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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその三

「今のコーヒーにはミルクを入れているがな」
「黒くはないというのですね」
「絶望の様に黒くはない」
 タレーランはコーヒーを絶望の様に黒く、と評していた。しかし彼等が今飲んでいるコーヒーはミルクを入れているので黒くはないのだ。
「しかしだ」
「地獄の様に熱くな」
「そしてこの味ですね」
「そうだ、コーヒーはいつも飲むがだ」
「最高の味であるべきですね」
「さもないと天国のタレーランに笑われる」
 敬愛する彼にというのだ。
「それは避けたいだからですね」
「コーヒーもな」
 これも、というのだ。
「最高のものだ」
「砂糖までもが」
「苦さの中に甘さがある」
「それがですね」
「コーヒーだ」
 それになるというのだ。
「苦いだけではないのだ」
「甘さも」
「それもあるのだ」
「だからですね」
「コーヒーは砂糖もなくてはな」
 コーヒーの正しい飲み方ではないというのだ。
「タレーランの言う様にな」
「だからこそコーヒーのお砂糖も」
「いいものを入れている」
 最高級のそれを、というのだ。
「黒砂糖のそれも用意している」
「黒砂糖もですか」
「黒砂糖も好きだ」
 カミュは微笑みそのうえでだ、スタッフに話すのだった。
「あの味もな」
「黒砂糖ですか、あれは確かに」
 スタッフもだ、黒砂糖について目を輝かせてカミュに話した。
「美味ですね」
「白砂糖とはまた違った味があるな」
「甘さが」
「だからだ。時にはだ」
「黒砂糖をですね」
「入れている」
 コーヒーの中に、というのだ。
「尚私は紅茶はな」
「そちらはですか」
「あまり飲まない」
 基本コーヒー派だというのだ、カミュは。
「私はコーヒーの方が好きだ」
「タレーランの様に」
「紅茶はイギリス人が飲むな」
「はい、今でも」
 イギリス人の紅茶好きはこの時代でも変わらない、そしてフランス人は基本的にコーヒーを飲むこともである。
「そうですね」
「紅茶も嫌いではないが」
「それでもですか」
「コーヒーだ」
 彼の好みは、というのだ。
「こうした時もな」
「それもホットですね」
「そうだ、地獄の様に熱いものをだ」
 つまりホットコーヒーだというのだ。
「アイスコーヒーは飲まない」
「熱いものですか」
「夏もな」
 そのホットコーヒーを飲むというのだ。
「飲んでいる」
「そうなのですね、では私も」
「楽しんでくれ、私は遠慮は嫌いだ」
 実はカミュの嫌いなものの一つでもある、相手がそうすることを彼は好まずそれだけで機嫌が悪くなってしまうのだ。 
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