは、このドローでモンスターが引けさえすれば……よし!

「サイレント・アングラーを召喚してトラップ発動、グレイドル・スプリット!」

 自分の場に他の水属性が存在すれば手札から特殊召喚できる魚族、サイレント・アングラー。だけど今回重要なのはその効果じゃなくて、このカードが通常召喚できるレベル4のモンスターだということだ。

 サイレント・アングラー 攻800→1300

 スプリットが発動五足装備されたことで、アングラーの攻撃力は500ポイントアップする。でも問題はそこではない。どの道このカードでは、チルム・サバクを倒すことは不可能だ。

「そしてスプリットの効果を発動。このカードを墓地に送り装備モンスターを破壊し、デッキから2種類までのグレイドルを1体ずつリクルートする!来い、イーグル!コブラ!」

 グレイドル・イーグル 攻1500
 グレイドル・コブラ 攻1000

「そのまま2体で守備表示のチラム・サバクに攻撃、再生能力も関係ない!」
「フン……」

 グレイドル・イーグル 攻1500→邪神官チラム・サバク 守0(破壊)

 イーグルの突撃を受けて倒されたチラム・サバクが、再びその傷を治して立ち上がる。その頭を、コブラの牙が再び薙いだ。

 グレイドル・コブラ 攻1000→邪神官チラム・サバク 守0(破壊)

「メイン2。僕のフィールドの水属性、イーグルをリリースすることでシャークラーケンは特殊召喚できる。そしてこのターンのエンドフェイズ、スプリットの効果で呼び出したコブラは自壊。だけどトラップの効果で破壊されたコブラはアリゲーターと同じく相手モンスターに寄生し、その動きを操る!」

 シャークラーケン 攻2400

 2体のグレイドルの姿がでろでろに溶けていく。後に残った銀色の水たまりがスルスルと動き、仮面をかぶったほうのチラム・サバクの体に足元の蛇から浸透していく。

「ターンエンド。さあどんなもんだ、ってね」

 強がってはみせたが、どうも久々すぎてデッキの回りが心なしかぎこちない気がする。早く勝負勘を取り戻さないと、この世界では文字通りの命取りだ。デッキのカードはそれぞれ頑張ってくれているのだから、これは僕の問題だろう。それとも、ついさっきやっておいた「仕掛け」がまだうまくいっていないのだろうか。

「また、コントロール奪取ですか。本当に下品この上ない……!ワタクシのターン!魔法カード、悪夢再びを発動!墓地のワタクシこと暗黒界の術師 スノウ、レプティレス・ヴァースキの2体を回収。そして暗黒界の門の効果を発動、墓地の狩人 ブラウを除外してスノウを捨て、カードをドローしスノウの効果で暗黒界の取引をサーチ。そしてそのまま発動、たがいにドローして手札を1枚捨てますねえ」

 またしても手札交換に精を出すスノウ。妨害手段がない以上指をくわえて見ているしかないが、どうにも気に喰わない。そして取引の効果で引いたカードを見て、あからさまにスノウが笑う。

「やっと引けましたか。では、そろそろそのやりたい放題も終わりにさせてもらいますよ。まず下準備として、ダーク・グレファーを通常召喚。このカードは1ターンに1度手札の闇属性を捨てることで、デッキから闇属性を墓地に送ることができます。先ほど回収したレプティレス・ヴァースキを捨て、デッキからレプティレス・メデューサを墓地へ」

 ダーク・グレファー 攻1700

 漆黒の剣士が掲げた剣を無造作に振るうと、その剣風がスノウのデュエルディスクからカードを1枚巻き上げて闇に送り込む。今の手札コストも含めるとこれでスノウの手札は1枚のみ、どうするつもりだろうか。

「ではお待ちかね、本日のメインと行きましょうかねえ。手札から邪龍アナンタを特殊召喚!このカードはワタクシの墓地と場に存在する爬虫類族をすべて除外することで特殊召喚し、攻守はその際に除外したカード1枚につき600ポイントアップします。ワタクシの墓地には現在8体の蛇が存在するため、そのステータスは攻守ともに4800!」

 邪龍アナンタ 攻0→4800 守0→4800

「攻撃力4800……!」

 過剰なまでの墓地肥やしは、この切り札に繋げるための布石だったのか。いや、墓地の爬虫類族に応じて攻撃力が上がるカードを使っていたプロフェッサー・コブラとの対戦経験があるにもかかわらず、似たようなカードの存在を見抜けなかった僕にも責任はある、か。
 だけど、僕もただやられっぱなしでは済まさない。

「相手がモンスターを特殊召喚した時、手札ドラゴン・アイスの効果を発動する!手札からこのカードを捨てて、そのまま墓地から自身を特殊召喚!」

 ドラゴン・アイス 守2200

「壁モンスターですか。まあ、無駄なんですがね。バトル、アナンタでチラム・サバクに攻撃!」

 アナンタの無数の首が伸び、自分よりもはるかに大きい蛇を前にして動けないチラム・サバクの体をそれぞれ噛み千切り呑み込んでゆく。いくらレプティレス・アンガーの効果を受けていても、この攻撃には耐えきれない。

 邪龍アナンタ 攻4800→邪神官チラム・サバク 攻3300(破壊)
 清明 LP3200→1700

「そしてチルム・サバクは、チューナーとなって復活する。さらにこの瞬間、装備対象が存在しなくなり破壊されたワタクシの装備カード、レプティレス・アンガーの効果発動。相手モンスター1体の攻撃力は800ポイントダウンします」
「なっ!?」

 地面に落ちて割れた仮面から不気味な瘴気が立ち上り、隣にいたシャークラーケンの体を包む。これで攻撃力は1600、ダーク・グレファーでも戦闘破壊ができる数値になってしまった……!

 邪神官チルム・サバク 守0
 シャークラーケン 攻2400→1600

「続けてバトル。ダーク・グレファーで攻撃!」

 ダーク・グレファー 攻1700→シャークラーケン 攻1600(破壊)
 清明 LP1700→1600

「くっ……!だけどまだ、僕にはドラゴン・アイスが……!」
「いないようだがねえ。エンドフェイズにアナンタのさらなる効果発動!ワタクシのエンドフェイズが来るたびに、フィールドのカード1枚を破壊する」

 一度動きを止めたはずの邪龍が、再びその鎌首をもたげる。ドラゴン・アイスの氷の体を容赦なく噛み砕き、被っていた鉄の仮面を残して全てを呑み込んだ。

 清明 LP1600 手札:2
モンスター:なし
魔法・罠:なし
 スノウ LP1500 手札:0
モンスター:邪龍アナンタ(攻)
      邪神官チラム・サバク(守)
      ダーク・グレファー(攻)
魔法・罠:なし
場:暗黒界の門

「僕のターン、ドロー」

 モンスターは根こそぎ倒された。伏せカードもない。さすがに暗黒界の術師を自称するだけのことはあり、この悪魔もまたかなり強い。普通なら、この場を1ターンでひっくり返すことは不可能だろう。これまでの僕だったら、あるいはここで心が折れていたかもしれない。だけど、今の僕はもう違う。僕を助けに来てくれた、僕を支え続けてくれた、この力は負けたりしない。

「もうおしまいだ。ここで終わりにする、スノウ!」
「なんですって?あなた法螺を吹くのも結構ですが、もう少し現実を見てから物を言ったらどうなのです?」

 怪訝な顔になるスノウ。だけどそもそも、このデュエルを始めた時から奴の敗北は決まっていた、といっても過言ではない。僕の戦力を見誤ったその時点で、もはや勝ち目は0になっていたのだ。

「僕はお前の邪龍アナンタをリリースし、手札から怒炎壊獣ドゴランを特殊召喚!そして相手フィールドの壊獣に反応して、手札から壊星壊獣ジズキエルが僕のフィールドに目覚める……!」
「馬鹿な!壊獣!?そのデッキは既に失ったはずでは……」

 炎を吐き空をも駆ける恐竜型の壊獣と、1体で星をも破壊し尽くす侵略兵器の壊獣がフィールドに現れる。

 怒炎壊獣ドゴラン 攻3000
 壊星壊獣ジズキエル 攻3300

「失った?馬鹿言わないでよ。この子たちは僕のために来てくれて、僕もこの子たちと共に戦うって決めたんだ。どんな方法で断ち切ろうとしても、僕は必ず仲間と戦う!」
「く……こんなところで、このワタクシが……!」

 そう、これこそが僕の「仕掛け」。まだ試行錯誤の段階とはいえ、これまで使っていたデッキに壊獣の力を取り入れた、僕自身が新たなステージへ上り詰めるための新しいデッキだ。そしてこのジズキエルの攻撃力と、スノウのダーク・グレファーの攻撃力の差は1600。そして、スノウのライフは1500。どうしようもない敗北を前にスノウの顔が絶望に歪み、その場に尻もちをついて少しでも後ろに下がろうと無駄な努力を繰り返す。
 奴のあの表情に嘘はない。どうやら、墓地のカードの中にも奴を助ける力を持ったカードはなさそうだ。そう判断し、今にも破壊の光線を撃ちだそうとするジズキエルを手で制する。

「さあどうする、スノウ?2つ、2つだけ選ぶ道を残しておいてあげるよ」
「2つ……?」

 自らの命が失われようとするこの状況で掴める可能性があるのなら、例えそれが藁であってもスノウには手を伸ばすしか方法はない。案の定乗ってきたことに軽い可笑しさを感じながらも、指を2本出してこちらの条件を伝えた。

「まず1つは、潔くこのまま戦士として僕のジズキエルの攻撃を受けて散ること。もう1つはこの場でサレンダーして。そうすれば命だけは助けてやるからとっとと覇王のところに行って、僕からの伝言を伝えてもらおうか」
「な、なんですって、そんなこと」
「いーんだよ別に?そんな大した話でもないし、ここで普通にデュエルを終わらせてもぜーんぜん困んないし。ジズキエル、ダーク・グレファーに……」
「わ、わかった、わかりました!サレンダーしますとも、ワタクシの負けです!」
「そりゃよかった。悪いね、ジズキエル」

 少し不満げに唸りながら、ジズキエル達の姿が消えてゆく。まだ尻もちをついたままのスノウを見下ろし、改めて話しかける。

「さて、それじゃあ伝言を頼もうか。文面は、そうだね……『この遊野清明様が地獄の底から帰ってきたから、首洗って待ってなバーカ』。こんだけでいいや」
「へっ?い、いえ、わかりましたあぁっ!」

 あまりといえばあまりの文面に1瞬あっけにとられたらしいスノウだったが、すぐに気を取り直すと手にした杖が黒い光を放つ。その光に包まれ、スノウの姿がその場から消えた。とりあえずその結果に満足していると、チャクチャルさんの心底面白がっている声が頭に響く。

『なるほど、考えたなマスター。いやはや、これからは忙しそうだ』
「あはは。やっぱりこの手の心理戦は、僕が何考えてもチャクチャルさんにはお見通しか」
『当然。だが、いかにもマスターらしい手の打ち方だな』

 そう、これは僕にとって1種の賭け……十分勝機があると踏んだからこそできる、覇王に対しての軽い牽制だ。
 そもそも覇王は十代の別人格、どれほど変わろうとも根っこにあるのはまさしく遊城十代そのものであるはず。入学してオシリスレッド所属になって以来ずっとひとつ釜の飯を食ってきた僕だからその思考パターンはある程度予想がつくが、少なくとも十代ならあんなふざけた内容の伝言を伝えるためだけにわざわざ部下を見逃してやった時点で、こちらが喧嘩売ってることにはまず気が付くはずだ。
 そしてこれは十代ではなく覇王に会って何となく感じたことなのだが、少なくとも奴はそれを笑ってスルーできるタイプではない。というよりも、癖の強い悪魔を完璧に纏め上げるためには舐められたらおしまいだとわかっているのだろう。例え侵略の最中だろうと、自分のことをコケにした僕のことを最優先で排除しようと動き出すはずだ。僕の捜索に戦力を注げばこの侵攻はストップするか、それが無理でも多少遅らせることぐらいはできるだろう。その間に、フリード軍に頑張ってもらう。
 ……脳裏にここで出会った人々、覇王軍の侵攻を受けて戦ったり逃げ出したり、いずれにせよその影響を受けて平和な暮らしを捨ててきた人たちの顔が蘇る。この世界に来て何があったのかは知らないが、十代は元々僕らの世界の人間だ。なら、これ以上無関係の人を巻き込んでいい道理なんてあるはずがない。このケリは僕らでつける、それがせめてもの責任だ。

「だけどその分、皆にはまた働いてもらうからね。そこだけは、本当にごめん」
『気にすることはない。半端な状態で止まるぐらいなら、これぐらい突き抜けたほうがずっと面白くなる。これは私だけの意見ではない、精霊一同(われわれ)の総意だ』
「……うん。ありがと」

 反対されたらどうしようかと心配していたが、どうやらそれも杞憂だったらしい。やれやれと肩の力を抜いたところで、突然背後から刺すような視線とピリピリ来るほどの殺気を感じた。何かをかすかに吹くような音も聞こえばっと振り返ったその足元、つま先すれすれの位置に小ぶりな矢が突き刺さる。さらに木々の向こうから、落ち着いた調子の声が聞こえてくる。

「これ以上警告はしない、妙な真似をすれば次は当てる。両手を上に挙げ、デュエルディスクを外して地面に置け」
『言われたとおりにしておいた方がいいな。相手の油断を誘う方が後々楽でいい』
「(……だね)」

 言われたとおりにホールドアップし、デュエルディスクを外してから足元に置く。それを見て、明らかに動揺した気配が森の中から伝わってきた。

「そのデュエルディスクは、我々の……!?貴様、それをどこで手に入れた!」
「えっと……」
「待て。あの男の顔、どこかで見た気がする。それにあの服装、あれは……」

 どこから説明したものかと言い淀んでいると、さらに第三者の声が聞こえてきた。あれ、この声、どっかで聞いたことあるような。やがて草むらを掻き分ける音とともに、長い赤髪を後ろで結んだ女性が姿を見せる。その腕に装着されたデュエルディスクを見た時、ようやくすべてを思い出した。なぜこのタイプのデュエルディスクに見覚えがあったのか。あって当然だ、2年ほど前に見た彼女のそれと同じだったからだ。そう、彼女の名は。

「アマゾネスのタニヤ!」

 かつてのセブンスターズとの戦いで、わざわざコロッセオまで造って舞台を整え三沢と激闘を繰り広げた女戦士のタニヤ。あまりにも予想外の再開に、しばらくの間二の句を注ぐことができなかった。 
 

 
後書き
前半の人外化は今後の布石、というより次回作への布石?
予定は未定なので、ぶっちゃけ書かないかもしれませんが。水中適正Sになったとだけ覚えておいてください。

今回の登場人(?)物
一、暗黒界の術師 スノウ
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1700/守 0
このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、
自分のデッキから「暗黒界」と名のついたカード1枚を手札に加える。
相手のカードの効果によって捨てられた場合、
さらに相手の墓地に存在するモンスター1体を選択し、
自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
一言:レッサー・デーモンとキャラ立ちがかぶってる?バリエーションがないんです察してください。 
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