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星河の覇皇

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第六十二部第一章 有利な中でその三十一

「連合の艦船でもな」
「あの国の艦船が最も航続距離がありますが」
「それでもですね」
「何十万光年も一気にはだ」
 進めないというのだ、流石に。
「それに途中何があるかわからない」
「航行にトラブルは付きものですね」
「どうしても」
「トラブルは起こるものだ」
 どうしても、というのだ。
「だからだ」
「中継地点はですね」
「置いておくべきですね」
「そうして徐々に」
「徐々に先に進んでいくのですね」
「チェスのボードは一度に進むものではない」
 こうも言うのだった。
「徐々にでいいのだ」
「少しずつ、ですね」
「距離を詰めていくのですね」
「空間はそれだけで障壁にもなる」
 これだけでだ、広大な国家はそれだけで国防に有利になることと同じだ。だからロシアは強かったのである。
「しかしだ」
「その距離もですね」
「空間も」
「攻略出来るのだ」
 それが可能だというのだ。
「少しずつでもな。ましてや暗黒宙域はただ広いだけだ」
 距離だけだというのだ。
「敵国も敵対勢力もいない」
「まさに無人ですね」
「あの辺りは無人宙域です」
「星系もない」
「そうした場所だから」
「ただ進むだけでいい」
 中継地点を築きながらだ。
「それだけでいいからな」
「途中のアクシデントには気をつけますが」
「それでもですね」
「そうだ、敵がいないのだからな」
 それでだというのだ。
「精々小惑星やアステロイド位だ」
「ブラックホールもありませんし」
 このことはわかっている、暗黒宙域はただ空間が広がっているだけだ。小惑星がアステロイド帯がある程度だ。
 だが、だ。それ以外のものはなのだ。
「特にないからこそ」
「中継地点を築きながらですか」
「進みそうして」
「新天地に向かいますが」
「予算と根気の問題だ」
 それだというのだ。
「それが続くかどうかだ」
「予算と、ですか」
「根気もですか」
「宇宙開発でもそうだった」
 二十世紀後半から今に続くそれもだというのだ。
「要はそれだったな」
「はい、何度失敗してもですね」
「幾ら予算を消費しようとも」
「宇宙開発は続けられました」
「先達の手によって」
 それが人類の宇宙開発と進出の歴史だった、何度も失敗し予算を投入してきた。そうして一歩一歩進んでいったのだ。
 そしてだ、その結果だったのだ。
「今に至ります」
「だからこそですね」
「暗黒宙域の踏破も」
「それもまた」
「宇宙開発はまさに手探りだった」 
 ガガーリンからはじまりだ、相当の域に達するまでそうだった。このことも事実だった。 
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